人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

レスピーギ「ローマ三部作」を聴く~東京交響楽団第596回定期演奏会から

2012年01月08日 09時01分54秒 | 日記

8日(日)その2.昨日は午後3時から新宿文化センターで開かれた三ツ橋敬子=東京シティフィルによる「ニューイヤー・コンサート」が終わったのが午後5時,終わるや否や早足で会場を後にして,途中,コンビニでおにぎり3個とペットボトルのお茶を買って,地下鉄丸の内線新宿3丁目駅から四谷経由で南北線六本木1丁目駅まで急ぎました 会場のサントリーホールに着いたのは5時35分過ぎでした.コートをクロークに預け,ロビーの椅子に座っておにぎりを食べ,席に着いたのは5時55分でした.まあ,何とあわただしかったことか

東京交響楽団の第596回定期演奏会は午後6時過ぎに始まりました.指揮は飯森範親,プログラムはレスピーギの①ローマの噴水,②ローマの松,③ローマの祭の”ローマ三部作です

最初に指揮者の飯森が舞台に登場して新年の挨拶をしましたが,今回の演奏会が,初めて日経のBSジャパンとニコニコ動画で同時生中継される旨をアナウンスしたので,会場がどっと沸きました 話の最中に,楽員がぞろぞろと入場してきたのは良いのですが,左サイドから入ってきた楽員が,譜面台か何かを引っ掛けたらしく”バタン”と大きな音がしました 飯森が「大丈夫ですか?生中継らしいハプニングですね」とコメントして,また会場が沸きました.そして「今回ローマ3部作を一挙に演奏するが,いかにレスピーギがローマを愛していたかを感じとってもらえれば嬉しい」と締めくくりました

プログラムは,前半が①ローマの噴水,②ローマの松,後半がローマの祭となっており,作曲順に演奏されます.

レスピーギは1879年にイタリアのボローニャで生まれ,1913年にはローマのサンタ・チェチーリア音楽院の教授に就任しました.そして「ローマの噴水」を作曲,1917年3月に初演されました.この時は不評だったようですが,翌18年2月に友人の指揮者アルトゥーロ・トスカニーニの指揮で再演されると,大好評で迎えられ,レスピーギは作曲家としての名声を確立することになりました.そういう意味ではレスピーギにとってトスカニーニは”恩人”ですね

曲は①夜明けのジュリアの谷の噴水②朝のトリトンの噴水③昼のトレヴィの噴水④たそがれのメディチ荘の噴水からなっています.どの曲もイタリアの太陽の光が燦燦と輝くもとで噴水が湧き上がる様子が,管弦楽によって見事に描写されます.ここではオーボエ首席の荒絵理子の演奏が光っていました

曲の合間に再び飯森がマイクを持って登場し「レスピーギは音色に敏感な作曲家だった.色彩感溢れる音楽を作曲した彼は”イタリアのラヴェル”とでも言うべき人だった」と解説をします.いい得て妙だと思いました ここで,舞台左袖にトランペット4本,トロンボーン2本が追加されました.

次は「ローマの松」です.①ボルゲーゼ荘の松②カタコンブ付近の松③ジャニコロの松④アッピア街道の松からなります.プログラムの解説によると,「ローマの噴水」と後の2作「ローマの松」「ローマの祭」との違いは,「ローマの噴水」が現在のローマでの幻想を扱っているのに対して,後の2作品は,過去のローマの栄光に思いを巡らしているところであり,音楽的にも後の2作品はストラヴィンスキーの影響が見られ,音色がより豊かで絢爛豪華になっている,とのことです.確かに実際に聴くとそういうことが分かります

第3部「ジャニコロの松」の中で,(録音された)ナイチンゲールの鳴き声が聴こえる中,クラリネットが弱音で美しいメロディーを奏でるのですが,首席のエマニュエル・ヌヴーの演奏は絶品でした 強奏するより弱音で息の長いメロディーを吹く方がよほど難しいのではないかと思うのですが,彼の演奏は完璧でした 第4部「アッピア街道の松」のフィナーレはいつ聴いても気持ちが高揚します.圧巻でした

休憩後の最後の曲は「ローマの祭」です.①チルチェンセス.古代ローマ時代に皇帝ネロが円形競技場で行った祭です.②50年祭.中世にローマはキリスト教の聖地となり,1300年から50年ごとにローマで大恩赦が行われましたが,その時の祭です.③10月祭.ワイン収穫祭です.④主顕祭.1月6日にキリストの誕生を祝うために東方三博士がベツレムを訪れたことを祝う祭です

第3部「10月祭」ではマンドリンのセレナーデが奏でられるのですが,会場が広いせいもあってマンドリンの音が目立たなかったのが残念でした 反対にコンマス高木和弘のヴァイオリン・ソロは美しく響き渡りました

第4部「主顕祭」はまさにストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」に似たメロディーが流れます管弦打楽器総動員のフィナーレは圧巻でした

ローマ3部作は東京交響楽団の十八番といってもいいかも知れません.今回,初めてBS放送とニコ動で生中継された演奏としては大成功だったのではないかと思います

 

               

〔プログラム表紙の絵は作曲家シェーンベルクの描いた「The Lucky Hands」です〕

 

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三ツ橋敬子指揮でニューイヤー・コンサートを聴く~東京シティフィル

2012年01月08日 08時52分44秒 | 日記

8日(日).昨日は午前中やっと初詣に行って来ました.”刺抜き地蔵”で御馴染みの「高岩寺」です.今さらジロー(古い!)ですが,なかなか行く機会がありませんでした 午後はコンサートのハシゴをしました.まず,午後3時から新宿三丁目の新宿文化センターで三ツ橋敬子指揮東京シティフィルの「ニューイヤー・コンサート」を聴き,終了後すぐに地下鉄を乗り継いで溜池山王のサントリーホールに行き,6時から東京交響楽団の定期演奏会を聴きました ここでは「ニューイヤー・コンサート」の模様を書きます.

