明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて( 32 )気仙沼からの便り・・・その5

2011年04月10日 09時30分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110410 09:30)

気仙沼のアビスさんからの便りを転送します。
さきにアビスさんの温かい文章をお届けし、
そののちに僕のコメントを加えさせていただきます。


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妄想を、申そう。 2011年04月09日05:58

7日、夜。
また揺れました。311以来の大きな揺れでした。
築70年で、もともと床に傾きを感じる我が家にいると、
正直なとこ、大丈夫かなぁと、思ってしまうのですが、
結構大丈夫です。

今回は、秋田から来ている、Yanaty,Panchi,Mauの3人がいたおかげで、
揺れながら、笑ってました。でも、また停電です。

もうかれこれ、6時間ぐらいたっても、復旧しないところを見ると、
送電に異常が発生したのでしょうか?

また、東北電力の人たちが、懸命に復旧活動しているのでしょうね。
山水人ネットワークのご支援で、送ってもらったノートPCの
おかげで、停電の最中、日記を書いています。

今回も、津波警報がでましたね。海の近くにいらっしゃる方々は、
避難されたのでしょうか?
なまなましく、あの日の記憶が焼き付いている人たちは、
避難指示が出る前に、いち早く高台を目指したことでしょう。
あの時間に大変なことだったでしょう。

やっぱ、今の東北は大変ですね。
東北に限らず、日本全体が大変と言う意見も聞こえましたが、
福島原発のあの状況を考えると、原発事故のお膝元は、大変です。

今までは、冬型的な気象状況でしたが、
これから、夏型の気象に移行していくと、北風主流が、南風主流になり、
関東周辺で起きた事の何倍もの事が、福島原発以北で
起きるのではないかと、気象に関して、まったくの素人の俺は、
思っているのです。

しかし、この周辺の行政は、ボランティアを受け入れてますねぇ。
あれって、どういうことなんでしょう?

何人か、俺の所へも手伝いに行くよと電話がありましたが、
関東以南以西の人には、 「これから子供を作る予定の人がある人は、
来ないでくれ。」と、言ってます。

40、50すぎで、家族計画を終了し、
人生が5年ぐらい短くなってもいいんだったら、
手伝ってくれれば、助かりますと、言ってます。

最悪のことをシュミレーションして、
それから物事を考えて行く俺の思考癖は、
どうしても、こう思ってしまいます。

そういう俺の目から見ると、行政のボランティアの受け入れには、
疑問を感じざるおえません。

この状況でボランティアに行こうと思い、敏速に行動する、
すばらしい人材が、今、被ばくの危機に晒されています。

わざわざ、この危険な東北に被災された人を助けようと、
遠路はるばるやって来てくれる優秀な人材のDNAが
汚されようとしています。

その、ボランティア行為を奨励している行政に、
何らかの意図を感じてしまう俺は、人間不信に陥って
いるのでしょうか?

幕末に、本気で日本の将来を考えていた人ほど、
早い時期に命を失い、自己防衛に長けていた人ほど
生き残り、その人たちが明治政府を作っていったと、
確か司馬遼太郎先生が、書いていられたと記憶してます。

そんな昔読んだ文と、今の状況が俺の頭の中で
リンクしてしまいます。

この状況を、海外から見たらどう見えるのでしょうか。
原発事故後、30Kmしか避難指示を出さないこの国の政府と、
そんな政府に判断を任せ、30Kmから100kmぐらいの間で、
社会とのしがらみの鎖を断ち切れず、
生命の維持より、社会とのつながりを選ばざるおえない人々。

