守田です。(20110416 12:40)
朝日新聞が注目すべき記事を載せています。
今回の福島での事故を受けて、国内各地の原発に安全対策を問い合わせた
ところ、その大半で長期電源喪失事故への想定がないことなど、安全設計上の
問題が多数あることが分かったという内容です。
つまり今、私たちの国は、現在進行形のフクシマという事態以外にも、大変な
危機を抱えていることが浮き彫りになっています。当面、もっとも危険なのは
浜岡原発でしょうが、しかし他の大半の原発も、大地震や大津波が起これば
すぐに危機に陥ってしまうのです。危機は浜岡だけにあるのではありません。
この点からも、全ての原発を早急に止めることが急がれます。
同時に、フクシマの事態は、運転を止めていても、燃料棒がある限り、原発が
なお大きな危険性をはらんでいることを明らかにしています。
このため、津波対策、燃料棒の可能な限りの安全管理と、その厳重な監視
体制を作りだすことも急務です。
おそらく、そのためにたいへんな額の予算が必要になるでしょう。原子力発電が
本当は、天文学的なコストを要するものであることが、一気に表面化してくると
思います。しかしそのコスト、運転ではなくて、廃炉にして、
極めて難しい安全管理に移行していくコストを、私たちの社会は払い続けなけ
ればなりません。原子力発電を推進してきた企業などが中心的に担う以外ない
でしょうが、ともあれ、安全のためには、脱原発の道を急ぐ以外、選択の道は
ないと思います。(この点はまた詳しく論じたいと思います)
こうした私たちの国の混乱、現在進行形で、ゆっくりと、長く、大量に続く、
福島原発からの大量の放射能漏れを前にして、ドイツは、いち早く原子力
発電の運転期間の短縮を決定しました。
メルケル首相は、「我々はみな、できる限り早く核エネルギーから脱却し、
(風力などの)再生可能エネルギーへと乗り換えたいと考えている」と
声明しています。人間としての当然の本能に素直に従った英知を感じます。
またそれは私たちの悶絶の苦しみを、正しく受け止めてくれている声明で
あるとも思えますが、今、連続する放射能漏れに、もっとも苦しんでいる
私たちの国の中でこそ、こうした英知が輝かねばならないと思います。
今日の午後3時半から、大阪中之島公園にて、緊急の「原発いらん!関西行動」
が呼び掛けられています。僕もこれから出かけます。
1人での多くの人が、私たちの命と、未来世代を守るために、声をあげるべき
ときです。
**************************
国内原発の大半、安全対策に難点 長期電源喪失想定など
2011年4月16日3時7分 朝日新聞
東京電力福島第一原発の事故をめぐり、朝日新聞が全国の10電力会社
などに安全対策に関する調査を実施したところ、大半が事故前、長期間の
電源喪失など第一原発レベルの事故に対応する態勢をとっていなかった
ことが分かった。第一原発で被害を拡大させた疑いがある安全設計上の
問題を同様に抱える原発が多数あったことも判明。各電力では、津波対策
などに乗り出している。
調査対象は、国内の17商業用原発で54基の原子炉を運転する計10
電力と、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を運転する日本原子力研究
開発機構。福島第一原発事故前の(1)炉心溶融などの過酷事故の想定や
訓練(2)全電源喪失時のバックアップ態勢(3)非常用ディーゼル発電機や
海水ポンプの設置状態――について調べた。
(1)では、10電力のうち東京、東北、中部各電力など7社と同機構が
事故の際、非常用バッテリーが動く5~8時間で外部電源などが復旧すると
想定。第一原発事故で起きたような数日間にわたる長期全電源喪失への
対策や訓練はなかった。
(2)では、福島第一原発事故の前は、関西電力を除く9社と同機構は、
原発内や付近に、外部電源などの喪失に備えた電源車を配備していなかった。
また、(3)では、福島第一原発で、非常用ディーゼル発電機が水密性の
高い原子炉建屋内に設置されていなかったことや、海水ポンプが建屋内に
収容されていなかったことが、津波を受けた後の電源喪失事故に至った
