INOBOOさんからもう1台、ロードマチック 23石 5606-7071が来ていますが、その前に私の所有を仕上げます。セイコーマーベル 17石で耐震装置の無い初期型です。不動のジャンクでしたが、長期に不動のため、香箱車と二番車が油汚れで固着していたのが不動の原因です。オーバーホールを終えて、元気に作動しています。
オリジナルの文字盤は絹目の珍しいデザインですが、劣化が激しいので、デッドストックを使います。新品ですが3時の部分の傷があるのが惜しいです。針は太めの剣型と私の好みですので、磨いて再使用としました。
純正ケースはステンレス製のため程度は良好で、傷が多かった風防共、研磨してあります。針回しで、針同士が干渉しないことを確認してから風防をベセルで取り付けます。
こんな感じで完成しています。時計の時間はすでに合っていますので、撮影時間が分かります。新品の文字盤ですので、少し白すぎる感じもありますが、使い込むと良い雰囲気となるでしょう。時間は非常に正確で、マーベルの優秀さが分かります。で、先ほどスーパーに買い物に行って、食玩のヒコーキを買ってもらいました。日本海軍の96艦戦が欲しかったのですが、出たのはイギリスのハリケーンでした。その他にバッファローがあるようです。どうでも良いけど、ハリケーンとバッファローが相手だったら、我方は一式戦闘機「隼」だと思うのですけどね。P-40も有りですかね。
ちょっとケースに手こずっておりました。機械を取り出してケースと風防を分離したところ。風防は平面ガラスですが、傷は付いていますね。今回は再使用とします。先に傷だらけのケースを研磨しますが、傷を完全に取り切るのは無理な状態です。
問題はベセルリングですね。随分乱暴に使われたのですね。大衆向けの製品で消耗品だから仕方が無いとは思いますが、私なら、何年使ってもこんなにしませんけど・・・
ケースは上面のヘアーラインを再現しておきます。ベセルはこのぐらいで一杯ですね。形が変わってしまいますので・・・最後に超音波洗浄をしておきます。
機械を分解したところ。全て超音波洗浄をしてから組み立てます。この機械はセイコー最後の機械式ユニットですが、それ以前の腕時計の基本設計とは大きく変わって、新しい時代の機械という気がします。しかし、新しい試みをすると問題点も出てくるものです。
問題は、ピンセット先の部品。「揺動レバー」と言って、リューズの回転方向によって、日送りと曜日送りをさせる部品。しかし、先端の樹脂の歯車の軸受部分が磨耗をすると、空回りをして日曜日車を送れなくなるという故障。この個体の場合は、曜車は辛うじて動かせるが、日車はスリップしてしまうという状態。これは良品と交換するしか方法がありません。
画像には写りませんが、日車や曜車にはシミや変色がありますので、当方のジャンクから良いコンディションのものに交換して使います。
文字盤は放射状のグレーですが、微妙な色なので画像には写りにくいので斜めに写しています。
0時で日車が切り替わるように針を付けて行きます。この針ですが、プレスで打ち抜いただけの針で、非常にチープです。よって、何度も抜き差しをすると緩くなって止まらなくなります。じつは、長針は他の同じモデルからの移植です。
研磨をしたケースに収めて完成。仮のベルトを付けてみます。ロードマチックは1968年から1974まで製造されましたが、この個体は1973年2月製ですから、後期型ということになります。小型、薄型の高性能な機械で、この機械を基礎キャリバーとした上級のキングセイコーやグランドセイコーの母体となった優秀なモデルですね。