会社の社員である前に、一人の地球に存在する生命として、
物事を判断して生きたいものですよね。難しいことだけど、、、。

でも、縄文とかそんな時代には、それが当たり前だったんだろうなぁ。

安全と便利の代償に、生命維持という最低不可欠の物を
差し出しちゃったように見えちゃってます。
考えすぎですよね。

突然の停電のおかげで、俺の思考は、妄想という
バーチャル ワールドを、
旅してるようです。

そんなバーチャル ワールドから一言。
これから子供を作る人は、
軽率な行動で、DNAを汚さないでください。

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実は数日前に、初めてアビスさんと電話で話をしました。

この便りの中にもあるように、アビスさんは
周辺の行政が、ボランティアに若者を受け入れていることに対し、
心を痛めておられました。

2人で、もし原発のことがなければ、周りの若者の全てに
気仙沼に来い、気仙沼に行け、被災地を体験せよと言うのにと
語りあいました。それはきっと若い人々のこれからに
貴重な何かをもたらすと思えるからです。
しかし・・・・・。

またアビスさんから、避難所で配れる、放射能から身を守る
すべのようなものを書いてもらえないかと依頼されました。
ただ、それを配っていいかどうかも悩んでいる。被災の苦しみの
中にいる人々に、さらに被ばくの危険性をどう伝えるのか。
伝えない方が、心配しなくていいのかもしれない。
でも伝えなくていいのか・・・と悩んでおられました。

そんな中、窒素注入で、新たな放射性物質の大量放出が迫っている
ことを知り、昨日、大急ぎで放射能から身を守るすべについて
まとめましたが、ご覧のように、もの凄い長文になってしまい、
配れるサイズに収めきれませんでした。これではダメです。

また後で詳しく書きますが、放射線規制値について、僕の
書き方では、年間1ミリシーベルトの放射線で、10万人に5人が
亡くなる事実を受け入れるかのような書き方になっています。

実は昨日の講演会のおりに、尊敬する京都精華大学の細川弘明
先生より、「そんなことを認めてしまってはだめだ。10万人の
ために5人に死んでくれということだよ。これは」と指摘を受け、
大変、はっとしました。その点も含めて、書き直さなければと
思っています。みなさんにも申し訳ないです。

ともあれ避難所の方たちのことを考え、アビスさんの意見を聞き、
その詩的センスにも学びながら、その場で配れるものを
つむぎだそうと思います。

ただ考えてみると、アビスさんと僕が悩んでいることは、本来、政府と
マスコミが回答を出すべきことでもあります。
とくに政府は、これから毒を大気中に流すことになるのだから、そのことを
きちんと伝える義務がある。

水素爆発を止めるための窒素注入はやむを得ない。しかしそれで
これからどこそこに放射能が流れますよ。これこれの地域の方は
気をつけてくださいと言うべきなのです。それこそスピーディーを
リアルタイムで公開して、人々が身を守れるようにしなければいけない。
そのための立派な装置を、私たちの国は持っているのです。

また原発を取材しているマスコミも、当然、これぐらいのことは予測できる
のだから、そのことを周辺住民に伝えるべきなのです。
いやそもそも、被災者の中に入り込んで、心温まるレポートを発信している
多くの記者さんたちだって、被ばくをまぬがれません。このことを
現場記者さんたち同士が問題にしあい、被災者と自分たちを守るために
行動して欲しいです。

この国の政府はやはり残酷です。
そしてこの国のマスコミ中枢の人々も。
同朋に、同僚や部下に、毒が迫っていることを教えない。
そんなことが許されてよいはずがありません・・・。


話題を変えましょう。
昨日は講演会があり、100人の方が参加してくださいました。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

また主催者のアタック京都の方たちが、集まった参加費から、
講演会の実費をのぞいた額を、気仙沼にカンパして下さることに
なりました。33,422円が集まりました。アタック京都のみなさま、
ありがとうございました。

他にも京都、滋賀、神戸、高知の方から、物資を送りたいと言う
嬉しく、ありがたい申し出がありました。

高知の方は、農を営んでいる友人なのですが、周辺の農家にも
回って、たくさんのお茶を届けてくださることになっています。
ちなみにお茶のカテキンには、放射線で傷ついた細胞の回復を
促す作用があるのだとか。
2人で「本当かなあ」と笑いつつ、でもそのような研究もあると
いうことを書き添えておこうと話し合っています。

気仙沼の方々に、高知のおいしいお茶が届いて、ほっとした
ひと時をもっていただければと思います。

みなさんも、どうか出来る範囲内での支援をお願いします。


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