6日(月・休日)。昨日、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭第3日目のコンサートを7公演聴きました ここではそのうち前半の4公演について書きます
少し早目に会場に着いたので、散歩をしているとチケット売り場の裏手「インフォメーション」前で、二人組の芸人が”二人羽織り”でヴァイオリンを弾くというコントをやって、笑いをとっていました
5月5日の最初は午前9時45分からAホールで開かれる公演番号311番のコンサートです プログラムは曲順が変更になり①シャブリエ「ハバネラ」、②デュカス「魔法使いの弟子」、③シャブリエ「狂詩曲:スペイン」、④ラヴェル「ボレロ」です。演奏はフェイサル・カルイ指揮ラムルー管弦楽団です
入場ゲートで「コンサートを楽しむためのマナーブック」を配っていました。良いことです 会場に入ると、多くの親子連れが舞台に詰め寄って、管楽器奏者がサービスで奏でる音に耳を傾けていました ざっと見渡すと半数以上が親子連れではないかと思われました。自席は1階34列15番、左ブロック右通路側です
開演時間になり、オケがスタンバイすると、進行役の石丸幹二が登場。自己紹介してから「0歳児の人はどのくらいいるかな?」と尋ねると、会場のあちこちで「はーい!」と赤ん坊を頭上に掲げる多くの親たちの光景が見られました 石丸は「1歳児のひとは?」「2歳児の・・・・」「3歳児の・・・・・・」と訊いて、そのたびに会場のあちこちで親が幼児をウエイト・リフティングで持ち上げていました。オトーさん、オカ―さん、お疲れ様でした
1曲目のシャブリエが始まっても、会場のそこかしこでワーワー、ギャーギャーという赤ん坊の声は止みません 演奏の途中、通路を徘徊する幼児は限りなく、国際フォーラム・ホールAは「都立臨時保育園」と化しました
2曲目のデュカスも変わりありません。演奏は半分しか聴こえません まあ、このコンサートは最初から「0歳からのコンサート」と銘打っているので、チケットを買う時からこういう事態は覚悟をしていた訳ですが、それにしてもすごい”無法地帯”です これを聴いている間、ホールAの入り口脇の左右のスペースは下の写真のような”臨時バギー置き場”となっていたのです。100、200の単位ですよ、奥さん
3曲目のシャブリエ「スペイン」が終わったのは10時20分を過ぎていました。次の公演が10時55分からよみうりホールであるので、4曲目の「ボレロ」を聴くと、会場までの移動時間を考えると開演時間に間に合わなくなる恐れが強いと判断し(入場料も1,500円だし)、涙をのんで”大を取って小を捨てる”ことにしました 次の会場が近くのホールB7やホールCだったら違う対応だったかもしれません
あとでこの公演のインフォメーションを見ると、ボレロのあと、アンコールにビゼーの「カルメン」前奏曲(?)を演奏したとのこと。そこまで付き合っていたら確実に遅刻でした
早めによみうりホールに移動して10時55分から開かれる公演番号371のコンサートを聴きました プログラムは①フォーレ「ヴァイオリン・ソナタ第1番」、②サン=サーンス「ヴァイオリン・ソナタ第1番」。ヴァイオリンはレジス・パスキエ、ピアノはアンヌ・ケフェレックです
自席は1階N列11番、左ブロックの右通路側です。会場は文字通り満席です ケフェレックは上が白、下が黒の衣装でパスキエとともに登場します ケフェレックの衣装はいつもシンプルですが、ファッショナブルです
1曲目のフォーレ「ヴァイオリン・ソナタ第1番イ長調」の冒頭はピアノ独奏から入りますが、その瞬間からフランス音楽の世界へ誘われます ケフェレックは最初から絶好調です。一方のパスキエは後半に行くにしたがって調子が乗ってきたように思います 4楽章から成りますが、楽章が終わるたびに拍手が起きたのには苦笑しました
2曲目のサン=サーンス「ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調」は作曲者が50歳のときに作曲した傑作です 初めて聴きましたが、構成のしっかりした曲で、一度聴いただけで気に入りました 第2楽章フィナーレのアレグロ・モルトはこの演奏会の白眉でした どちらかと言うと、パスキエがケフェレックの迫力ある演奏に刺激されて、熱演を展開したと言えるのではないかと思います。その熱演あってか、終了時間を15分オーバーしてしまいました
