tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

財政再建は棚上げですか?

2018年12月23日 14時36分24秒 | 経済
財政再建は棚上げですか?
 政府は消費税増税による景気の落ち込みを殊の外警戒しているようで、軽減税率の導入で、で何とかそれを防ぎたいと思っているようですが、複雑な軽減税率のやり方で混乱を予想する小売り業界から「軽減税率反対」の意見まで出ているようです。

 一方政府は「財政再建の旗は降ろしません」と言いつつも、2020年プライマリー・バランス回復を 2025年に延ばしています。安倍政権がそこまでやることはないのでしょうから、軽減税率導入で2兆円以上税収が減るというのは、財政再建に当たるポスト安倍の政権には迷惑至極かもしれません。

 こんなことになるのも、アベノミクスが考えていることが、一般庶民の考え散ることと違うからで、政府の思い込みで「これで有難く思え」と言っても「ピンポーン」ではなく「ブー」という事になっているからではないかと思っています。

10月の統計ではまた平均消費性向が低下しましたが、安倍さん以下政府が心配する消費不振による経済の停滞は、多くの人が率直に言っていますように、将来不安に備えて貯蓄に励む日本人の行動に原因があるのでしょう。

 ですから、賃上げを奨励しても、軽減税率で物価値上がりを抑えてみても、多分消費は回復しないという現実を経験することになるのでしょう。

 国民の将来不安は、少子高齢化の進展という現実から、社会保障制度が頼りになるかどうかに不安を持ち、老後や子育てなどこれからの生活防衛を、不確かな政府に代わって自分でやらねばならないという健気な考え方に根差しているのでしょう。

 現実の日本経済は、人口減少の中でもいくばくかの実質経済成長を続け、今後も経済成長は続くと誰も信じています。つまり国民一人当たり実質GDPは増えるのです。
 ただご承知のように、格差社会化が進んでいます。「稼ぐに追いつく貧乏なし」と言っていた江戸時代の方がよかった、今は「ワーキング・プア―」の時代だという事です。

 民間労使は一昨年の「経労委報告」と「連合白書」で人口減少への前向き・積極的なアプローチを揃って提言しています。「経労委報告」はその副題で「人口減少を好機に変える」と言っています。

 政と労使が意識をそろえれば、国民の将来不安を深刻化させない方途は必ずあるはずです。
 にも拘らず政府は当面の消費の落ち込み(実は政権の人気?)ばかりを心配し、軽減税率にかまけて、国民が最も安心する国家財政の健全化(日本経済の最大の弱点への対策)は先延ばしするばかりです。

 すでにマスコミには、政府が財政再建に匙を投げたのかと思われるような記事も出たりしています。
 選挙ばかりを気にして、ここまで放っておいた現政権の責任は誰が取るのでしょうか。次回は少し数字を見てみたいと思います。