長期不況の末期2012年に「蓄電技術で世界制覇を」を書きました。この長い深刻な不況脱出のために、起死回生の技術にもなりそうな蓄電技術について応援するために書いておこうと思ったからです。
その後、日本の関連企業は本当に頑張ったようです。
そして時代は変わり、自動車のエンジンがモーターに代わるEVの幕開けの時代に入って来ました。蓄電技術の高度化は、まさに決定的に重要になって来ました。
今世界に名をはせているイーロン・マスク氏率いるテスラの車は、当初からパナソニックの蓄電池で走っていたことは知られています。
そして今蓄電池は、電解液という液体を使う電池から「全固体電池」の時代に入ってこようとしています。
先ず本命は,リチュウムイオン電池の全固体化のようですが、すでに電池産業だけでなく自動車産業をはじめ、多くのスタートアップも含めて熾烈な開発競争が展開されています。
欧米は勿論、アジアでは、韓国も総力を挙げているようで、また玉石混交のようですが、原材料分野も含め、中国も本気で力を入れているようです。
世界はどんな状態なのかとネットで見ましたら、全固体電池関連の特許の出願件数のランキング(「全固体電池特許ランキング」で検索)がありました。
トップは韓国のサムスンでした、2位がパナソニックIP、3位がLG、4位がトヨタ、5位ボッシュ、6位から日立、ソニー、NEC、日産自動車、東芝 でベストテンという事です(2000~2018年計)。
中国は入っていません。事情は解りませんが、ニュースでは中国も航続距離の長いEVを出していることが報道されています。
全固体電池は、火災を起こしにくい点が最も優れていることは勿論、出力が大きくなり形状はコンパクトなど種々の利点を生かすべく、先ずはリチウムイオン電池の全固体化という事のようですが、欠点としては、リチウムやコバルトといったレアメアタルを使うという点だそうです。
レアメタルはその名の通り希少資源で、産地も限られているという事ですし、精錬工程が中国に集中しているようで、種々問題なしとしないようで、トヨタはナトリウムイオン電池の開発にも注力しているようです。
偶々今日の日経産業新聞が報じていたのは、日本電気硝子がレアメタル不使用のナトリウムイオン電池を開発、実用化を急いでいるという情報です。
ナトリウムイオン電池の電極に長年培ったガラスとその技術を使用することから、高価なレアメタルを 使わずに全固体電池の開発に成功して実用化を急いでいるという事で、こうした従来の事業で培った高い技術を新分野に活用して、会社の中身が蛻変して進化発展を遂げるというのは日本企業の特色(多くの繊維企業の変身、このブログでも取り上げた富士フイルムの例など枚挙に暇がない)ではないでしょうか。
電池の性能向上は今後ますます必要になる電気エネルギーの貯蔵問題の中でも最も身近なものですから、その中で全固体電池という安全で高出力の電池の開発競争はますます熾烈化するでしょう。
改めて、日本企業の頑張りに期待するとともに、これまで手を抜いてきた日本の技術開発政策を韓国、中国に負けないものにする努力を岸田政権に強く要望するところです。
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