tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

実体経済の回復に主眼を

2024年03月12日 13時14分38秒 | 経済

先週金曜日に「証券市場、政策変更先取りのミニ・ショック」を書きましたが、今週に入って、昨日今日も株式市場は急落です。理由は、円高が進んでことでしょう、アメリカで半導体関連が下げたこともあるようですが今日は戻しています。

円高が進んだ理由は先週金曜日にも触れましたように、3月か4月にゼロ金利脱出への動きがある「かも」という情報です。これで日経平均4万円越えはバブルと判断した投機資本が売りに出た(外資系?)といった所でしょか。本当のところは近ぢか解るでしょう。

マネーマーケットとはこういうもの(先を読んで動くもの)なのです。

実体経済面では昨年10-12月期のGDP二次速報で改定があり、実質経済成長率が年率換算-0.4から+0.4%とプラスに変わりました。原因は、法人企業統計季報の10-12月の発表があり、仮置きしてあった「企業設備」が-0.1%から+2%と順調だったからです。

実体経済は、スローペースですが前進を続けている様子です。

来月からの来年度経済については、春闘も集中回答日以前から満額回答とか、要求以上の回答なども織り交ぜ、中小企業でも賃上げの動きは従来よりはっきりと活発になって来ている様で、消費者物価の沈静傾向とも相俟って、実質賃金もマイナスからプラスに転換し、安定して上昇している企業の設備投資(デジタル化、ソフトウエア充実が顕著:日銀「短観」)と賃上げが支える消費需要との投資・消費のバランスのとれた姿を取り戻す可能性が強くなると期待しています。

1月の家計調査:家計収支編は8日に発表されており、これについては明日取り上げるつもりですが、勤労者世帯の平均消費性向は、残念ながら前年比マイナスに落ち込んだようです。マネー経済はいろいろあるかもしれませんが、2024年度には、実体経済は何とか健全性を取り戻す方向に進むのではないかと期待できそうなデータが揃いつつある状況です。

ところで、このプロセスで日本としてやらなければならない事は金融の正常化です。長い円高デフレ時代を脱出するために黒田日銀総裁が、アメリカはFRBのバーナンキ方式に倣って導入したゼロ金利政策は、円高の終了を実現しましたが、その後のアベノミクスの舵取りが、余りに実体経済の理解を欠いていたため、異次元金融緩和という厚手の衣も着せて10年も続いてしましました。

これからのゼロ金利脱出プロセスでは金利上昇は不可避です。異次元の量的緩和も次第に正常化されるでしょう。そのたびにマネーマーケットはガタガタするかもしれません。

しかし、人間はGDPという実体経済で生きているのです。そして今、その発展は地球環境と共生する先端技術の世界的競争の真っ只中で技術開発の成果にかかっています。

これは日本の得意な分野だったのではないでしょうか。マネーマーケットは、それに必要な潤滑油でもあるのです。そして安定した実体経済の成長は、マネーマーケットの盛況を可能にすることにもなるでしょう。

それを永続させるのは「平和」でしょう。人類の知恵が問われていますし、平和憲法を掲げる日本の役割も期待されるのではないでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(訂正)上記「平均消費性向の箇所、1月統計で、前年比マイナスでしたので、その点、前年比プラスの文章を訂正いたしました。不注意を陳謝します。


昨3月10日は東京大空襲の日でした

2024年03月11日 14時57分52秒 | 文化社会

今日3月11日は東日本大震災の日です。13年前の東日本大震災、それに今年1月1日の能登半島地震もあり、災害に関する報道が数多くありました。

しかし、東京大空襲、それに現在起きているガザの悲惨な戦争と自然災害は根本的に違います。

自然災害、特に地震や津波は、地球上に住む人類にとっては避けられないものです。それは地球自身の性質に起因するからです。しかし、今も、ウクライナやガザで起きている戦争による災害は人間自身によるのもで、人間の考え方や行動次第で避けられるものです。

