昨年末、12月の家計調査は、既に新年の7日に総務省統計局から発表になっていましたが。取り上げるのが遅くなって申し訳ありません。
先ず結果から申し上げますと、このブログの最大の注目点の一つである、二人以上勤労者世帯の平均消費性向の年末12月は前年同月の38.4%から0.5ポイント上がって38.9%になりました。
下の図でご覧いただけますように、2024年の賃金は、春闘の賃上げ率は33年ぶりの高水準と言われましたが、ボーナス月以外は賃金上昇が物価上昇に追いつかない状態の中で、家計は消費を控え、貯蓄に回す傾向が強く、5月以降平均消費性向はずっと前年を下回る状態でした。
ところがこの傾向が11月に反転して、11月、12月と連続して平均消費性向が前年を上回る動きになっています。
但し、先月の11月の分析では、家計は節約志向の中で、コメをはじめ生鮮食品など、日々の生活必需品の価格高騰があり、我が家でもそうですが、コメの場合は(高齢世帯ですから、どうしても米を食べます)米の値段が60%、70%上がっても買わざるを得ず、食料品の値上がりに引っ張られて支出が増えた面もあったのではないかと見ていました。
12月はどうかと見ますと、二人以上世帯平均の名目消費支出が7.0%の伸びで、中で目立つのは住宅関係(設備修繕・維持)18.3%。これはリフォーム流行や寒波のせいでしょうか、次いで水道・光熱で、これは補助金打ち切り、次は自動車関係費(ガソリン高騰)などとなっていいますが、いずれも寒波・豪雪に関係ありそうです。食料品は5.1%増で、高値敬遠の節約志向です。
以上は名目支出ですが、実質支出は2.7%の伸びです。名目の7.0%との差は消費者物価指数の4.3%の上昇(家計調査では「持ち家の帰属家賃を除く総合」を使っています)という事ですが、特筆すべきは,12月の二人以上世帯の実質消費支出は2023年の3月以来殆んど前年比マイナスから2.7%という大幅プラスになっている点です。
これを、家計の収入面の数字もある二人以上勤労者世帯で見ますと、世帯の実収入(世帯主、配偶者、他の世帯員の給与、内職収入、財産所得、社会保障給付など)は、12月には世帯主のボーナスも含め前年比7.2%増で、実質実収入も2.9%増となっています。消費支出は名目8.4%、実質4.3%増えて2カ月連続増加です。
一昨年から昨年にかけて、毎月勤労統計(労働省)の賃金増に追いつかないことが多かった家計調査(総理府)の家計収入が、この所、配偶者の収入増もあり、毎月勤労統計の数字や消費者物価指数の上昇を追い越して増える傾向があります。就業者の増もあるようですから、人手不足の効果かもしれません。
消費性向の上昇は、物価上昇でやむを得ずという面もあるでしょうが、2023年のように、収入は伸びないがコロナ終息の安心感から消費が積極化するといった心理的なものもあるようです。
11月からの消費性向の上昇が、物価上昇で結果的に支出が増えたのか、春闘賃上げの継続予想が、将来見通しを明るくしているからか、結果はこれからの統計数字から見えて来るでしょう。