日本はアメリカにどこまで物が言えるのか
第二次大戦後のアメリカは圧倒的な経済力、軍事力、技術力を持って世界に君臨し、覇権国、基軸通貨国としての地位を確立してきました。
しかし、リーダーの役割を引き受けたからには勝手に止めるわけにはいきません。経済力が弱ってもやる事はいろいろあるし、止めて普通の国になるという事も沽券にかかわるという意識もあるでしょう。
それまでの金為替本位制で金の価値に繋がっていたドルを金と切り離し、変動相場制にしてドルを切り下げ、国際競争力をつけてリーダーの地位を守ることにしました。
しかし世界ではいろいろな国が経済力をつけて来て、経済力でアメリカを超える可能性も出て来ます。
まず日本です。石油危機を乗り切って経済成長を続け、繊維、鉄鋼、自動車と対米輸出を伸ばしてきます。
何とか日本の勢いを止めようと、日本に「円」の切り上げを要求し、結果的に日本の国際競争力を半分にし、日本はその対応に努力しましたが、30年も成長が止まり、アメリカは安心しました。
次に伸びてきたのが中国です。中国は人口がアメリカの3倍以上ありますから、1人当たりGNPがアメリカの3分の1でも、GDPの規模はアメリカを越えます。
アメリカは中国にも人民元の切り上げを要求しましたが、中国は日本の例に学んでいてOKとは言いません。
それで、中国製品に関税を掛けたり、知財その他の問題で、対米輸出を抑えようとしましたが、アメリカの企業の中国での生産が多かったりでなかなか上手く行きません。
中国は、アメリカに対して「中国の発展を客観的かつ理性的にとらえ、両国関係が安定し、健全で持続可能な発展になるように考え方を変えるべきだ」(最近の王毅外相発言)などと言ってアメリカの圧力に反発します。
さて、こうなると、過去に大失敗の経験を持つ日本は、中国の主張をどう理解すべきか少し真剣に考えなければならないのではないでしょうか。
勿論、中国の主張は言葉上は正論です、中国のその他の言動を見れば、多くの問題があります。それと同時に、アメリカの日本に対する態度も、日本にとって適切でない事も沢山あります。
本来であれば、日本はアメリカに「ハイハイ」ばかり言わずに、日本自体の立場に立って、国際的に見て本当に適切なことをきちんとアメリカに言うべきなのでしょう。
しかし、現状は、アメリカに対して日本として、内外を貫く正論を確り言う事は大変難しいようです。
日本は今、国の存立の意義にかけて、先ずアメリカに、そして世界のどの国に対しても、戦後の日本が心掛けてきたように、正論を率直に話して行かなければならないのではないでしょうか。