今日、総務省より標記2024年11月の消費者物価指数が発表になりました。
昨年秋から今秋にかけて、日本の消費者物価指数は基本的には沈静化を続け、日本銀行も、ようやく2%の物価目標が達成されるという見方から、今年の夏から政策金利を徐々に引き上げ、金融正常化、日本経済の正常化、健全化の動きを進めるという望ましい方向へ舵を切ってきましたが、この所の消費者物価指数の反転上昇は、それに水を掛けているようです。
下のグラフを見て頂くと明らかですが、8月から9月にかけて指数そのものが下がる段階にも来たように思えたのですが、10月、11月と反転上昇です。
消費者物価主要3指数の動き(資料:総務省)
主要3物価指数揃っての上昇で、マスコミは2.7%と言っていますが、それは「生鮮食品を除く総合」で、「総合」は2.9%と3%に近づいています。
こうした状況を日銀も想定してか、先日の金融政策決定会合では、政策金利引き上げの予想もありましたが、当面、状況静観という事になったようです。
何故急にこんなことになったかについては日経新聞以外あまり詳しく書いていませんが、大きな要因は2つで、1つはコメの値上がり、もう一つは、政府の電気・ガス料金への政策的配慮、暑い夏が過ぎたので、料金値下げの補助金をやめた事などによります。加えて天候不順で生鮮食品も上がりました。
政府のこうした補助金については「小さな親切大きな迷惑」と思っていますが、やはり主要な問題は、日本人の主食であるコメの値段が突如上昇、10月には前年比で60.3%、11月は更に上がって64.7%の上昇になっています。コンビニの売れ筋「おにぎり」も7.2%上がったようです。
主食のコメがこんなに大幅に上がっても、値上げ反対のプラカードもデモ隊もない静かな日本ですが、日本人は本当に温和しくなったようです。
話が逸れましたが、対前年同月比の動きのグラフは下記です。
主要3指数対前年比の動き(資料:総務省)
電気・ガス企業などへの補助金で、エネルギー料金の入った赤と青の線は複雑な動きですが「生鮮食品とエネルギーを除く総合」(消費者物価の「芯」のコアコア指数)は7月の1.9%が底で、その後はずっと上昇基調です。
総務省発表に資料には、細かい分類の数字もありますので、その数字で見ますと、64.7%の値上がりのコメを含む穀類が15.0%、生鮮野菜14.3%、生鮮果物11.1%、電気代9.9%、ガス代5.6%などが目立ちます。
野菜や果物は作柄が良ければ下がりますし、電気やガスは補助金次第ですから基本は緑の線のコアコア指数で、これが7月に1.9%に下がったことが、日銀の利上げにもつながりました。当面する問題はコメ値上げの波及でしょう。
米の値上がりが、直接、間接に物価問題のどのような影響を与えるかまだ解りませんが、「農政の失敗」と当然判断されるような問題が、見過ごされてしまっていいのかと思いながら、これからも経過を見ていきたいと思っています。