人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ブラボー!ジミン・パク~新国立オペラ,プッチーニ「ラ・ボエーム」を観る

2012年01月30日 06時23分17秒 | 日記

30日(月).昨日,初台のオペラバレスでプッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」を観ました 新国立劇場はオペラの「プルミエ」会員なので,本来は19日の初日を観るはずだったのですが,新日フィル室内楽シリーズの公演と重なったため,1シーズン3回まで認められる「エクスチェンジ・サービス」を利用して29日に振り替えたのです したがって,席はいつもの1階中央通路側の指定席とは違い1階4列11番と,かなり前の席ですが,ありがたいことに通路側席です.過去にもこのサービスのお陰で何回も救われました 

キャストはミミをアルゼンチンのソプラノ,ヴェロ二カ・カンジェミ,ロドルフォを韓国のジミン・パク,マルチェッロをギリシャのアリス・アルギリス,ムゼッタをロシアのアレクサンドラ・ルプチャンスキー,ショナールを萩原潤,コッリーネを妻屋秀和が歌いました.指揮はダルムシュタット州立劇場音楽総監督コンスタンティン・トリンクス,演奏は東京交響楽団です

演出は粟国淳で,彼の演出は2003年から続いているとのことで,私はいったい何回観たのだろうか?と考えてしまいました 舞台が近いのは,歌手の顔や動作がよ良く見えるので凄い魅力なのですが,舞台の左右上部に映し出される「対訳」が非常に見にくいのです.ふんぞり返って見上げないと文字が見えません 首が痛くなるので対訳は見ないようにしました

最初から最後まで絶好調だったのはロドルフォ役のジミン・パクです 良く通るテノールで,それに加えて演技が素晴らしいのです 特に第4幕で,ミミが息を引き取る直前のシーンでの彼のやるせない身もだえするような演技は特筆に値します.ミミ役のカンジェミの迫真の演技とともに涙がチョチョギレそうになりました 今まで観たラ・ボエームの中で最も劇的な迫真の演技でした

カンジェミは,最初に登場したときに,”あっ,マリア・カラス”と叫んでしまうほど顔つきが似ていました.前半はちょっと声量が足りないかな,と思ったのですが,後半は盛り返して美しいソプラノを響かせていました 各幕で何度かあるロドルフォとの二重唱では素晴らしいデュットを聴かせてくれました

マルチェッロ役のアルギリスは,しっかりしたバリトンとともに演技力も優れていました ジミン・パクもアルギリスも英国ロイヤルオペラで歌っていたということなので,多分,イギリスを拠点に活躍している尾高忠明芸術監督が引っ張ってきたのでしょう

ムゼッタ役のルブチャンスキーは,体格もよく声量もあり,ときにヒロインのミミの存在を脅かすほどの存在感を示していました

日本人歌手では,何といってもコッリーネ役を歌った妻屋秀和が安定したバスを聴かせてくれました.”ミスター新国立劇場”とでもいうべき存在です

演出の見せ場は第2幕の「カフェ・モミュス」の場でしょう.クリスマス・イブで賑わうカルチェ・ラタンのシーンで,背景の建物が動き,回転します.プログラムの「プロダクション・ノート」の中で演出の粟国淳が「舞台機構を使った装置の移動はほとんどありません.第2幕で背景の建物があちこちに動く際も,衣装を着た大道具さんたちが手で動かしているのです.指揮者の棒のタイミングに合わせて行うわけですね」と種明かしをしています.最初にこの演出で観たときは本当に驚きました

2度あった休憩時間に隣席の2人の女子高生は漫画を読んでいました.それにしても”高校生がこんなに良い席かよ”と思いました.多分,学生に良い席を提供する制度なり学割なりがあるのでしょうね.学生は羨ましいです

最後に特筆すべきはトリンクス指揮東京交響楽団の演奏です いつもよりオーケストラ・ボックスに近い席で聴いたせいもあるのかも知れませんが,プッチーニの音楽がズシンと心に響いてきました

それにつけても,プッチーニって泣かせる音楽をたくさん書いてくれましたねぇ オペラのチケット代の高さに泣かされている身にとってはダブルで涙チョチョギレです

 

          

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