東京大空襲では一夜にして東京の下町に住む10万の人命が失われました。太平洋戦争では日本中の主要都市で多くの民間人の命が失われています。

ウクライナやガザの報道では、戦闘員でない民間人特に子供の犠牲は、人道問題として特別に数字が出たりします。勿論人命を数字にするなといった意見はその通りだと思いますが、戦闘員以外について人道的という言葉を付けて別に考えるのは、太平洋戦争当時より人間として進んだ考え方といえるのかもしれません。

確かにあの時代、アメリカは日本人の戦意を喪失させるには民間人であろうとも、より多くの犠牲者をだすことが必要と考えたのでしょう。

東京大空襲で失われた10万人のほとんどは非戦闘員で絨毯爆撃で都市住民を大量に殺傷する事が目標だったのでしょう。東京大空襲を皮切りに日本の主要都市は一夜にして市全体が焼野原という日が続きました。

私の住んでいた地方都市も焼夷弾で一夜にして2棟の黒焦げのコンクリートビルを残して焼け野原でした。ヒューという鋭い焼夷弾の落下音、ドスドス、バサバサ地上に落ちる音、べニア板に土を被せただけの防空壕は直撃弾に見舞われれば終わりです。真っ黒な雨の中をとにかく逃げました。

幸い家族4人怪我がなく、最後に逃げ込んだ学校の物置から、明け方、我が家に行ってみると瓦礫の山が燻ぶっているだけでした。

こうした絨毯爆撃の先に広島、長崎の原爆があったのでしょう。日本人を殺せば戦争が終わるという事だったのでしょう。原爆は戦争を終わらせるために必要だったという意見がアメリカでは一般的だったと聞きます。

今イスラエルは、ハマスを殲滅すれば、パレスチナ問題は解決するという考え方のようです。人類は進歩していないようです。アメリカは国連安保理で、拒否権を使ってまでイスラエルを支援しています。

そして、太平洋戦争終了後、日本の非武装化、平和国家化を徹底的に指導し、日本は反省と共に平和憲法を掲げました。しかし今、アメリカは日本が味方につくことを前提に、防衛力強化、台湾有事にはアメリカと共に戦うべきと考えているようです。

そして、日本の現政権はそれを是としているように見えます。

肝心の日本国民はどう考えているのでしょうか。


リュウキンカ繚乱、最盛期

2024年03月10日 10時40分34秒 | 環境

1月30日に咲き始めたリュウキンカの写真を載せましたが、今日はもう3月10日、好天の日曜日です。

我家の狭い庭の西の隅、アケボノツツジの下にある一番大きなリュウキンカの株が最もいい時期になったようです。

この2~3年、何故か至る所にリュウキンカが生えて来て困っている面もありますが、このリュウキンカは最も「古株」で毎年元気に咲いてくれます。

最初の満開の花が散り始めると、花の散った後の幾らか膨らんだ雌蕊が結構目立ってしまいますが、今は満開の花ばかりが、繁茂した新緑な葉の瑞々しい光沢に映えて、リュウキンカが最も誇らしげな時期です。

特に昨日、今日は好天に恵まれて、やっぱり確り記録しておかなければと感じさせます。

花の広がりは上の写真、葉と花のコントラストは下の拡大写真で見ていただけるのではないかと思っています。

トリミングしながら気が付いたのは右下に、伸びてきた「ヒマラヤユキノシタ」の花芽が映り込んでいる事でした。折角ですから入れておきました。

今日は歌の文句ではありありませんが  “Beautiful Sunday”  の気分でいたいと思ています。


証券市場、政策変更先取りのミニ・ショック

2024年03月08日 15時17分02秒 | 経済

今年は日本経済の舵取りの難しい年でしょう。先日「マネー経済から実体経済へ着実な転換を」と書きましたが、日本では日銀がゼロ金利脱出へ動かなければならない事は確実でしょう。

