13日(月)。昨日も風邪のため体調が良くなかったので、音楽を聴いて、新聞や本を読んで一日中家で過ごしました CDはパリの香りたっぷりのケフェレックの「サティほか」、今の季節にぴったりのアバド+ロンドン響によるメンデルスゾーンの「交響曲全集」、休日に聴くのにふさわしいクナッパーツブッシュの「ウィーンの休日」などです
中町信著「模倣の殺意」(創元推理文庫)を読み終わりました 中町信は1935年1月群馬県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、出版社勤務のかたわら67年から雑誌に作品を発表、2009年6月に死去しています。
「7月7日午後7時、新進作家の坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、作品制作に行き詰って世を儚んでの自殺とされた 坂井に編集雑務を依頼していた医学書系出版社に勤める中田秋子は、坂井の部屋で偶然出会った遠賀野律子の存在が気になり調査を進める
一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調査を進める。その結果、坂井がやっとの思いで発表にこぎつけた受賞第1作が、さる有名な作家の短編の盗作である疑いを持ち、編集者、柳沢邦夫を追及する。さて、事件の真相はいかに・・・・
」
この本は、もともと1971年に「そして死が訪れる」として第17回江戸川乱歩賞に応募した作品が元になっていますが、その後、ストーリーに変更が加えられ、72年に「模倣の殺意」(雑誌『推理』連載)、73年に「新人賞殺人事件」(双葉社)、87年に「新人文学賞殺人事件」(徳間文庫)、そして2004年に「模倣の殺意」(創元推理文庫)とタイトルが変わってきた経緯があります もちろん著者には他の作品もあるのですが、1つの作品を、手を変え品を変えて発表するほど著者にとっては自信と愛着があるのだと思います
読者の多くは巻末の「解説」を先に読んでから本文を読み始めると思いますが、本書に限っては、ネタバレが明確に書かれているので、絶対に止めた方がいいと思います 本書を読んで唖然とした後で、ゆっくりと「解説」を読むことをお薦めします