G7広島を終わって岸田首相がその成果を自画自賛した記者会見の模様が報道されました。その席上、全く発言を許されなかった記者がたまりかねて「逃げるのですか?」と質問しました。
その本人がツィッターで顛末を書きました。今のメディアの在り方を問う深刻な問題も指摘していますのでぜひ読んでください。
日曜の岸田首相会見でなぜ、私が「逃げるんですか」と問いかけたのか。その動画を先ほどアップしました。会見中に最前列の中央で挙手し続けましたが無視され、終了時に「事前に決まっていた社だけではなく、質問させて欲しい」「核軍縮ビジョンについて聞きたい」などと7度呼びかけましたが無視され、さらに首相が帰ろうとしたので「逃げるんですか」と問いかけました。岸田氏はようやく回答しました。 そもそも、30分間の予定の会見で岸田氏は23分演説。国内外4社の質問は事前に質問者も質問内容もすべて決まっており、岸田氏は事前に準備された回答メモを読み上げただけでした。首相本人がその場で発する肉声が全くなく、G7の首脳会見とは、到底呼べない内容の会見でした。だからこそ私は首相の真の答えを得たいと考え、挙手を続け、問いかけも重ねました。 私は米ホワイトハウスを担当していたとき、大統領や副大統領同行取材でモーターケード(大統領らの車列)に何度も入り、秒刻みのスケジュールと、世界の首脳のなかで最も厳しい警護のなかで取材してきました。米大統領はその合間でも、記者からの問いかけは非常に大事にし、時にかなりの時間をとって、マリンワン(大統領専用ヘリ)やエアフォースワン(大統領専用機)、ビースト(大統領専用車)を待たせ、記者からの呼びかけ質問に答えるのが常です。私が、東日本大震災の当日にオバマ大統領から、記者会見で答えてもらったのも、私のシャウト(呼びかけ質問)からのやりとりでした。 岸田首相会見と同じ日曜の夜には、バイデン米大統領の会見にも出ました。私の呼びかけ質問はバイデン氏にかわされてしまいましたが、バイデン氏は他の米メディア記者からの呼びかけ質問や更問いにメモなしで次々と答えていました。 ゼレンスキー大統領の、やはり日曜日夜の会見は、メモを読む8分間の冒頭演説のあとは、25分間にわたって記者の質問にメモなしで答える、まさに丁々発止のやりとりでした。 日本の首脳会見で、質問者と質問内容が事前にすべて決まり、岸田首相と司会者、全大手メディアの記者たちが、シナリオ通りに「演技」をするのは、どう考えても異常です。G7の一角として、恥ずべき「歌舞伎会見」、「やらせ会見」です。それに唯唯諾諾と従う日本の大手メディアの責任はあまりにも重く、読者や視聴者を騙し、深く裏切る行為だと思います。