今日、総務省統計局より2024年10月の家計調査が発表になりました。
この所,改めて、家計の節約マインドが強調されるようになっているので、心配になり、さっそく説明の最後にある2人以上勤労者世帯の平均消費性向を見ました。
悪い予感はバッチリで、下のグラフの通り、67.6%、昨年10月の71.3%に比して3.7ポイントのマイナスという大幅下げです。
資料:総務省「家計調査」
関連する数字を見ますと、世帯主収入は2.8%の増で、消費者物価の上昇をやっとカバーし、実質0.3%の上昇とぎりぎりプラスりです。配偶者の収入、他の世帯員の収入等も加えて家計の実収入(名目)としては3.7%の増加です。
可処分所得(手取り)は、非消費支出の-0.4%があって4.6%(名目)の増加ですが、消費支出の方は-0.9%と減少、その結果が上記の平均消費性向の低下となっているわけです。
グラフでご覧のように、年初は上がり始めたかと思われた平均消費性向が5月以降はずっと前年同月比でマイナスです。
多分、家計は、賃上げムードも出て来たし、物価も安定してきたから少し消費を増やしてもいいかなとは考えずに、ボーナスが増えて少し貯金ができたが、ボーナスがない8月になったら、33年ぶりの大幅賃上げの結果もがそんなに大きいものではなく、消費者物価の上昇に食われてしまっているようだから、やっぱり節約した方がいい様だ、という判断に傾いたのではないでしょうか。
政府・日銀は物価が安定してきたと言っていますが、卵や魚介類など生鮮食品の値上がりもあり、さらには端境期で日本人の主食のコメが足りないなどと言っているうちに新米の価格が6割も上がっているのです。それでも農水省は知らん顔、これではやはり「生活防衛」が必要という事になるでしょう。
長い眼で見ても、家計は余り消費を増やす気にはならない状態が相変わらずという事のようです。ご参考までに、この2年間の家計調査の月々の消費支出(実額)の推移(実額、名目値)を2人以上世帯と、2人以上勤労者世帯について表にしました。
資料:上に同じ
本当にほとんど増えていないというのが、家計の消費行動という事のようです。
収入はそれなりに増えても、消費は増やさない(結果は平均消費性向の低下)というこの所の日本の家計に定着した習慣が変わらない限り、消費不振による日本経済の低成長は続くでしょう。
その原因解明も、脱出策の構想も政府には出来ていないような気がします。