人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

KSTアンサンブルでモーツアルト「ホルン五重奏曲」,ブラームス「クラリネット五重奏曲」を聴く

2012年01月29日 08時50分43秒 | 日記

29日(日).昨日、紀尾井ホールでKSTアンサンブルによる室内楽を聴いてきました KSTとは”キオイ・シンフォニエッタ” の略です.プログラムは①モーツアルト「ホルン五重奏曲変ホ長調K.407」、②ジュリアー二「ギターと弦楽四重奏のための大五重奏曲・作品65」、③ブラームス「クラリネット五重奏曲ロ短調」の3曲です

紀尾井ホールに行くときは,巣鴨の自宅から都営三田線で春日まで行き,地下で繋がっている後楽園駅で南北線に乗り換えて四ツ谷に出ます.そこから上智大学脇の道を歩いて数分です.この日,なぜかその道で警察による検問があり,車が止められていました どうやら,紀尾井ホール近くのホテル・ニュー・オータニでVIPの会合か何かがあるようです.寒いのに立ちっ放しの警察官の皆さんお疲れさまです

モーツアルトの「ホルン五重奏曲K.407」は,ロイトゲープというザルツブルクの宮廷楽団のホルン奏者のために書いた曲です.特徴は4つの弦楽器が通常のヴァイオリン2,ヴィオラ1,チェロ1ではなく,ヴァイオリン1,ヴィオラ2,チェロ1の編成になっていることです

自席は1階6列1番で,かなり前の左端の席です.客の入りは8割といったところでしょうか

楽器は舞台に向かって左からヴァイオリン(寺岡有希子),チェロ(菅野博文),ホルン(丸山勉),ヴィオラ(市坪俊彦),ヴィオラ(篠崎友美)となっています.

ホルン特有の明るい音色で軽快に音楽が始まります 全体を通して小さなホルン協奏曲といった趣です.日本フィルの客員首席ホルン奏者である丸山勉は楽しんで演奏しているようでした

2曲目の「ギターと弦楽四重奏のための大五重奏曲」は,1781年にイタリアで生まれた音楽家ジュリアーニが作った曲です.ジュリアーニはギターが演奏できたのに止まらず,ベートーヴェンの第7交響曲の初演に際してはチェロ奏者としてオーケストラに加わるなど幅広く活躍した人のようです

楽器は左からヴァイオリン(寺岡有希子),ヴァイオリン(小川有紀子),ギター(大萩康司),ヴィオラ(篠崎友美),チェロ(菅野博文)という配置です.ギターは小さなマイクで音を拾いアンプで拡大して流すようになっています

第1部の曲の出だしは弦楽四重奏で短調のやや重い曲想で始まりますが,ギターが登場すると,まったく違った明るく優しい曲想に転化します まるで,どんよりしたオーストリアからアルプスのブレンナー峠を越えて光り輝くイタリアに下りてきた感じです(イタリアに行ったことはありませんが).最後の第3部は”ポロネーズ”です.これを聴いていてベートーヴェンのヴァイオリン,チェロ,ピアノによる三重協奏曲の第3楽章を想い出しました.曲想がちょっと似ている気がします

ブラームスは,晩年になってクラリネットの曲を集中的に作曲しました.クラリネット三重奏曲,クラリネット五重奏曲,2つのクラリネット・ソナタ ブラームスは1891年にマイニンゲンを訪れた際に当地の管弦楽団で,クラリネットを吹いていたミュールフェルトの演奏を聴いてすっかり魅了され,ミュールフェルトを念頭においてこれらの名曲を作曲したのです

楽器の配置は,左からヴァイオリン(青木高志),ヴァイオリン(森岡聡),チェロ(菊地知也),ヴィオラ(市坪俊彦),クラリネット(鈴木豊人)となっています 紀尾井シンフォニエッタでクラリネットといえばこの人=鈴木豊人です.これまで彼の演奏でモーツアルトのグランパルティータなど室内楽を聴いてきましたが,なんとも素晴らしい演奏をします 晩年のブラームスを切々と奏でます.こういう人の演奏で聴くとブラームスって本当にいいな,と思います

モーツアルトにしてもブラームスにしても,四重奏曲,五重奏曲などの作曲に際しては,技術的にも精神的にも優れた演奏家の存在があって,その演奏家に刺激されて作曲しているのですね そういう意味では,現代のリスナーも,作曲家だけでなく当時の演奏家にも敬意を払って数々の名曲に耳を傾けなければならないのかも知れませんね

 

       

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする