人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ラ・フォル・ジュルネ音楽祭コンサート3日目(5月5日)リポート②

2013年05月07日 07時00分10秒 | 日記

7日(火)。5日(日)にラ・フォル・ジュルネ音楽祭第3日目のコンサートを7公演聴きましたが、ここでは後半の3公演について書きます

 

          

          

午後4時から国際フォーラム・ホールCで公演番号344番のコンサートを聴きました プログラムは①ベルリオーズ「序曲:ローマの謝肉祭」、②同「葬送と勝利の大交響曲」で、演奏は黒岩英臣指揮東京音楽大学シンフォニック・ウインド・アンサンブルです 実はこのコンサート、とくに「~大交響曲」は一度も聴いたことが無いので楽しみにしていました 学生オケがどれ程の実力を見せてくれるかお手並み拝見といったところです

自席は1階15列16番、左ブロック通路側です。会場は9割方埋まっている感じです。演奏者が舞台に登場しますが、学生オケらしく座席順に一列になって入場します コンマスはクラリネットの女子学生です。配置を見ると、左サイドはクラリネット族、右サイドはフルート、サクソフォン、テューバ等とコントラバス、小太鼓が各2、正面はホルン、トロンボーン、ファゴット等とタンバリン、ティンパ二、トライアングルという態勢です 全体を見渡すと女性の比率が圧倒的に高いことが分かります。これがそのままプロのオケにつながっているのでしょうね

指揮者の黒岩英臣が登場し1曲目のベルリオーズ「序曲:ローマの謝肉祭」が始まります。管楽器だけでもこんなに色彩感豊かな音楽が可能なのか、と ます。その昔、ワインガルトナー指揮によるモノラル録音LPで初めてこの曲を聴いた時は、団子状に出てくる、あまりの音の悪さに癖劈して聴く意欲を失ったものですが、本来はこのようにカラフルで豊かな音楽だったのだ、とあらためて感心しました

2曲目の「葬送と勝利の大交響曲」は1840年、フランス政府が7月革命の犠牲者の追悼式のための作品をベルリオーズに委嘱したことから作曲したものです

曲は右サイドにスタンバイしている2つの小太鼓による”葬送”のリズムから始まります。太鼓には黒い布が被せられており、その上から叩きます これに呼応して管楽による合奏で”葬送行進曲”が演奏されます。聴いていて思ったのは、多くの管楽器に囲まれた中で、しっかりとした存在感を示した2本のコントラバスと2つの小太鼓です 彼らがいるからこそ音楽に深みと広がりが出たのだと思います

トランペットとトロンボーンによりファンファーレが高らかに奏でられ”勝利”の音楽に移ります 途中、トロンボーンの独奏がありますが、男子学生による演奏はなかなかのものでした 全体として迫力のある素晴らしい演奏で、大満足でした。最初から最後まで、緊張のためかニコリともしないコンマスの女性奏者が、なぜか印象に残っています

 

          

                 (地下の展示ホールでの演奏会)

 

次に5時45分から同じホールCで公演番号345番のコンサートを聴きました プログラムは①ラヴェル「左手のための協奏曲」、②同「バレエ:ダフ二スとクロエ第2組曲」で、演奏はパスカル・ロフェ指揮フランス国立管弦楽団、ピアノ独奏は児玉桃です 当初、メシアンの曲が演奏されると発表されていましたが「左手~」に変更になったようです。指揮者のロフェは来年度からこのオケの音楽監督に就任することが決まっているそうです。また、フランス国立管弦楽団は、いま東響の音楽監督を務めているユベール・スダーンも音楽監督を務めていたとのことです

自席は1階22列14番、左ブロックの後ろから3列目です。会場は8~9割の入りでしょうか。コンマスは午後2時15分から聴いた公演と違い男性奏者になっています。児玉桃が朱色のドレスで登場します

1曲目のラヴェル「左手のための協奏曲」は第1次世界大戦で右手を失ったピアニストからの依頼によって1930年に作曲されました オケの序奏に続いて児玉桃のピアノが力強く入ってきます。とても片手だけで弾いているようには思えません オケは管楽器と弦楽器のバランスが良く、ピアノを支えます。それにしてもラヴェルって本当に凄い人だと思います