一方、アメリカではインフレ抑制で引き上げた政策金利の引き下げが必要で、すでにFRBから年内に3回の引き下げの方針がプロットされています(多分各回0.25%)。

日本の政策変更の条件は、春闘賃上げで賃金上昇が物価上昇を上回り、個人消費が活発化し、「賃金インフレ」が2%に近づくという事でしょう。

アメリカの場合は、高金利が景気過熱を抑制し、賃金インフレが2%以下に下がってくることでしょう。

2%程度の「自家製インフレ」(主に賃金インフレ)が「活発で健全」な経済、低迷や過熱でない経済の「体温」として適切な目印というのは日米共通の認識のようです。

という事で、日本で最も関心の高い今春闘の賃上げに関する情報では今春闘の平均要求(中間集計)は5.85%と30年ぶりの高さで価格転嫁促進の雰囲気などもあり、昨年の3.6%を上回る賃上げ率が期待されています。

そうした中で、昨日、政府や日銀関係者の名前などにも触れながら、3月、4月の日銀の政策決定会合で、ゼロ金利見直しの動きがあるかといった情報が流れ、昨日、株価は寄りの200円高から急落、引けは500円の下げでした。当然、日米金利差縮小の予想から円レートは147円まで円高が進み、今日もマネー市場は乱高下のようです。

恐らくこれからは、こうした情報がリークから公表まで、いろいろな形で出て来るでしょう。そのたびにマネーマーケットは乱高下でしょうか。

政府、日銀に必要なことは実体経済に先立って動いているマネーマーケットを如何に適切な情報発信によって適切に活用、実体経済の順調な始動につなげることでしょう。

日米の関係は複雑です、基本的には、米国の金利引き下げはドル安、ダウの上昇を齎し、日本のゼロ金利脱出は円高、日経平均下落につながるでしょう。

しかし一方では日本の株式市場はアメリカの動きを写すというのが良く知られた現象です。この2つの動きは相矛盾する事が出て来そうです。

春闘の効果で日本経済の活動の活発化があれば、それは日本のマネーマーケットの活況に繋がるでしょう。そうした好ましい変化を日本の政策金利の引き上げに反映させれば、為替レートやマネーマーケットの動きは当然マイナスの影響を受けるでしょう。

しかし何と言っても、こうした動きは、30年の長きにわたり異常な形で運営されてきた日本経済の正常化のための必須プロセスなのです。やり抜かなければならない事でしょう。

いま日本政府は貯蓄から投資へという政策を取り。マネーマーケットの活用で国民の財産や、公的年金の基金などにも増やそうとしていますが、逆風の可能性もあるでしょう。

政府の奨励で買ったNISAの証券の価格はどう動くでしょうか、庶民にとっても、これは難しい問題です。政府、日銀がそれに能く応えてくれることを願うところです。


日本はアメリカにどこまで物が言えるのか

2024年03月07日 20時33分12秒 | 国際関係

日本はアメリカにどこまで物が言えるのか

第二次大戦後のアメリカは圧倒的な経済力、軍事力、技術力を持って世界に君臨し、覇権国、基軸通貨国としての地位を確立してきました。

しかし、リーダーの役割を引き受けたからには勝手に止めるわけにはいきません。経済力が弱ってもやる事はいろいろあるし、止めて普通の国になるという事も沽券にかかわるという意識もあるでしょう。

それまでの金為替本位制で金の価値に繋がっていたドルを金と切り離し、変動相場制にしてドルを切り下げ、国際競争力をつけてリーダーの地位を守ることにしました。

しかし世界ではいろいろな国が経済力をつけて来て、経済力でアメリカを超える可能性も出て来ます。

まず日本です。石油危機を乗り切って経済成長を続け、繊維、鉄鋼、自動車と対米輸出を伸ばしてきます。

何とか日本の勢いを止めようと、日本に「円」の切り上げを要求し、結果的に日本の国際競争力を半分にし、日本はその対応に努力しましたが、30年も成長が止まり、アメリカは安心しました。

