コルゲンコーワのカロワイドと言うカメラです。1955年の発売とのことですが、露出計は内蔵しない距離計連動カメラです。シャッターは精工舎のMXと定番のシャッターの供給を受けますので、カメラメーカーはレンズと暗箱を作れば製品が完成する時代です。今回は2台同時にメンテナンスをしますが、初期型なのかなぁ#300XXと#374XXの個体です。まず、#300XXの方からですが、純正フィルターを外すと本体側のリングまで外れて来ました。周り止めのようなイモネジもありません。
シャッターは不調ですが定番なのでUPは省略します。ヘリコイドグリスが抜けていますので分解の上、交換しておきます。
底部はなんと潔い手作り感満載の作りですね。アンダーカバーにへこみがありますので(赤●)修正をしておきます。巻上げギヤとリンケージの清掃とグリス塗布。
巻上げ機構はシンプルです。前面棒状の部品がスライドしてシャッターチャージをします。フィルムカウンターは巻き上げレバー内で完結しています。
接眼レンズの清掃。黒の押さえリングはネジ式ではありません(接着)
距離ダイヤルですが、なぜかヤスリのようなもので削られています。
何の意図でしょうね? アルマイトが掛かっていたかアロジン処理のみなのかは不明ですが、修正をしてバフ掛けします。
こんな感じになりました。緩まないようにしっかりフィルターリングを絞め込みます。
どうしようかと考えましたがシボ革の欠損部分を補修しておくことにします。
こちらは#374XXです、やはりシャッター不調とヘリコイドグリス抜けがあります。初期のダイカストボディーより仕上がりが格段と良くなっています
シボ革はパリパリ剥がれてしまうタイプで、こちらの個体も欠損部があります。気になるので補修しておきます。まずは型紙取り。
シャッター制御のリンケージ。左端のリングナットはどちらの個体でも緩んでいました。
後玉は汚れがありますが、ご覧のようにローレット付きですので分解は非常に楽です。
ファインダーは初期型には前面ガラスがありませんでしたが、こちらには前面ガラスがあります。清掃はしにくいです。また、ハーフミラーは初期型は全面蒸着ですが、こちらは中央部のみの蒸着です。よって、ファインダー像に色がつきません。28▲28の深度目盛りは初期型は直接彫刻ですが、こちらは別プレートのネジ留めです。
トッフカバーの巻き戻し側の留め方も変更されています。初期型は側面ネジ留め。こちらは巻き戻し軸部のナット式です。
比べると良く分かりますね。その他、巻き戻しダイヤルはバルナックのように引き出し式で伸びますが、精度が荒くダンパーグリスを塗布してもスカスカです。#374XXの方は精度が良くなり内部にリン青銅のバネが組み込まれていてガタが無いように改良されています。
左が初期型#300XXで右が#374XXですが、深度目盛り、シャッターダイヤルの彫刻文字が変更されています。
裏蓋の圧板の材質も違いますね。初期はガラス製、#374XXは金属製。
初期型は少数生産の手作り感一杯でしたが、#374XXではかなり品質も改良されているのが分かります。スナップ用カメラとして人気があったようですね。