主要な原因ではないかと東電内で指摘されている。これらの点について、
四国電力伊方原発(愛媛県)や九州電力川内原発(鹿児島県)など12カ所の
計31基で、ディーゼル発電機が原子炉建屋ではなく、タービン建屋内
などに設置されていた。海水ポンプも、関西電力美浜原発(福井県)や
九州電力玄海原発(佐賀県)など11カ所の計34基で、屋外にほぼむき
出しの状態で置かれていた。
各電力は事故後、(1)については長期間の電源喪失を想定した緊急訓練を
実施。(2)の電源車も急きょ配備を進めている。(3)については、「想定した
津波より高い位置にあり、安全性に問題はない」(関西電力)との見方も
あるが、非常用ディーゼル発電機が置かれた建屋の扉を水密性の高い
ものに取りかえたり、海水ポンプの周囲に防護壁を設置するなどの対策が
進められている。(中村信義、舟橋宏太)
http://www.asahi.com/national/update/0416/TKY201104150581.html
ドイツ、原発運転期間を短縮へ 福島事故で方針転換
2011年4月16日6時59分
ドイツのメルケル首相は15日、野党・社会民主党も含む国内16州の
州首相らと今後のエネルギー政策について協議し、国内の原子力発電所の
運転期間を短くすることで合意した。6月17日までに法改正を目指す。
具体的な短縮期間は決まっていない。
首相は協議後の会見で、「我々はみな、できる限り早く核エネルギーから
脱却し、(風力などの)再生可能エネルギーへと乗り換えたいと考えている」と
述べた。ドイツには17基の原発があり、これまでの計画では、最長2040年
過ぎまで稼働させる方針だった。
メルケル政権は昨年、原発の運転期間を平均で12年間延長する原子力法
の改正をしたばかりだったが、福島第一原子力発電所の事故を受けて
方針転換。今回の協議で、超党派で「脱原発」を急ぐ考えをさらに明確にした。
(ベルリン=松井健)
http://www.asahi.com/international/update/0416/TKY201104160089.html
朝日新聞が注目すべき記事を載せています。
今回の福島での事故を受けて、国内各地の原発に安全対策を問い合わせた
ところ、その大半で長期電源喪失事故への想定がないことなど、安全設計上の
問題が多数あることが分かったという内容です。
つまり今、私たちの国は、現在進行形のフクシマという事態以外にも、大変な
危機を抱えていることが浮き彫りになっています。当面、もっとも危険なのは
浜岡原発でしょうが、しかし他の大半の原発も、大地震や大津波が起これば
すぐに危機に陥ってしまうのです。危機は浜岡だけにあるのではありません。
この点からも、全ての原発を早急に止めることが急がれます。
同時に、フクシマの事態は、運転を止めていても、燃料棒がある限り、原発が
なお大きな危険性をはらんでいることを明らかにしています。
このため、津波対策、燃料棒の可能な限りの安全管理と、その厳重な監視
体制を作りだすことも急務です。
おそらく、そのためにたいへんな額の予算が必要になるでしょう。原子力発電が
本当は、天文学的なコストを要するものであることが、一気に表面化してくると
思います。しかしそのコスト、運転ではなくて、廃炉にして、
極めて難しい安全管理に移行していくコストを、私たちの社会は払い続けなけ
ればなりません。原子力発電を推進してきた企業などが中心的に担う以外ない
でしょうが、ともあれ、安全のためには、脱原発の道を急ぐ以外、選択の道は
ないと思います。(この点はまた詳しく論じたいと思います)
こうした私たちの国の混乱、現在進行形で、ゆっくりと、長く、大量に続く、
福島原発からの大量の放射能漏れを前にして、ドイツは、いち早く原子力
発電の運転期間の短縮を決定しました。
メルケル首相は、「我々はみな、できる限り早く核エネルギーから脱却し、
(風力などの)再生可能エネルギーへと乗り換えたいと考えている」と
声明しています。人間としての当然の本能に素直に従った英知を感じます。
またそれは私たちの悶絶の苦しみを、正しく受け止めてくれている声明で