次に伸びてきたのが中国です。中国は人口がアメリカの3倍以上ありますから、1人当たりGNPがアメリカの3分の1でも、GDPの規模はアメリカを越えます。

アメリカは中国にも人民元の切り上げを要求しましたが、中国は日本の例に学んでいてOKとは言いません。

それで、中国製品に関税を掛けたり、知財その他の問題で、対米輸出を抑えようとしましたが、アメリカの企業の中国での生産が多かったりでなかなか上手く行きません。

中国は、アメリカに対して「中国の発展を客観的かつ理性的にとらえ、両国関係が安定し、健全で持続可能な発展になるように考え方を変えるべきだ」(最近の王毅外相発言)などと言ってアメリカの圧力に反発します。

さて、こうなると、過去に大失敗の経験を持つ日本は、中国の主張をどう理解すべきか少し真剣に考えなければならないのではないでしょうか。

勿論、中国の主張は言葉上は正論です、中国のその他の言動を見れば、多くの問題があります。それと同時に、アメリカの日本に対する態度も、日本にとって適切でない事も沢山あります。

本来であれば、日本はアメリカに「ハイハイ」ばかり言わずに、日本自体の立場に立って、国際的に見て本当に適切なことをきちんとアメリカに言うべきなのでしょう。

しかし、現状は、アメリカに対して日本として、内外を貫く正論を確り言う事は大変難しいようです。

日本は今、国の存立の意義にかけて、先ずアメリカに、そして世界のどの国に対しても、戦後の日本が心掛けてきたように、正論を率直に話して行かなければならないのではないでしょうか。


輸入補助金の効果と経済行動

2024年03月06日 12時16分36秒 | 経済

前回は昨日発表された東京都区部の消費者物価指数の対前年同月比が1月の1.8%から2月は2.5%に上昇したという報道について実態を見ました。

物価の実態は沈静傾向が続いているのですが、政府の補助金などによる物価の下げがあった場合、「対前年同月」という統計の表示では、その分消費者物価は下がりますが、1年経過したところでその分が「上がる」という「計算上の」数字が出るので気を付ける必要があるという事を書きました。

勿論、マスコミではその分の説明はなされていますが、グラフを見ただけといった場合は「物価が上がったのか」と勘違いするので、念のためという事です。

今回は同じ「補助金による政府の負担軽減策についてですが、もう少し本質的な問題を考えてみたいと思います。

原油の輸入価格が高騰してガソリンの価格が上がって大変という事で、レギュラーガソリンが1リッター170円を越えたら元売りに補助金をだし、それ以上上がらないようにするという話を思い出す方は多いと思います。

電気代、ガス代についても昨年2月から政府は電力・ガス会社に補助金を出して電気料金、ガス料金の上昇を抑えるという国民の負担軽減策を取りました。結果、消費者物価は1%弱の下落となり、国民負担は軽減されました。

こうした政府の施策は、「国民に寄り添う」という言葉と共に行われているようですが、財源は結局赤字国債で、国民からの借金、将来の国民負担という事になります。

原油などのエネルギー価格高騰の中で、石油元売り企業が史上最高の利益を出したり、このところガス会社の株が大幅に上昇するといったこともあり、こうした「国民に寄り添う政策」がほんとうに国民のためになっているのか疑問という意見もあるようです。

輸入物価上昇については、何時も指摘していますが、輸入物価の上昇は、国民がみんなで背負うべきものなのです。国民全体が頑張って対応するしかないのです。

特にエネルギー資源といった問題につてはいかに省エネ技術を進めるか、再生可能エネルギーの低コスト化を実現するか、如何に安定した貯蔵法(特に電力)を考えるかといった問題は喫緊の課題なのです。

