30日(土)。昨日の朝日夕刊の死亡欄を見てびっくりしました
「ウォルフガング・シュルツさん(オーストリアのフルート奏者)28日、ウィーンで死去、67歳。ウィーン・フィルの首席奏者として長く活躍。群馬の草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルの講師を務めるなど、演奏と指導の両面で、日本にもたびたび訪れた」
3月5日に日経ホールで開催されたシュルツ氏のフルート・リサイタルは、シュルツ氏”病気のため”子息のマティアス・シュルツ氏(ウィーン国立歌劇場管弦楽団のフルート奏者)が代演を務めました 私は疑い深いので、本当は子息を日本デビューさせるため”病気を装ったのではないか”とブログに書きましたが、本当ことだったのです あらためて故人のご冥福をお祈りします。
閑話休題
昨夕、初台の東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)の第101回定期演奏会を聴きました プログラムはJ.S.バッハの「ヨハネ受難曲BWV245」です B.C.Jは前回の第100回コンサートでバッハのカンタータ全曲演奏を終わり、新たなステップに移ろうとするステージにあります
ソリストはジョアン・ラン(ソプラノ)、青木洋也(アルト)、ゲルト・テュルク(テノール/福音史家)、ドミニク・ヴェルナー(バス/イエス)です ヨハネ受難曲を演奏するときの楽器の配置は向かって左サイドにヴァイオリン+ヴィオラ・セクション、中央にチェロ、その後ろにコントラバス、オルガン、チェンバロ、そして右サイドにフラウト・トラヴェルソ、オーボエ、ファゴット、リュートがスタンバイします
これが同じ受難曲でもマタイの場合は、同じ楽器で構成する二組の小オーケストラが左右に分かれて向い合せに配置されます つまり、ヴァイオリンもヴィオラもオーボエもファゴットも、すべての楽器が左右に分かれて演奏します
ヨハネ受難曲は第1部と第2部から成りますが、第1部が40分くらい、第2部が80分くらい、全体で2時間ほどの長い曲です
ソリストはB.C.Jでお馴染みの実力者ばかりですが、今回今まで以上に頭角を現したのは青木洋也(アルト)でしょう いわゆる男性が女性の声で歌うのですが、これが素晴らしい歌唱力でした エヴァンゲリスト(福音史家)を歌ったゲルト・テュルクは最初から最後までほとんど出ずっぱりで歌わなければなりませんが、何の苦も無く素晴らしい歌声を聴かせてくれました
楽器の演奏者では、今回チェロの鈴木秀美の隣に新日本フィルの武澤秀平がスタンバイして通奏低音を請け負いましたが、演奏は素晴らしかったです そして、いつも感心するのはオーボエの三宮正満です。今回はオーボエ・ダ・ガッチャというブーメランのように曲がった珍しい楽器も吹きましたが、その演奏の見事さにはいつも舌を巻きます
そして、フラウト・トラヴェルソ(バロック・フルート)の菅きよみと前田りり子の二人の美しい音色です 今回、野入志津子という人がリュート(マンドリンを大きくしたような楽器)を弾きましたが、音が小さいので残念ながらオケの中にうずもれてしまいました
マタイ受難曲もいいのですが、個人的にはヨハネ受難曲の方が好きです 何と言っても第1部冒頭のコーラスが素晴らしいですし、第2部最後のコラールの直前の合唱「やすらかに憩い給え、聖なる遺骸よ・・・・」がとても印象的です
バッハ・コレギウム・ジャパンの定期コンサートに通い始めて今年で13年目になりますが、これからも世界に通用する数少ない音楽家集団B.C.Jの定期会員であり続けようと思っています