指揮の三ツ橋敬子は1980年生まれ.5歳からピアノ,作曲,ソルフェージュを学び,その後,指揮を小沢征爾,小林研一郎らに師事,2010年のアルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールで準優勝と聴衆賞を受賞しました.東京シティフィルとは昨年9月22日に,生まれ故郷,江東区のティアラ江東でオール・ブラームス・プログラムを振って強いインパクトを残した凱旋公演以来の組み合わせです

会場は約1800席のほぼ7割くらい埋まっている感じです.もったいないです.自席は1階16列25番で,中央ブロック通路側です.プログラムの前半はウインナ・ワルツ,後半はイタリア・オペラという仕切りです

黒のパンツ・スーツ,長い髪を後ろで束ねた三ツ橋敬子がマイクを持って舞台に登場します演奏に先立って新年の挨拶と曲目の紹介をしました.ちょっとアガッテいる感じですが,ハキハキしています.きっと彼女の性格なのでしょう コンサートマスターは9月の時と同じ客員コンマスの松野弘明です.あの時,指揮者との相性が良いと思いましたが,そういうこともあって再度の登場となったのかもしれません

最初にヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」序曲を演奏しました.前回9月に聴いたときにも感じたことですが,三ツ橋の指揮は左手の使い方に特徴があります.タクトを持った右手で拍子を取り,左手で”滑らかに”,”激しく”,”感情を込めて”などの表情付けをします その左手の動きは滑らかで美しく,それ自体が芸術です この曲ではオーボエが素晴らしい演奏を聴かせてくれました

ここでまた,三ツ橋がマイクを持って次に演奏するシュトラウスの「皇帝演舞曲」,ヨーゼフ・シュトラウスの「ピチカート・ポルカ」,シュトラウス「南国のバラ」の3曲を紹介します

三ツ橋は「皇帝円舞曲」ではダイナミックに指揮をします.弦楽による「ピチカート・ポルカ」では小気味良くリズムを刻みます.そして「南国のバラ」では再びダイナミックに美しくメロディーを奏でます

再びマイクを持って登場して語ります

「ウィーンには4年間住んだことがある.お正月を迎えるときは,花火や爆竹を鳴らして賑やかになる.カウントダウンがあり,新年が明けると,どこからともなくワルツのメロディーが流れてくる.そう「美しき青きドナウ」のメロディーが.それにつられるように人々はワルツを踊り始める.ワルツはウィーンの人々の心の中にある」

そしてシュトラウスの「美しき青きドナウ」の演奏に入ります.ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの終盤で演奏される,誰もが知っている有名なワルツです.この曲でも三ツ橋の左手は華麗に宙を舞います

休憩後,再び三ツ橋がマイクを持って登場,「後半はイタリア・オペラの曲を演奏する」旨を説明します.最初の曲はロッシーニ「歌劇ウィリアム・テル」序曲です.冒頭のチェロの独奏は聴かせてくれました.また,フルートとイングリッシュ・ホルンも美しい音色で演奏していました

次はレスピーギの「ボッティチェッリの3枚の絵」という珍しい曲です.「春」「東方の三博士の礼拝」「ヴィーナスの誕生」による組曲です.レスピーギらしいキラキラ輝くような音楽です 現在イタリアに住んでいる三ツ橋は,今回のコンサートでこの曲をプログラムに入れたかったのでしょう.彼女にとってこだわりの1曲だったのかも知れません

次に,マスカーニ「歌劇カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲が演奏されました.弦楽による美しいメロディーが続き,いい気持ちで聴いていると,右サイドからパイプオルガンの音がかぶってきました.三ツ橋の解説によると「こういう形で演奏するのは珍しい」とのことです.本来はオルガン付きで演奏する曲のようです.本当に美しい曲で,”お葬式にはこの曲を流して欲しい”という人を知っています

ここでまた,三ツ橋がマイクを持って登場.「次の曲はヴェルディの「歌劇アイーダ」の凱旋行進曲だが,この曲はいろいろな場面で使われている.サッカーのワールドカップでも使われたので御馴染みだと思う」と言って演奏に入ります.舞台の左右にトランペット4本,トロンボーン2本が追加され音楽に厚みを加えました

これでプログラムは終了しましたが,拍手が鳴り止みません.指揮者が舞台の袖にいる段階で,いきなり小太鼓が高らかに”あのリズム”を刻み始めました.そう「ラデツキー行進曲」です.ワルツ王ヨハン・シュトラウスの父親の作品です.テレビでウィーンフィルのニューイヤー・コンサートを観ている人が多いのか,いきなり手拍子が始まります.ところが,最初は手拍手はしないことになっているので,三ツ橋が会場に振り向いて,「シーッ」と合図,拍手をすべき箇所になると再び会場に振り向いて拍手を促します.まさにニューイヤー・コンサートに相応しい聴衆参加型のアンコール=フィナーレでした.理屈抜きで楽しいコンサートでした

アンコールが終わったのがちょうど午後5時です.6時からサントリーホールで開かれる東京交響楽団のコンサートに間に合わせなければなりません・・・・さて・・・・・この続きは「8日(日)その2」に続きます

 

        

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