赤字国債でエネルギーの価格を下げて、それで国民のためになっていると考える政府は本当に「国民のために役割を果している」のでしょうか、それとも当面「ぬるま湯」を提供して、国民の問題意識や日本の技術進歩を遅らせているだけなのでしょうか。

嘗てのオイルショックの時、その後もエネルギー価格の上昇を予測した無資源国日本は徹底した省エネルギーのための技術開発を進め、世界に先駆けてエネルギー係数がマイナス、つまり、経済成長は実現したが、エネルギー消費は減少したという経済状態を作り上げた実績があると記憶しています。

日本経済の復活のためには国民全体のこうした気概と努力が大切なのではないでしょうか。


東京都区部の消費者物価指数実態に近づく

2024年03月05日 14時07分51秒 | 経済

今日、総務省統計局から2月分の東京都区部の消費者物価指数の速報が発表になりました。20日過ぎに発表になる全国指数の先行指標という意味で、特に気になる変化があった時は取り上げていますが、今回も、統計数字上誤解の懸念もあり取り上げました。

消費者物価はこの所、鎮静傾向が顕著で、日銀の植田総裁も金融政策(ゼロ金利脱出)との関連で注視しているところですが、2月の東京都区部の数字の「対前年上昇率」は総合指数で2.6%と1月の1.8%に比し、1ポイント近い上昇となっています。

私自身もまさかと思い、説明を見てみますと、原因は政府のエネルギー補助金のせいでした。

このブログの毎月の消費者物価の分析の時、昨年2月から電力・ガスなどエネルギー部門に政府が補助金をだし輸入エネルギー高騰が消費者を直撃しないようにすることで消費者物価は1ポイント近く下がったことは指摘していました。

それから丁度1年たったので「対前年上昇率」が高くなっていたのです。

「生鮮とエネルギーを除く総合」はエネルギー価格が入っていないので影響はありません。。

昨年2月から「総合」と「生鮮食品を除く総合」については、補助金で電力料金やガス代が下がったっ分だけ指数の対前年同月比は低くなっていました。

今年の2月になりますと、昨年の2月の分は、すでに補助金で下がっていますから、政府の補助金による指数の下落幅は消えて、その分対前年同月の物価上昇率は上がることになるのです。

       都区部「消費者物価指数」の対前年同月上昇率の推移

                 資料:総務省統計局「消費者物価指数」

グラフで見て頂くとよくお解りの様にエネルギー補助金に関係ない「生鮮とエネルギーを除く総合」(緑の線)では、昨年2月の下折れと、今年2月の上折れはありません。(青と赤の線では補助金の影響がはっきりです) 

つまり本来の「対前年」消費者物価指数の上昇率は「総合」と「生鮮を除く総合」の場合、昨年2月から今年の1月まで、補助金の分だけ「1年間だけ」下がるというのが「対前年上昇率」の数字なのです。

そんなことは解っていますと言われる方には不必要な説明をしてしましましたが、消費者物価の鎮静化傾向には変わりないと思っています。

いずれ補助金はなくなるでしょうから、その時は消費者物価そのものが現実に上がります。(そしてその後1年間は「対年同月上昇率」で今回と逆の現象が起きることになります)

グラフで3本の線が収斂して来た事は、物価の沈静傾向、それに物価の動き向が落ちついて来ている事を表していると思っています。


令和6年度経済見通し閣議決定、政府は本気か!?

2024年03月04日 17時02分39秒 | 経済

週明けの今日、日経平均は早速に日経平均40000円突破の報道です。「米国ダウの上昇を反映」といった解説もついていたりしますが、アメリカが上れば日本が上がるというのでは何か心もとない気もします。

いずれにしても今後日経平均は4万円台ですよ、これから景気は上向きですよと明るい展望を示唆してくれるのは、国民の気持ちも明るくなっていいことかもしれません。

一方では「アメリカがクシャミをすれば、日本は風邪を引く」などと言われた「経済のアメリカ追随」という意識はまだ消えていないのかと、ダウ平均の動きと日経平均の動きを眺めながら何か不安感が残ります。

