14日(木)。昨日朝、今年初めて桜の花を見ました。西巣鴨の交差点近くの小学校に咲いていました
会社の同僚に話すと、「まだ梅さえ見ていないのに・・・・」と疑いの目で見られましたが、本物です 桜のサクラではありません しかし、同じ巣鴨でも、JR巣鴨駅近くの”染井ヨシノ”発祥の地、染井霊園の桜はまだのようです。小学校の桜は何桜なんでしょうか?さしあたって黄桜ではないな
一転、今朝の肌寒さは何なんでしょうか。要するにまだ三寒四温の真っ最中だということでしょうか
閑話休題
昨夕、池袋の東京芸術劇場で東京都交響楽団のコンサートを聴きました これは「2013都民芸術フェスティバル」参加公演です。プログラムは①シューマン「ピアノ協奏曲イ短調」、②モーツアルト「レクイエム ニ短調K.626」です。指揮は高関健、①のピアノ独奏は小山実稚恵、②の独唱はソプラノ=森麻季、アルト=菅有実子、テノール=中鉢聡、バリトン=福島明也です
自席は1階S-21番。ほぼセンターですが最後列から2番目。会場は9割方埋まっている感じです オケのメンバーが登場します。左から第1ヴァイオリン(その後方にコントラバス)、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置を取ります。これは高関健シフトです
1曲目のシューマン「ピアノ協奏曲イ短調」を演奏するため、ピアニストの小山実稚恵が指揮者・高関健に伴われて登場します。ご存知、ショパンコンクール(4位)とチャイコフスキーコンクール(3位)の両方に入賞している日本で唯一のピアニストです
短い序奏部からピアノがいきなり入ってきます。言ってみればこの曲はロマンティズムの極致をいくピアノ・コンチェルトです 小山も高関も起伏の大きな演奏を展開します
せっかく良い席に座ったのに、すぐ前の席のオジサンが頭を左に傾けているので、ピアニストがまったく見えません こういう人が一番たちの悪い聴衆です。ひとに迷惑をかけているという自覚がまったくないのですから 幸い第2楽章からは、まっとうな人間に戻ってくれて、まっすぐに座ってくれたので一安心しましたが
そんなこともあってか、どうも演奏に集中できず気が散ってなりませんでした それでも、大好きな第3楽章のフィナーレはノリにノッた演奏で、聴く方も身体を乗り出してしまいそうなクライマックスでした
小山はアンコールに同じシューマンの「子どもの情景」から「トロイメライ」を弾きました
休憩後のモーツアルト「レクイエム」のためオケとともにコーラス陣が登場します。プログラムを見ると「合唱/東響コーラス」とあります。「都響に東響コーラス・・・・あれっ、変だなぁ」と思って解説を見ると「東響コーラスは東京交響楽団専属のアマチュア混声合唱団だが、この演奏会は東京交響楽団以外の在京オーケストラとの初共演となる」と書かれていました。総勢100名を超えるコーラス陣ですが、男声を中央にして女声が両サイドから挟む配置を取ります
ソプラノの森麻季が黒とグレーを基調としたロング・ドレスで、アルトの菅有実子が黒のドレスで、テノールの中鉢聡、バリトンの福島明也とともに登場します 曲が「レクイエム」(死者のための鎮魂歌)であればドレスはどうしても黒が基調になるでしょう
モーツアルトの未完の「レクイエムK.626」は長い間、彼の弟子のジュスマイヤーによって補完された版によって演奏されてきました その後の研究により1996年にロバート・レヴィンが新たな解釈に基づく版を出版し、最近頻繁に演奏されるようになりました。この日の演奏も”レヴィン版”によって演奏されました
高関健は全体的に速めのテンポでグングン音楽を前に進めます。現代のモーツアルトと言ってもいいでしょう 聴きなれた耳で「ラクリモサ」(涙の日)を聴くと、思わぬ続きがあるのでびっくりしますここがレヴィン版の特徴でもあります。コーラス陣が「ラクリモサ」を歌っているとき、ソリストの歌う場面ではないのに、森麻季は口パクをやっていました 本当に声を出して歌っていたのかも知れません。この世に別れを告げるモーツアルトの告別の歌を一緒に歌いたかったのかも知れません
歌手陣では森麻季が透明な美しい声でダントツの存在感を示していました 本当に心が洗われるような清らかな声です。男声ではバリトンの福島明也が安定した歌声を聴かせてくれました
東響コーラスは素晴らしい歌唱力でモーツアルトを歌い上げました 今後、他のオーケストラから声がかかる機会が増えるのではないかと思います。私にとって、この日のプログラムは大好きなシューマンとモーツアルトの組み合わせということで、大いに満足できる公演でした