人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでグノー「ファウスト」を観る

2012年01月16日 06時26分32秒 | 日記

16日(月).昨日,新宿ピカデリーでMETライブビューイング,グノーのオペラ「ファウスト」を観てきました 昨年12月10日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された公演のライブ映像です 先週と同じく,オペラ映画の割にはかなりの観客が入っていました.観客がほぼ定着したのではないかと思います.東銀座の東劇の方はどうでしょうか

出演は,ファウスト博士=ヨナス・カウフマン(テノール),マルグリット=マリーナ・ポプラフスカヤ(ソプラノ),メフィストフェレス(悪魔)=ルネ・パーぺ(バス),ヴァレンティン=ラッセル・ブローン(バリトン),シーベル=ミシェル・ロズィエ(ソプラノ),指揮はヤニック・ネゼ・セガン,演出はデス・マッカナフです

ゲーテの大作「ファウスト」をフランスの作曲家グノーが脚色した文学オペラです.悪魔に魂を売り渡し,若さを手に入れたファウスト博士と純情なマルグリットの恋を,地獄からの使者メフィストフェレスが操る物語です

デス・マッカナフの演出は,時代を第2次世界大戦前後に置き換えています.冒頭シーンで広島の原爆ドームが映し出されていたのが印象的でした.登場人物は中世とは違いスーツを着て登場します.個人的にはオリジナルを別の時代に移し変えたりする演出は好ましいとは思わないのですが,今回の演出は無理がなく,安心して観ることができました

何と言ってもカウフマン,ポプラフスカヤ,パーぺの3人は完璧です.カウフマンは初めて聴きましたが,さすが現代を代表するテノールの一人と言ってもいいでしょう.感情表現豊かにマルグリットへの愛を歌い上げます ポプラフスカヤはイタリア・オペラのヒロイン役が多いので,イタリア語でのアリアを聴きなれている耳には今回のフランス語のアリアは新鮮に響きました.彼女の歌は何語で歌っても美しく響き,演技ともども素晴らしいものがあります

ルネ・パーぺのバスは現代最高と言っても過言ではないでしょう.彼はボリス・ゴドゥノフのイメージが強いのですが,メフィストフェレス役もなかなかツボにはまった役柄で,ダントツの存在感を示していました 悪魔役なので,手先から炎を出したり,杖から花を出したりといった”手品”を披露するのですが,難なくこなしていました.いかつい顔からは想像もつかない柔軟な身体を駆使した演技力も抜群です

休憩を2回挟んで4時間弱の上映で,初めて観たオペラですが十分楽しめました 

 

            

 

「ファウスト」といえばベルリオーズのオペラに「ファウストの劫罰」があります.1999年に長野県松本市で小沢征爾指揮サイトウキネン・オーケストラがこのオペラを上演した時には,元職場のA君の運転で車で松本まで聴きに行き,日帰りで帰ってきたことを思い出します あの時はスーザン・グラハムがヒロインを歌ったと記憶しています.この年は演出が話題になりました.天井から垂らしたロープに人が宙吊りになって降りてくるアクロバティックな演出でしたが,それはロベール・ルパージュという演出家によるものでした

昨年,METのワーグナーの「ラインの黄金」をライブビューイングで観たら,演出=ロベール・ルパージュとなっていて,あらためて,あーそうか,あの時の演出家か!と再認識したのですライブビューイングでは3月に指環4部作の第3夜「神々の黄昏」が上映されますが,これもルパージュによる演出です.もちろん観に行きます

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