帰りがけに、ロビーで販売していたケフェレックの最新CD(SATIE & Compagnie)を購入しました。あとでゆっくり聴こうと思います
12時前後になったので、いま絶好調のファミリー・マートンで、もとい、ファミリー・マートで、おにぎりとお茶を買ってフォーラムのチケット売り場前の長椅子で食べました
午後12時半からAホールで公演番号312番のコンサート「パリのロマン派」を聴きました。プログラムはベルリオーズ「幻想交響曲」です。演奏は小泉和裕指揮東京都交響楽団。自席は1階22列21番、中央通路のすぐ後ろの通路側です。かなりの聴衆が入っています
コンマスは都響のコンマス矢部哲哉です。楽器の配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、うしろにコントラバスという態勢です
指揮者・小泉和裕が登場し、指揮台に上がります。彼は常に、足を肩幅に開き、そのまま1ミリも動かしません まるで足に根が生えて固定されてしまったようです。そして両手を大きく上げ下げしてオケを包み込むようなしぐさをします
その指揮姿は、帝王カラヤンそっくりです。あらためてプログラムのプロフィール欄を見ると「73年カラヤン国際指揮者コンクール第1位」とあります 佐渡裕の指揮ぶりが師匠バーンスタインに似ているように、小泉の場合は師匠カラヤンに似ているのでしょう。小泉がカラヤンと違う点は、カラヤンが目を瞑って指揮をするのに対して、小泉は目を開けて指揮をすることです
演奏は、コンマスの矢部がオケを引っ張って、迫力ある展開を見せました。とくに「断頭台への行進」は大地を揺らす迫力でした
次いで午後2時15分からCホールで開かれる公演番号343番のコンサートを聴きました プログラムは①ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、②ラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」、③ドビュッシー「交響詩:海」。パルカル・ロフェ指揮フランス国立ロワール管弦楽団です
自席は2階2列1番。2階と言ってもバルコニー席のような位置で1階に限りなく近い席です。会場はほぼ満席です
オケの面々が”舞台狭し”と位置に着きます。コンマスは黒髪が長いアジア系の女性です ひょっとしたら、アジア・フィルかソウル・フィルで第2ヴァオリンのトップを弾いていた女性ではないかと思いましたが、確信がありません オケの配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、後ろにコントラバスという態勢です
1曲目のドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」がフルートのソロで始まります。このオケもフルート、オーボエ、ホルンなど管楽器が豊かな音色です。フランスのオケってこうした共通点があるようです 2曲目のラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」では、あまりの気持ちよさに寝入ってしまいそうになりました。とくにチェロが素晴らしい音を出しています
3曲目のドビュッシー「交響詩:海」はヴァイオリンとチェロのソロがありますが、ともによく通る素晴らしい演奏でした。第3曲「風と波の対話」のフィナーレは力強く迫力満点でした
演奏が終わって出口に向かうと、通路でピアニストの萩原麻未さんが、係りの人に何かを尋ねていました。彼女はごく普通の格好をしているので、あの萩原麻未と気づく人は少ないかもしれません。サインをもらおうかと思いましたが、彼女はCDを出していないし、どこにサインをしてもらったらよいのか分からないので、諦めました
この後、午後4時からホールCで開かれる公演番号344番のコンサート(①ベルリオーズ「序曲:ローマの謝肉祭」、②同「葬送と勝利の大交響曲」)、5時45分からホールCで開かれる公演番号345番のコンサート(①ラヴェル「左手のための協奏曲」、②同「バレエ:ダフ二スとクロエ第2組曲」)、7時半からAホールで開かれる公演番号315番のコンサート(①デュリュフレ「グレゴリオ聖歌による4つのモテット」、②フォーレ「レクイエム」)をハシゴしましたが、これら3公演の模様は明日のブログでご紹介します