あるとも思えますが、今、連続する放射能漏れに、もっとも苦しんでいる
私たちの国の中でこそ、こうした英知が輝かねばならないと思います。
今日の午後3時半から、大阪中之島公園にて、緊急の「原発いらん!関西行動」
が呼び掛けられています。僕もこれから出かけます。
1人での多くの人が、私たちの命と、未来世代を守るために、声をあげるべき
ときです。
**************************
国内原発の大半、安全対策に難点 長期電源喪失想定など
2011年4月16日3時7分 朝日新聞
東京電力福島第一原発の事故をめぐり、朝日新聞が全国の10電力会社
などに安全対策に関する調査を実施したところ、大半が事故前、長期間の
電源喪失など第一原発レベルの事故に対応する態勢をとっていなかった
ことが分かった。第一原発で被害を拡大させた疑いがある安全設計上の
問題を同様に抱える原発が多数あったことも判明。各電力では、津波対策
などに乗り出している。
調査対象は、国内の17商業用原発で54基の原子炉を運転する計10
電力と、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を運転する日本原子力研究
開発機構。福島第一原発事故前の(1)炉心溶融などの過酷事故の想定や
訓練(2)全電源喪失時のバックアップ態勢(3)非常用ディーゼル発電機や
海水ポンプの設置状態――について調べた。
(1)では、10電力のうち東京、東北、中部各電力など7社と同機構が
事故の際、非常用バッテリーが動く5~8時間で外部電源などが復旧すると
想定。第一原発事故で起きたような数日間にわたる長期全電源喪失への
対策や訓練はなかった。
(2)では、福島第一原発事故の前は、関西電力を除く9社と同機構は、
原発内や付近に、外部電源などの喪失に備えた電源車を配備していなかった。
また、(3)では、福島第一原発で、非常用ディーゼル発電機が水密性の
高い原子炉建屋内に設置されていなかったことや、海水ポンプが建屋内に
収容されていなかったことが、津波を受けた後の電源喪失事故に至った
主要な原因ではないかと東電内で指摘されている。これらの点について、
四国電力伊方原発(愛媛県)や九州電力川内原発(鹿児島県)など12カ所の
計31基で、ディーゼル発電機が原子炉建屋ではなく、タービン建屋内
などに設置されていた。海水ポンプも、関西電力美浜原発(福井県)や
九州電力玄海原発(佐賀県)など11カ所の計34基で、屋外にほぼむき
出しの状態で置かれていた。
各電力は事故後、(1)については長期間の電源喪失を想定した緊急訓練を
実施。(2)の電源車も急きょ配備を進めている。(3)については、「想定した
津波より高い位置にあり、安全性に問題はない」(関西電力)との見方も
あるが、非常用ディーゼル発電機が置かれた建屋の扉を水密性の高い
ものに取りかえたり、海水ポンプの周囲に防護壁を設置するなどの対策が
進められている。(中村信義、舟橋宏太)
http://www.asahi.com/national/update/0416/TKY201104150581.html
ドイツ、原発運転期間を短縮へ 福島事故で方針転換
2011年4月16日6時59分
ドイツのメルケル首相は15日、野党・社会民主党も含む国内16州の
州首相らと今後のエネルギー政策について協議し、国内の原子力発電所の
運転期間を短くすることで合意した。6月17日までに法改正を目指す。
具体的な短縮期間は決まっていない。
首相は協議後の会見で、「我々はみな、できる限り早く核エネルギーから
脱却し、(風力などの)再生可能エネルギーへと乗り換えたいと考えている」と
述べた。ドイツには17基の原発があり、これまでの計画では、最長2040年
過ぎまで稼働させる方針だった。
メルケル政権は昨年、原発の運転期間を平均で12年間延長する原子力法
の改正をしたばかりだったが、福島第一原子力発電所の事故を受けて
方針転換。今回の協議で、超党派で「脱原発」を急ぐ考えをさらに明確にした。
(ベルリン=松井健)
http://www.asahi.com/international/update/0416/TKY201104160089.html