日本が30年を超える苦難の経済状況の期間も、アメリカはリーマンショックの震源地でありながら、それなりに経済成長をしていました。一方、嘗て1980年前後、レーガン改革前後の時期はアメリカはスタグフレーションに苦しみ、日本はジャパンアズナンバーワンと言われました。

矢張り日本は、日本自体の力で、着実に対外・対内の両方に於いて、賢明な経済政策を確立し、実行して、健全な安定成長の路線を進んで行かなければならないのでしょう。

経済成長という国民の要望を考えれば考えるほど、誤りのない外交政策をベースにあくまでも「実体経済」の安定した成長を重視した経済政策の必要を痛感します。

前回も触れましたが、何よりも重視すべきは「実体経済動向」中心の視点、実質GDP成長の目標数字を確り設定し、それを確実に実現していくという政府の姿勢でしょう。

こんな事を書いてきたのも、令和6年度(2024年度)の政府経済見通しの発表を見て、こんな事でいいのかという感じを持つからです。

端的に数字を挙げてしまえば、さる1月26日閣議決定した「令和6年度の経済見通し」によれば、令和5年度(2023年度)の実質経済成長率の実績見込み1.6%に対し令和6年度の実質経済成長率は1.3%に下げられているのです。

政府があれだけ賃上げを奨励し、価格転嫁の指針まで作り、労使が賃上げの必要を認識し、一方、消費者物価は確実に上昇率の低下が予想されている中です。

閣議に参加した人たちは、政府も国民も、いかに消費不況脱出を願っているかを知りながら。民間消費の伸び実質1.2%、企業設備の伸び実質3.3%という投資偏重、消費軽視の見通しを「結構です」と決定しているのです。

政府はこの程度でいいのだと考えているのでしょうか。それとも関心事は、経済見通しの前提になる当初予算案の衆院通過で、通過さえすれば、事務局案に追加事項を加え閣議了解から、閣議決定に自動的に刷り変えればいいのだからでしょうか。あまりにも事務的で、今年こそ日本経済を何とかしなければといった気概や気迫は皆無のようです。

tnlaboでは、実体経済は、民間労使の努力を中心に、一層の改善ありと考えていますが、そのためには、補正予算を組めばいいというのでしょうか。(当初予算の意味は?)

頼りは民間労使の努力と、日銀の優れた舵取りでしょうか、期待する所です。


マネー経済から実体経済へ着実な転換を

2024年03月02日 20時39分51秒 | 経済

今年の春闘は、労使がそろって確りと賃上げをし、これまで長い間元気のなかった消費需要を盛り上げ、投資、消費のバランスのとれた安定成長経済に転換しようと考えていると思っています。

しかし、日本の労使がそう考えていても、日本経済に大きな影響を与える国際経済という現実があります。

日本は、自国経済のバランスを労使の判断で適切に運営しながら、国際経済が日本経済に与える影響に上手に対応し、出来れば上手く活用して、これまでの長かった長期の低成長経済からの脱却を果たさなければならないようです。

「プラザ合意」から始まって、日本の経済外交は失敗の連続でした。もうこれ以上失敗は出来ませんし、絶対失敗しないという意気込みで、内外情勢をつぶさに分析し消化して、さすが日本、いざとなればここ迄出来るのかと言われるような転換をする好機でしょう。

好機と書きましたが、客観的に見て、今の日本経済の状態は、そうした転換を可能にするのに必要な条件が国際競争力、対外黒字や国民の経済社会再建の意欲など具合よく揃っているように思うのです。

