その前に、巻き上げが出来ない状態のローライ35Sを見ます。原因は巻き止めレバー(白い樹脂)の動きが悪く、シャッターが切れた後でも巻き止めが解除されないのが原因でした。一度分解をして清掃のうえ再組立をします。
巻き止めレバーのテンション用バネを掛けるのにコツが要ります。これで良好な作動となりました。
で、本題。カメラ店様経由のローライ35ジャーマニーのオーバーホールをしますが、現状は故障をしているわけではありませんので通常作業となると思います。#30447XXですから初期型にはなるんでしょうか。しかし、内部のギヤなどは樹脂になっていて以降の仕様になった頃です。HONEYWELLのダブルネーム機できれいな個体ですが、巻き上げがかなり重い印象です。ご指示はft表示をm表示に変更、メーター窓ガラスの汚れ改善、レバーアテ交換などありますが、ヘリコイドグリスも完全に抜けています。
↗のスプール軸受けの潤滑グリスが固形化していて回転抵抗となっています。こういうのも珍しいです。クリーナーでは溶けずに取り除けないので、楊枝でしっかり取り除いて新しいグリスを塗布します。
ジャーマニーですのでファインダーはプリズムで黒い絆創膏のようなテープで巻いてあるのが面白い。
内部のメンテナンスを終えてカバーを付けると露出計の針が振れない。原因は、画像の透明テープは過去に貼り直されたもので純正ではなく、絶縁が完全ではないためショートを起こしたのでした。貼り直しをします。
シャッターとレンズのメンテナンスと沈胴の作動も多少気になりますのでフェルトを調整しておきます。
前玉を分解して行きます。ダイヤルと距離指標は別パーツなので∞の表示位置を微妙に調整することが出来ます。(35Sは出来ません) ftからmへの変更はリングを上下逆にセットします。
このシャッターは画像のように、外気と完全に遮断されていません。
フィルムを装填してのテスト中、巻き戻しでダイヤルが抜けてしまいました。ダイヤルを止める「Cリング」は初期型は何故か隙間が広く、経時的にバネが弱っていることから外れてしまうようです。左の↖は以後の改良されたリングで隙間が狭くなって保持力が上がっています。Cリングとしてはこちらが普通と思いますけどね。改良型に交換をして組みます。
レンズの無限調整後、指標の∞を精密にセットしてダイヤルを締めます。
初期型ジャーマニーとしては外観のへこみも無く非常にきれいな個体でしたね。