守田です。(20110412 21:30)
先ほど、レベル7についての追加記事を流したところ、友人が日経新聞の
記事で、「推計量はいずれも大気中への放出量だ。海水への漏出なども
加えるとさらに放出量は上がる可能性がある」という記述があることを
知らせてくれました。
この点を踏まえて、先にお送りした、朝日新聞と読売新聞の記事を
精読したところ、そこにも大気中への放出という点が書かれていました。
この点を、僕はミスリーディングしていました。申し訳ありません。
ただこの発表が、極めてミスリーディングしやすいものであることも、事実
なのではないかと思えます。注意して読んでいても、ひっかけられてしまう。
保安院も原子力安全委員会も、チェルノブイリの1割だとか述べている
わけですが、何のことはない、海洋汚染も、タンクに移そうとしている
数万トンの汚染水も数えないままにそう述べているのです。
この汚染水はどれぐらいの放射能を含んでいるのでしょうか。
誰も正確な測定ができていないとは思いますが、僕は新聞に出ている
データから、大雑把に見積もって、180京ベクレルという値を出したことが
あります。(当初、あやまって1800京ベクレルと書きましたが後から0一つ
まちがえていたことに気づいて180京に修正しました)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/14a329250333118eeca39113fe25b9b9
これが実態にどれほど近いか分かりませんが、少なくとも、タンクに移そうとして
いる汚染水の放射能の量は、数万ベクレルではおさまらないことは確実だと
思います。なのでこれを加えれば、チェルノブイリの1割などという値はすぐに
超えてしまいます。
にもかかわらず、保安院や原子力安全委員会は、どうしてこのような
言い方をするのでしょうか。ここまで来て、人を欺こうとしているのでしょうか。
僕は実は、今のこれらの人々に、それほど露骨に欺こうという意図はない
のかもしれないとも思います。むしろ「習い性」になっているのではないか。
常にあいまいで分かりにくい発言を繰り返し、相手がミスリーディングする
ような言い方を続けてきたので、ついついそういう言い方をしてしまうのでは
ないでしょうか。
しかしそれだけに、聞き手がひっかかってしまいやすい面がある。そうすると
こうした「原子力業界用語」に不慣れな人々、政府官僚や、記者なども
ひっかかってしまいやすい。そのことで、現場の混乱が増幅しているのでは
ないでしょうか。
いや当人たちも、桁外れの数字が次々と出て来て混乱している。しかし
昨日まで1リットルあたりいくらと発表してたものを、突然、1CCあたりいくら
と、注意の喚起すらせずに発表したりするので、自分たちでも混乱してしまう
面があるように思えます。実際に数値の桁を間違えたりしている。
こういう人々を中枢においた危機への対処は、ただそれだけで、危機を
増幅させているように僕には思えてます。
ともあれ、「最悪のレベル7」への引き上げは、海洋汚染を除外した上での
数字であること。原子力安全委員会が見積もった67万テラベクレルという
放射能漏れにプラスアルファして、海洋に流れ込んだもの、タンクに移そうと
している膨大な汚染物質があることを、私たちは、しっかりと見据えて
おきましょう。
*****************************
福島原発、最悪のレベル7 放射性物質を大量放出
2011/4/12 12:09 日本経済新聞
経済産業省の原子力安全・保安院と国の原子力安全委員会は12日、東京
電力福島第1原子力発電所の事故を原発事故の深刻度を示す国際評価
「国際原子力事象評価尺度(INES)」で最悪の「レベル7」へ2段階引き上げた
と発表した。レベル7は、過去に旧ソ連で1986年に起き、史上最悪といわれる
チェルノブイリ原発事故しかない。東日本大震災で原発を安全に止められず、
1カ月たっても復旧に手間取っていることが、事故の重大さを際立たせている。
評価尺度は原子力施設の損傷や外部に漏れ出た放射性物質の程度、被曝
(ひばく)被害の大きさなどをもとに決まる。
保安院はこれまで福島第1原発1~3号機の事故をレベル5(所外へのリスク
を伴う事故)と暫定評価していた。
安全委と保安院は福島第1原発1~3号機から大気中に放出された放射性
物質の量についてそれぞれ推計した。放射性ヨウ素131換算で、安全委は
大気中の観測結果から逆算して63万テラ(テラは1兆)ベクレル、保安院は
原子炉の状態から37万テラベクレルと推計した。特に2号機で圧力抑制室の
損傷が起きた3月15~16日に大量放出されたようだ。
レベル7は放出量が数万テラベクレル以上とされており、これを1桁上回る
ことなどがレベルの引き上げにつながった。
史上最悪とされるチェルノブイリ原発事故では520万テラベクレルとされ、
同じレベル7でも放出量は約1割であると保安院は説明している。ただ、
推計量はいずれも大気中への放出量だ。海水への漏出なども加えるとさらに
放出量は上がる可能性がある。
国際評価尺度は、原発事故の深刻度を0~7の8段階に設定。過去の原発
事故では、レベル5に米で79年に起きたスリーマイル島原発事故がある。
99年のJCO東海事業所の臨界事故はレベル4だった。
福島第1原発は事故発生から1カ月が過ぎた12日現在も原子炉の安定停止の
見通しが立たない状況。12日午前には福島第1原発の放射線量測定建屋で
発煙があり、消火した。低レベル汚染水の排水も遅れており、2号機などに
ある高濃度の放射性物質を含む汚染水の移送作業は進んでいない。
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819595E3E0E2E2E08DE3E0E2E6E0E2E3E39F9FE2E2E2E2;bm=96958 A9C93819595E3E0E2E2EB8DE3E0E2E6E0E2E3E39C9C91E2E2E2
