人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

フランスの香りただようジャズ?~南紫音のヴァイオリン・リサイタルを聴く

2012年01月18日 06時15分10秒 | 日記

18日(水).昨夕,紀尾井ホールで南紫音のヴァイオリン・リサイタルを聴いてきました プログラムは①プーランク「ヴァイオリン・ソナタ」,②ラヴェル「ヴァイオリン・ソナタ ト長調」,③フランク「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」の3曲、ピアノは江口玲(あきら)です.

南紫音(みなみしおん)は1989年北九州市生まれで、現在、桐朋学園大学在学中です。2005年のロン=ティボー国際コンクールで第2位に入賞して話題をさらいました

会場は8割程度の入りです.自席は1階11列16番でセンターブロック右の通路側席です

南が右肩から下に向かってピンクの薔薇と水色の刺繍が施された黒のドレス姿で,ピアニストの江口とともに登場します.江口は慣れているせいか笑顔ですが,南は緊張のせいか笑顔が見られません.さあ,これから真剣勝負だ という面持ちです.

1曲目のプーランクのヴァイオリン・ソナタはフランスの名ヴァイオリニスト,ジネット・ヌヴーの依頼で書かれ,1943年に彼女のヴァイオリンと作曲者自身のピアノで初演されました

この曲は序奏がなく,いきなり”本題”に入ります.プーランクらしい軽妙洒脱なメロディーが展開します 江口の安定したピアノに乗せて南は自由に演奏を展開します.

さて,演奏はいいのですが,すぐ前の席の座高の高い(背が高いとは言うまい)高齢の男性が頻繁に頭を左右に傾けるのです.コンサートに行くと,何回かに1回はこういう迷惑なヤカラにぶち当たります 紀尾井ホールは1列おきに座席がずれていて,素直にまっすぐ前を見ていれば舞台の中央が見られるように作られていますが,こういう人がいる限り何の意味もなくなります 南の姿が見えたり隠れたりの繰り返しです.こういう落ち着きのない人はCDでも買って自宅でおとなしく聴いていて欲しいと思います

2曲目のラヴェルのヴァイオリン・ソナタは,1927年に盟友ジョルジュ・エネスクのヴァイオリンとラヴェルのピアノによってパリで初演されました.第1楽章からフランスの香りが漂うようなメロディーが展開します 第2楽章は「ブルース,モデラート」となっており,ジャズの影響が現れています.南はヴァイオリンをギターのように抱えて弦を指で弾いてピチカート奏法を展開します.南のサービス精神の現れでしょう 第3楽章ではラヴェルのピアノ協奏曲の第3楽章のメロディーが聴こえてきました 南は時にステファン・グラッペリ並みのスイングでヴァイオリンを操ります

最後のフランクのヴァイオリン・ソナタは,作曲者と同じリエージュ生まれのヴァイオリニスト,イザイに捧げられました.ある意味,ロマン的なヴァイオリン・ソナタの中の最高峰と言ってもいい曲で,ヴァイオリニストならこの曲を極めたいと思うでしょう 南は物憂げなピアノで始まるこの曲の独特な世界に慎重に入っていきます.それを江口のピアノが支えます

会場の拍手に応えて,アンコールにフォーレの「夢のあとに」とドビュッシー「美しき夕べ」を演奏しました しみじみとしたいい演奏でした.今回のリサイタルは南の実力は言うまでもないですが,江口のピアノが光っていたように思います ただ伴奏するに止まらず,主張すべきところは主張し,しかも主役のヴァイオリンを引き立てていました.伴奏のプロという言葉があるのかどうか分かりませんが,あるとすればうってつけの人だと思いました

 

                

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