ピアノが袖に片付けられて、2曲目の「ダフ二スとクロエ」第2組曲が始まります。冒頭の混沌とした音の世界を聴いた瞬間からラヴェルの魔術にハマってしまいます。管楽器、弦楽器の素晴らしいブレンドの音の波が空間を漂います

 

          

 

いよいよ私にとって「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2013」最後の公演です。7時半からホールAで公演番号315番の「聖なるパリ」コンサートを聴きました プログラムは①デュルフレ「グレゴリア聖歌による4つのモテット」、②フォーレ「レクイエム」で、演奏はラ・フォル・ジュルネではお馴染みのミシェル・コルボ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア、ローザンヌ声楽アンサンブルで、ソプラノ=シルヴィ・ヴェルメイユ、バリトン=ジャン=リュック・ウォーブルがソリストに加わります

自席は1階22列15番、左サイド中央通路のすぐ後ろ通路側です。会場は8~9割の入りでしょうか

シンフォニア・ヴァルソヴィアのメンバーに次いで、ローザンヌ声楽アンサンブルのメンバーが登場します。舞台の左右の壁に設置された大型スクリーンに映し出されたコーラス陣を見ると、顏なじみの歌手が何人もいます 「ラ・フォル・ジュルネ」ではコルボとともに毎年のように演奏しているので、すっかり顔を覚えてしまいます

1曲目のデュリュフレ「グレゴリオ聖歌による4つのモテット」が無伴奏で始まります。透明なコーラスの声が会場を満たします

2曲目のフォーレ「レクイエム」は1887年から作曲が始められ、その後2回改訂されました。コルボによるこの曲のCDは大ベストセラーを達成しましたが、生の演奏を聴けばその理由が分かります 何と言ってもローザンヌ声楽アンサンブルの透明な歌声が決め手です とくに、オルガンとハープに導かれて歌われる「サンクトゥス」の素晴らしさを何と表現すればいいのか、言葉が出てきません。人は本当に美しいものを前にした時には、ただ沈黙しかありませんが、まさに、流れてくる清らかな美しい音楽に耳を傾けるしかありません

アンコールにグノー「十字架上のキリストの7つの言葉」からの1曲を演奏しましたが、演奏者たちが立ち去ってからも、しばし拍手が鳴り止みませんでした

こうして私の「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2013」は幕を閉じました。ボランティアのスタッフの皆さん、3日間お世話になりありがとうございました。きっといいことがありますよ 

 

          

 

ここで今年聴いた18公演を振り返ってマイ・ベスト5を選んでみました

第1位:サン=サーンス「ピアノ協奏曲第2番ト短調」ほか(ピアノ:アンヌ・ケフェレック。フェイサル・カルイ指揮ラムルー管弦楽団。4日)

第2位:フランク「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」、サン=サーンス「ハバネラ」ほか(ヴァイオリン:竹澤恭子、ピアノ:萩原麻未。3日)

第3位:サン=サーンス「動物の謝肉祭」(ヴィオラ:趙静、ピアノ:萩原麻未、ヴァイオリン:竹澤恭子、デボラ・ネムタヌ、フルート=工藤重典ほか。3日)

第4位:フォーレ「ヴァイオリン・ソナタ第1番」、サン=サーンス「ヴァイオリン・ソナタ第1番」(ヴァイオリン:レジス・パスキエ、ピアノ:アンヌ・ケフェレック。5日)

第5位:フォーレ「レクイエム」ほか(ミシェル・コルボ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア、ローザンヌ声楽アンサンブル。5日)

番外特別賞:ラヴェル「ボレロ」(佐渡裕指揮ラムルー管弦楽団。4日午後7時開演215番公演のサプライズ演奏)

こうして見ると、サン=サーンスが多いことに気が付きます。好きな作曲家なので当然と言えば当然ですが、期待してチケットを買った公演が期待通りだと嬉しいものです  今年の公演での新たな発見は、ラ・フォル・ジュルネ初来日のラムルー管弦楽団のふくよかな音色です

さて、来年のラ・フォル・ジュルネのテーマは何でしょうか?もちろん、来年の5月の3連休も東京国際フォーラムに通います

 

          

 

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