昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七)湿めっぽくなりましたな

2015-10-16 08:59:31 | 小説
一家団欒の食事後、由香里と母親が風呂に入った。 「由香里一人で入らせると、カラスの行水なんですよ」 と、言い訳をしつつも、嬉しそうな母親だった。 「中三にもなるというのに、困ったものです。由香里は実に甘えん坊でしてな、お恥ずかしい限りです」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七)未だ若い彼の理性が吹き飛んだ

2015-10-13 08:47:42 | 小説
しかし彼には、十分すぎるほどの衝撃的な行為だった。 未だ若い彼の理性が吹き飛んだ。弾けとんだ。 「せんせっ、せんせっ、スキなの‥‥」 由香里の口から、吐息交じりの声が漏れる。 由香里にしてみれば、キス体験のつもりだった。 しかし今、彼はそれ以上の領域に入り込もうとしている。 由香里の心に、恐怖感に近いものが渦巻いた。 「お母さん、そろそろ夕食の支度に入ったらどうだ。 今夜は、ここで風呂に入るとに . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七)母親の柔らかい口調

2015-10-10 11:54:44 | 小説
「由香里ちゃん、入りますよ」 ドアがノックされ、母親の声が聞こえた。 彼の慌てようとは裏腹に、由香里はすました顔で答えた。 「はあ~い、どうぞ」 コタツから抜け出す間もなく、母親の顔が覗いた。 「由香里ちゃん、ケーキ食べるでしょ? あらあら、そんなせまい所に。 せんせい、由香里が、またわがまま言ったんでしょ?  ごめんなさいね、ほんとに」 咎める様子もなく、いつものにこやかな表情でケーキを差し . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七)ピンク色の紅茶カップ

2015-10-09 15:03:51 | 小説
自宅の部屋とは打って変わって、キャラクター商品が所狭しと飾られている。土間側の窓には、アイドルグループのポスターとそのカレンダーが貼り付けてある。その反対側にも窓があり、この家には不似合いなアルミのサッシだ。女の子らしく、レースとピンク系のカーテンが取り付けられている。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七)ようこそ、由香里のネバーランドに

2015-10-08 09:00:35 | 小説
忙しなく動き回る母親に対し、父親は手持ち無沙汰だった。話し掛けようにも、彼もまた母親の手伝いで忙しく動いている。由香里は、部屋から一向に出て来ない。ドアの外から声を掛けても、生返事が返ってくるだけだった。仕方なく、お千代婆さんを話し相手にと庭先に出てみたが、家に立ち戻ったのか居ない。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七) 戸口から広々とした土間に入ると

2015-10-07 09:19:24 | 小説
戸口から広々とした土間に入ると、左側に大きな部屋がある。その奥には仏間があり、その二つの部屋に縁側がある。そこから、燦々と陽光が差し込んでいた。右側に小さな部屋があり、「ここ、由香里の秘密の部屋なの。お父さんもお母さんも、入室禁止にしているの。でも、先生だけには、入室を許可してあげるね」と、嬉しそうに指差した。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七)大きな樫の木が見えてきた

2015-10-05 09:03:33 | 小説
昼少し過ぎに、目的地入り口に着いた。 支流の川沿いにもう少し走るんですよ、と母親が告げた。 山の中腹にある、人口が百人程度の小さな村だった。 山の斜面に人家が点在している。 右手を見れば、深い切り立った崖の下を川が流れている。 ごつごつとした岩の間を縫うように流れている。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七) ほろ酔い気分の父親は

2015-10-04 12:45:40 | 小説
途中立ち寄ったサービスエリアで買い求めた缶ビールで、ほろ酔い気分の父親は饒舌になっていた。 「もっとも、あれの相性が良かったことも、ありますがね」 「何ですよ、お父さん。そんなことまで、お話にならなくても」 少し顔を赤らめながら、母親が窘めた。 . . . 本文を読む

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