インドネシア:発電所建設反対デモ 住民ら1000人抗議
毎日新聞 2013年07月05日 20時51分(最終更新 07月05日 21時10分)
【ジャカルタ佐藤賢二郎】インドネシア中ジャワ州の州都スマランの環境管理局前で5日、同州バタン県で日本が官民一体で進める中部ジャワ発電所の建設に反対する地元住民約1000人が抗議デモを行った。
「バタンの発電所を断固拒否する」。建設予定地や周辺の住民らは環境管理局の建物を取り囲み、声を張り上げた。要求は(1)計画の即時取り消し(2)環境影響評価の発行差し止め(3)国軍や事業会社社員による用地売却強要の中止−−の3点。
インドネシアで大規模開発事業を行う際、事業計画者は所管官庁に計画書を提出し、審査を受ける。承認後、環境影響評価が発行され、所管官庁の大臣、または州知事が事業許可を出す。
中部ジャワ発電所を巡っては、地元の環境管理局長が今月1日、「8月にも計画書が承認される」と発言。反対派住民や環境保護団体は「環境管理局は中立ではない」と反発している。
事業会社は5月、建設用地の8割の買収が完了したと発表。今年10月の着工に向け、現地で地質調査や周辺道路の整備などを進めている。これに対し反対派は「事業許可の取得前に作業を開始し、明らかな違法行為」と非難。売却に反対する地主の土地も含まれているとして警察に通報するとしている。一方、事業会社の現地責任者は毎日新聞の電話取材に、「取得済みの土地のみで作業しており合法」と反論した。
完成後は発電量がアジア最大級となるこの石炭火力発電所計画を巡っては、環境破壊を懸念する住民の一部が強く反発。今も事業会社との交渉を拒否している。一方、事業会社や政府は10月着工を厳守するとしており、反対派との対立が更に先鋭化する恐れがある。