日銀植田総裁の発言が優しかったせいか、投機資本は余り慌てることなくその後も日
経平均は上がり続けましたが、今日は神田財務官の発言で下げています。円高の動きは小さいので、解説では利食い先行とかダウ平均が下げたからといっているようです。
この分ではダウ平均が上れば日系平均も追随といった今迄とあまり変わらないのかといった感じがもどってきているようです。
政府は株価下落は心配でしょうし、投機筋も、実体経済が追い付いて来てくれることを望みながら、順調な推移を望んでいるのはないでしょうか。
しかし多くの庶民は実体経済で生きていますから、実体経済の順調な回復が問題です。経済成長率が1%から2%、3%、4%と上がり賃金もそれに従って上って行くようになってほしいと考えているわけです。
1990年代までは、日本経済は高度成長から安定成長に変わっても経済は成長し賃金は上がって当たり前の日本でした。しかしバブル破裂以降は「大幅円高」に苦しんでコストカットばかり、企業もコストカット、家計も生活費も小遣いもカットカットでした。
その習慣が身について黒田日銀による円レートの正常化(円安の実現)後も緊縮が企業や家計の習慣になってしまったようでした。
企業は円安で利益が回復したから元気になりましたが、家計は賃金が上がらない上に政府の少子高齢化で年金が危ないというアナウンスもあり、1億皆将来不安、老後不安で貯蓄に励み、10年程も消費が増えない経済が続きました。
このブログの「平均消費性向の長期推移を見る」でも明らかですし、4半期GDP統計を追いかける度に「企業設備中心の片肺飛行」という説明を繰り返しましたが、アベノミクスの失敗の原因の最大のものは「国民に消費を増やせる環境を作れなかった」という事でしょう。
政府はその中で国民の貯蓄を国債発行で借り、借りたお金で国民に補助金など出し、選挙で票を稼いでいたのかもしれませんが、補助金はいつの世でも貧窮援助だけで、経済成長には繋がらないのです。
こうした政策の失敗がやっと解って来た今年の春闘ですが、今度はこれを生かして、国民が自力で消費を積極化し日本経済を「投資と消費のバランスの取れた形」に持っていくような政策が今の政府に取れるでしょうか心配です。
春闘の賃上げ率が5%台になったから多分大丈夫などと考えていたら多分危ういでしょう。
政府は「NISA」で株を買いましょうではなくて、「皆様の積極的な消費が日本経済の立て直しに必要です」といった「メッセージ」でしょう。
野党や国民は「消費税や所得税の減税」をと言うでしょう。出来れば結構、出来ないのであれば、後は、時限的に生前贈与の大幅緩和なども検討の要ありで、企業には時限的な償却率の大幅引き上げで賃上げ原資を支援するぐらいの配慮、証券バブルでの税収増の還元で身銭を切る覚悟など、政府の消費増の徹底支援が必要ではないでしょうか。