アメリカの失業率急騰に思う
すでにニュースで報道されていますようにアメリカの失業率は4月時点で、14.7%という1929年に始まった世界大恐慌以来の水準になったようです。大恐慌の時は25%ぐらいまで行ったのでしょうか。
ついこの間の2月には、3.5%で史上最低を誇っていたのですが、アメリカの雇用制度の下ではこう急変しても当然という事のようです。
それに引き換え日本は、統計の発表がひと月遅いですが3月で2.5%、2月の2.4%から0.1ポイントの上昇です。4月にはもう少し増えるでしょうが、1%プラスなどとなれば大変でしょう。
なぜアメリカはそんなことになるのででしょうか。
もともとアメリカの雇用の原則は、hire and fire などと言いますが、企業は仕事があるから採用し、仕事がなくなれば解雇するという事になっているのです。
これは企業というものの考え方の相違から来ているもので、アメリカの企業というのは職務(job)の集合体で、職務があるから人を採用するという考え方です。したがって賃金も職務給(job wage)で、当然仕事がなくなれば解雇(layoff)となるわけです。
日本は、新卒定期採用にみられますように、仕事は決めずに、先ずは良い人を採用して、将来、いい仕事をしてもらおうという人間を重視した作用ですから、コロナで仕事が減っても、良い人は残しておかないと将来困るだろうという事で解雇は、よほどの状態でないとしません。
欧米の雇用は仕事中心、日本は人間中心といわれる所以です。
日本でも、アメリカ流の採用の従業員もいます、所謂「非正規従業員」です。確かに今回の新型コロナで、非正規従業員は、アメリカ並みに大変です。
このブログでは繰り返し書いていますが、戦後日本の経営者は、雇用の身分制度を廃して、全員「社員」として雇用する慣行を作ってきました。ところが、平成の長期の円高不況で、背に腹は代えられず、低い賃金で働いてくれる非正規従業員を増やすことになりました。
景気が回復して、増加した非正規従業員を、出来るだけ正社員に転換しようという動きもありますが、企業によっては、賃金水準の低い方いいといった安易な考え方で、非正規従業員依存が広がっています。
ところで、本当の問題は、政府の「働き方改革」ですが、非正規労働者の賃金を正規並みにという「同一労働・同一賃金」をいうのと一緒に、アメリカ流の仕事中心の雇用制度にしようと言っています。「新卒定期採用などは止めて、必要に応じて採用する。賃金は職務給が望ましい」という事ですから、当然雇用は不安定になり、正規従業員でも仕事がなくなれば、「明日から来なくていい」という事になるのでしょう。正社員も雇用制度は非正規と同様になる雇用の流動化が望ましいというのです。
今回のアメリカの失業率の急上昇は、はしなくも、仕事中心の雇用制度の問題点をさらけ出してくれたと言うことです。
日本の経営方式の基本になっていた、雇用の安定が一番大事という考え方、経営が苦しければ賃金を下げてでも雇用は守るという「日本的経営の理念」が、今回のような非常事態に「社会の安定を守る」大きな役割を果たすことをも一度よく考えて「働き方改革」の今後を洞察する先見性が必要なようです。
<追記>アメリカがコロナの死者が増える中でも、経済活動の再開を急ぐ背景には、明らかに高失業率があります。今、7人に1人が失業です。社会不安が起きる可能性、争乱や殺人事件、行倒れ、自殺などの増加の方を危惧するといった意識も強いという見方もあるようです。改めて、雇用の安定は社会の安定の基盤なのです。
すでにニュースで報道されていますようにアメリカの失業率は4月時点で、14.7%という1929年に始まった世界大恐慌以来の水準になったようです。大恐慌の時は25%ぐらいまで行ったのでしょうか。
ついこの間の2月には、3.5%で史上最低を誇っていたのですが、アメリカの雇用制度の下ではこう急変しても当然という事のようです。
それに引き換え日本は、統計の発表がひと月遅いですが3月で2.5%、2月の2.4%から0.1ポイントの上昇です。4月にはもう少し増えるでしょうが、1%プラスなどとなれば大変でしょう。
なぜアメリカはそんなことになるのででしょうか。
もともとアメリカの雇用の原則は、hire and fire などと言いますが、企業は仕事があるから採用し、仕事がなくなれば解雇するという事になっているのです。
これは企業というものの考え方の相違から来ているもので、アメリカの企業というのは職務(job)の集合体で、職務があるから人を採用するという考え方です。したがって賃金も職務給(job wage)で、当然仕事がなくなれば解雇(layoff)となるわけです。
日本は、新卒定期採用にみられますように、仕事は決めずに、先ずは良い人を採用して、将来、いい仕事をしてもらおうという人間を重視した作用ですから、コロナで仕事が減っても、良い人は残しておかないと将来困るだろうという事で解雇は、よほどの状態でないとしません。
欧米の雇用は仕事中心、日本は人間中心といわれる所以です。
日本でも、アメリカ流の採用の従業員もいます、所謂「非正規従業員」です。確かに今回の新型コロナで、非正規従業員は、アメリカ並みに大変です。
このブログでは繰り返し書いていますが、戦後日本の経営者は、雇用の身分制度を廃して、全員「社員」として雇用する慣行を作ってきました。ところが、平成の長期の円高不況で、背に腹は代えられず、低い賃金で働いてくれる非正規従業員を増やすことになりました。
景気が回復して、増加した非正規従業員を、出来るだけ正社員に転換しようという動きもありますが、企業によっては、賃金水準の低い方いいといった安易な考え方で、非正規従業員依存が広がっています。
ところで、本当の問題は、政府の「働き方改革」ですが、非正規労働者の賃金を正規並みにという「同一労働・同一賃金」をいうのと一緒に、アメリカ流の仕事中心の雇用制度にしようと言っています。「新卒定期採用などは止めて、必要に応じて採用する。賃金は職務給が望ましい」という事ですから、当然雇用は不安定になり、正規従業員でも仕事がなくなれば、「明日から来なくていい」という事になるのでしょう。正社員も雇用制度は非正規と同様になる雇用の流動化が望ましいというのです。
今回のアメリカの失業率の急上昇は、はしなくも、仕事中心の雇用制度の問題点をさらけ出してくれたと言うことです。
日本の経営方式の基本になっていた、雇用の安定が一番大事という考え方、経営が苦しければ賃金を下げてでも雇用は守るという「日本的経営の理念」が、今回のような非常事態に「社会の安定を守る」大きな役割を果たすことをも一度よく考えて「働き方改革」の今後を洞察する先見性が必要なようです。
<追記>アメリカがコロナの死者が増える中でも、経済活動の再開を急ぐ背景には、明らかに高失業率があります。今、7人に1人が失業です。社会不安が起きる可能性、争乱や殺人事件、行倒れ、自殺などの増加の方を危惧するといった意識も強いという見方もあるようです。改めて、雇用の安定は社会の安定の基盤なのです。