20日(月)。飯野ビルが毎月第3水曜日に同ビル1階エントランスロビーで開いている「ランチタイムコンサート」が5月22日(水)午後12:05から12:50まで開かれます 今回の出演者はピアノの佐野優子さんです
佐野さんは1989年10月、東京板橋生まれ。東京藝術大学入学、ハンガリー・リスト音楽院への留学を経て、現在、東京藝大4年在学中です プログラムは①シューベルト/リスト「アヴェ・マリア」、②リスト「ハンガリー狂詩曲第2番、③ショパン「幻想即興曲」、④ドビュッシー「喜びの島」です お昼休みのひと時、ベーゼンドルファーの音色に耳を傾けてはいかがでしょうか
閑話休題
昨日午後、初台の東京オペラシティにコンサートを聴きに行くついでに、オペラシティ3階のアートギャラリーで開催中の写真家「梅佳代」展を観ることにしました 梅佳代の写真は、日常の人間の営みを有りのままに写し取ったもので、何年か前に”無敵の男子小学生”を写した写真集を見て、すっかり気に入ってしまいました
ギャラリーは「シャッターチャンス Part1」(2002ー2012)、「女子中学生」(2000-2001)、「能登」(2004-2013)、「じいちゃんさま」(1990-2013)、「男子」(2000-2002)、「シャッターチャンス Part2」(2000-2012)のコーナーから成っています
このうち、専門学校時代に仲良くなった近所の女子中学生たちを学生寮の自室に招いて撮影した初期の作品「女子中学生」は、強烈なインパクトのある作品が揃っています ”傍若無人で無謀な女子中学生たち”と言っておきます それから、同じ時代に路上で仲良くなった小学生たちの”バカで無敵ぶり”を活写した「男子」も思わず笑ってしまう傑作揃いです
梅佳代の写真を見ていると、「こんなのだったら自分にも写せるんじゃないか」と思ったりするのですが、実際にはそう簡単にはいかないのでしょうね。会場に掲げられた写真の陰には何千、何万枚の写真があるはず いつかどこかで「写真とは、数多く撮った写真の中からこれだ!というショットを選択することである」と聞いたことあります。カメラがデジタルになって一層便利になったはずですね それにしても、いつ観てもいいなあ、梅佳代って
も一度、閑話休題
昨日午後2時から、東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団のオペラシティシリーズ第73回演奏会を聴きました プログラムは①ドビュッシー「小組曲」、②ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」、③同「左手のための協奏曲」、④同「ラ・ヴァルス」です。指揮は秋山和慶、②③のピアノ独奏はミシェル・べロフ、コンサート・マスターは大谷康子です
ドビュッシーの「小組曲」は、私のクラシック音楽入門曲の一つです。学生時代のその昔、ラジカセが流行っていた頃、なぜか4曲をFMラジオから同時録音して毎日のように再生して楽しんでいました 4曲と言うのは、①モーツアルト「フルート協奏曲第2番」、②ドビュッシー「小組曲」、③トワ・エ・モア「空よ」、④C.C.R(クリーデンス・クリア・ウォーター・リバイバル)「トラベリング・バンド」です。このうち淘汰されて残ったのがモーツアルトとドビュッシーだったのです。しばしモーツアルトに奔りましたが
小組曲はピアノ連弾用に作曲されましたが、アンリ・ビュッセルによりオーケストラ用に編曲されました第1曲「小舟にて」、第2曲「行列」、第3曲「メヌエット」、第4曲「バレエ」から成ります。第1曲冒頭はオケのバックに支えられてフルートの優雅なメロディーが奏でられますが、甲藤さちの吹くフルートの何と美しいことでしょうか あの時のラジオ録音を思い出しました。曲名通りこじんまりした曲ですが、美しいメロディーに溢れた佳曲です
舞台右袖からピアノがセンターに運ばれ、ミシェル・べロフが秋山和慶とともに登場します かつての美青年も今や貫録のベテラン・ピアニストになりました。その昔、彼の演奏するプロコフィエフのピアノ協奏曲のLPを良く聴いたものです
べロフは椅子の高さを調整して、メガネをかけてピアノに向かいます。ラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」は、このあと演奏する「左手のための協奏曲」とほぼ同時期に着手されました ラヴェルは1931年のインタビューで興味深いことを言っています
「私見によれば、協奏曲というのは快活にして華麗でなくてはならず、深刻であったり、ドラマティックな効果も必要ありません」
ト長調のコンチェルトを聴けば、彼の発言内容がよく分かります べロフは一部独特のアクセントをつけて第1楽章を弾きます。第2楽章はイングリッシュ・ホルンとの掛け合いが実に美しく響きました べロフのピアノは高音が非常にきれいです。第3楽章は超高速テンポで音楽を推進します
会場一杯の拍手 に何度も舞台に呼び戻されます。秋山はソリストを立てて、オケを立たせることはしません
休憩後は同じラヴェルの「左手のための協奏曲」がべロフのソロで演奏されます。この曲は、第1次世界大戦で右手を失ったウィーン生まれのピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインから委嘱を受けて作曲したものです
冒頭、低弦の重い響きが続き、それがクライマックスに達した時、ピアノが力強く入ってきます しばらく左だけのソロが続きますが、とても片手で演奏しているとは思えない力強さです この曲は切れ目なしに続けられる単一楽章の作品のため、気持ちよく聴いているうちに、あっという間に曲が終わってしまいます
べロフはまた何度も舞台に呼び戻されます。が、アンコールの用意はなかったようです
ピアノが右袖に片付けられて、オケが再度スタンバイします。最後の曲は「ラ・ヴァルス」つまり「ワルツ」です。ラヴェルは日ごろからワルツが好きだったようで、J.シュトラウスを賞賛していたといいます ロシア・バレエ団主宰者のディアギレフからの希望もあり、ウィーンへの憧れを作品にまとめたいと思ってバレエ音楽「ラ・ヴァルス」を完成したと言われています
ラヴェルはスコアに次のような文を添えています。
「雲の割れ目から、ワルツに興じる人々が見える。雲は次第に消え、大きなホールが現われる。旋回する人たちがあふれるばかりである。ホールはさらに明るさを増し、シャンデリアの光も輝きを強くする 時は、1855年頃の宮廷である」
秋山和慶の指揮する東京交響楽団は、ラヴェルの書いた文章を再現するかのように、優雅で、視覚的で、色彩感溢れる演奏を展開、最後は大団円を迎えます
聴いていると思わず踊りたくなります。 いつですか? 今でしょ