話を具体的にしていきますと、この所、国際資本が、日本の復活を予想して短期資金も長期資金も、日本に流れ込んでいます。

目立つのは国際投機資本の動きです。その効果でしょう、日経平均は1988年のバブル破裂直前の数字を超え、来週には40000円を超えそうな勢いです。

国内の投機筋はまだまだ日経平均は上がると色々なデータを出して更なる上昇を期待しています。この動きを日本としてどう受け止めるかという問題がありあります。

日経平均の上昇を望む人は多いと思いますが、問題は「もうか、未だか」をどう読むかです。やり方によってはバブル再来で、行くところまで行って破裂という可能性もあるわけで、それは失敗の典型でしょう。マネー経済が活発なときは企業に資金量は大きくなり、ますが、破裂すれば消滅です。

必要なことは、「奇貨置くべし」で、タイミングよくその資金を実体経済の成長に向けて、いかに上手に転換、活用するかでしょう。重要なのは勿論日本企業の経営戦略ですが、それを誘導するのは金融政策でしょう。バブルは放置すれば、破裂するまで続くのです。

折しも、アメリカは政策金利の引き下げの必要を感じており、日本はゼロ金利からの脱出を望んでいるのです。そしてこの動きは。投機に必然的に随伴する過度のボラティリティ―を伴う可能性が大きいのです。経済専門家も危険性は十分認識していると思います。

それは、株価と為替レートの2つの分野で共時性を持つのです。日本は、1990年前後の「地価と株価」のバブルの崩壊で典型的な形での失敗を経験しています。あの時は円高が先行していましたが、今回は円高も同期するということになるのでしょう。

今日の経済学、というより経済活動では、巨大に育ち過ぎたマネー経済の崩壊が実体経済に大きな負の影響を与えることは、リーマンショックが実演してくれた通りです。

今日のマネー経済の活況を、いかに上手に実体経済の健全な動きに繋げられるかどうか、日本企業労使、それに(今の政府では頼りになりませんが)金融政策当局としての日銀が、いかに巧みに事を運ぶか、折に触れて見ていきたいと思っています。


自民党の辞書には「倫理」という言葉はないようです

2024年03月01日 15時35分52秒 | 政治

前々回、2月28日には「全国一斉「納税ゼネスト」は如何?」と書きました。

総理以下5人の出席者が決まったことを受けて、自民党幹部である出席者が「政治倫理」そして人間としての倫理観をどのように理解しているのか聞いてみたいと思ったからです。

そして、昨日、今日と2日に亘る「政治倫理審査会」の模様を聞いたのですが、残念ながら100%落胆でした。

細かい内容はマスコミに報道されまあすからいちいち触れませんが、基本的な問題点を3つだけ挙げたいと思います。

権力の座に就くと時間がたつにつれて、権力を自分、あるいは自分達のために使うようになるようで、それが俗にいう「権力の腐敗」なのだと先日も書きましたが、自民党の中ではそれが確り進行していました。

具体的に言えば、特権階級である自分達のために、政治資金の収入・支出については国民に課される義務とは全く違ったルールを作り、それを便利に活用していたという事です。審査会のやり取りを聞いていて、呆れた3点とは、

  • 裏金づくりのルールが何時、誰によってつくられたかを誰も知らない。
  • その裏金についてのルールに従って収入の配分、支出の決定を誰がしているのか出席した幹部は誰も知らない。
  • そのカネは全て「現金」で動いていている。(銀行預金は記録が残ります)

出席者は一様に国民に不信感を持たせたことは申し訳ないというのですが、同時に、私は潔白ですと口を揃えています。

質疑応答が続くうちに、だんだん善悪の判断がごちゃごちゃになって、出席者のこんな答弁がどんな現実認識の上の成り立っているのかなどいろいろ考えてしまいました。

口裏を合わせて嘘を言っているのか、いやそれともこれが本音なのかと思ったり、テレビを見ているうちに気持ちが悪くなって、自民党というのは巨大な脱税組織で、政倫審の出席者は操り人形、裏にDeep State ならぬDeep Party があるのではないかといった妄想に駆られそうになりました。

今、書いていても気持ちが悪くなり、精神安定の危険も感じますのでもうやめます。