先ほど、レベル7についての追加記事を流したところ、友人が日経新聞の
記事で、「推計量はいずれも大気中への放出量だ。海水への漏出なども
加えるとさらに放出量は上がる可能性がある」という記述があることを
知らせてくれました。
この点を踏まえて、先にお送りした、朝日新聞と読売新聞の記事を
精読したところ、そこにも大気中への放出という点が書かれていました。
この点を、僕はミスリーディングしていました。申し訳ありません。
ただこの発表が、極めてミスリーディングしやすいものであることも、事実
なのではないかと思えます。注意して読んでいても、ひっかけられてしまう。
保安院も原子力安全委員会も、チェルノブイリの1割だとか述べている
わけですが、何のことはない、海洋汚染も、タンクに移そうとしている
数万トンの汚染水も数えないままにそう述べているのです。
この汚染水はどれぐらいの放射能を含んでいるのでしょうか。
誰も正確な測定ができていないとは思いますが、僕は新聞に出ている
データから、大雑把に見積もって、180京ベクレルという値を出したことが
あります。(当初、あやまって1800京ベクレルと書きましたが後から0一つ
まちがえていたことに気づいて180京に修正しました)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/14a329250333118eeca39113fe25b9b9
これが実態にどれほど近いか分かりませんが、少なくとも、タンクに移そうとして
いる汚染水の放射能の量は、数万ベクレルではおさまらないことは確実だと
思います。なのでこれを加えれば、チェルノブイリの1割などという値はすぐに
超えてしまいます。
にもかかわらず、保安院や原子力安全委員会は、どうしてこのような
言い方をするのでしょうか。ここまで来て、人を欺こうとしているのでしょうか。
僕は実は、今のこれらの人々に、それほど露骨に欺こうという意図はない
のかもしれないとも思います。むしろ「習い性」になっているのではないか。
常にあいまいで分かりにくい発言を繰り返し、相手がミスリーディングする
ような言い方を続けてきたので、ついついそういう言い方をしてしまうのでは
ないでしょうか。
しかしそれだけに、聞き手がひっかかってしまいやすい面がある。そうすると
こうした「原子力業界用語」に不慣れな人々、政府官僚や、記者なども
ひっかかってしまいやすい。そのことで、現場の混乱が増幅しているのでは
ないでしょうか。
いや当人たちも、桁外れの数字が次々と出て来て混乱している。しかし
昨日まで1リットルあたりいくらと発表してたものを、突然、1CCあたりいくら
と、注意の喚起すらせずに発表したりするので、自分たちでも混乱してしまう
面があるように思えます。実際に数値の桁を間違えたりしている。
こういう人々を中枢においた危機への対処は、ただそれだけで、危機を
増幅させているように僕には思えてます。
ともあれ、「最悪のレベル7」への引き上げは、海洋汚染を除外した上での
数字であること。原子力安全委員会が見積もった67万テラベクレルという
放射能漏れにプラスアルファして、海洋に流れ込んだもの、タンクに移そうと
している膨大な汚染物質があることを、私たちは、しっかりと見据えて
おきましょう。
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福島原発、最悪のレベル7 放射性物質を大量放出
2011/4/12 12:09 日本経済新聞
経済産業省の原子力安全・保安院と国の原子力安全委員会は12日、東京
電力福島第1原子力発電所の事故を原発事故の深刻度を示す国際評価
「国際原子力事象評価尺度(INES)」で最悪の「レベル7」へ2段階引き上げた
と発表した。レベル7は、過去に旧ソ連で1986年に起き、史上最悪といわれる
チェルノブイリ原発事故しかない。東日本大震災で原発を安全に止められず、
1カ月たっても復旧に手間取っていることが、事故の重大さを際立たせている。
評価尺度は原子力施設の損傷や外部に漏れ出た放射性物質の程度、被曝
(ひばく)被害の大きさなどをもとに決まる。
保安院はこれまで福島第1原発1~3号機の事故をレベル5(所外へのリスク
を伴う事故)と暫定評価していた。
安全委と保安院は福島第1原発1~3号機から大気中に放出された放射性
物質の量についてそれぞれ推計した。放射性ヨウ素131換算で、安全委は
大気中の観測結果から逆算して63万テラ(テラは1兆)ベクレル、保安院は
原子炉の状態から37万テラベクレルと推計した。特に2号機で圧力抑制室の
損傷が起きた3月15~16日に大量放出されたようだ。
レベル7は放出量が数万テラベクレル以上とされており、これを1桁上回る
ことなどがレベルの引き上げにつながった。
史上最悪とされるチェルノブイリ原発事故では520万テラベクレルとされ、
同じレベル7でも放出量は約1割であると保安院は説明している。ただ、
推計量はいずれも大気中への放出量だ。海水への漏出なども加えるとさらに
放出量は上がる可能性がある。
国際評価尺度は、原発事故の深刻度を0~7の8段階に設定。過去の原発
事故では、レベル5に米で79年に起きたスリーマイル島原発事故がある。
99年のJCO東海事業所の臨界事故はレベル4だった。
福島第1原発は事故発生から1カ月が過ぎた12日現在も原子炉の安定停止の
見通しが立たない状況。12日午前には福島第1原発の放射線量測定建屋で
発煙があり、消火した。低レベル汚染水の排水も遅れており、2号機などに
ある高濃度の放射性物質を含む汚染水の移送作業は進んでいない。
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819595E3E0E2E2E08DE3E0E2E6E0E2E3E39F9FE2E2E2E2;bm=96958 A9C93819595E3E0E2E2EB8DE3E0E2E6E0E2E3E39C9C91E2E2E2