人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ラ・フォル・ジュルネ音楽祭第1日目(5月3日)コンサート・リポート②

2013年05月04日 10時00分08秒 | 日記

4日(土)その2。ここでは3日(金)に開かれたラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン第1日目のコンサートの後半3公演の模様を書きます

 

          

          

午後4時から東京国際フォーラム・ホールCで公演番号144番のコンサートを聴きました オフィシャル・ガイドにはプログラムとしてサン=サーンス「動物の謝肉祭」とあり、ピアノが酒井茜と、もう一人が未定となっていました それが、会場入り口で配布されたプログラムを見ると、最初にフランク「チェロ・ソナタ」が、午前に演奏した同じ趙+酒井のコンビで演奏され、2番目に「動物の謝肉祭」が演奏されることになっており、未定だったピアノが何と萩原麻未になっていました。これは大歓迎です 多くの人もそう思ったことでしょう

自席は2階15列38番、2階席のほぼ中央、前から6列目です。収容人数1494席の会場はほぼ満席です

趙は水色のドレス、酒井は黒の衣装の上に黄色いカーディガンという出で立ちで登場します お色直しですね この日2回目に聴くフランクのソナタですが、趙はチェロを朗々と静かに弾きます。この人の特性は弱音がきれいなことです

2曲目のサン=サーンス「動物の謝肉祭」はパロディ音楽のハシリかもしれません。演奏者は10人 舞台中央にピアノが向い合せに並べられ、向かって左が萩原麻未、右が酒井茜、左サイドにマリンバの安江佐和子、前列は左から竹澤、ネムタヌ(以上ヴァイオリン)、リダ・チェン(ヴィオラ)、趙(チェロ)、渡邊玲雄(コントラバス)、ラファエル・セヴェール(クラリネット)、工藤重典(フルート)という配置です

萩原のピアノで「序奏とライオンの行進」が始まります。2曲目の「おんどりとめんどり」における竹澤のニワトリの鳴き声を真似たヴァイオリンは傑作でした 4曲目の「亀」になった時、クラリネットのラファエルが、急に立ち上がりピアノの後方に行って隠れてしまいました 7曲目の「水族館」は有名ですね。透明感あふれる音楽です 次の「耳の長い登場人物」とは音楽評論家のことです 竹澤とネムタヌのヴァイオリンの競演は聴きものでした。弦を擦ってしゃっくりのような音を出して競い合うのですが、他の演奏家たちも笑みを浮かべてお互いに目配せして楽しんでいます 次の「森の奥のカッコウ」になると、ピアノの向こう側に行ったまま行方不明だったラファエルがクラリネットでカッコウの鳴き声を真似て存在感を示していました なぜ奥に隠れたかといえば曲名が「森の奥のカッコウ」だからでしょう

11番目の「ピアニスト」はへたなピアニストのパロディですが、二人のピアニストはヘタなピアニストを真似るのがうまい 他のメンバーはニヤニヤ笑っています 次にマリンバが活躍する「化石」を経て、趙のチェロ独奏による「白鳥」がしみじみと切なく演奏されます そして最後の「フィナーレ」に向かいます。このフィナーレこそ出演者の総意を込めた圧倒的な演奏になりました この熱演のため、当初4時45分に終わる予定だった公演が5時10分になってしまいました。45分の演奏会が25分延長の70分になってしまったなんて前代未聞です 後から追加されたと思われる「チェロ・ソナタ」が余計でしたね。次の公演時間が迫っている人は、走れ!走れ!コウタロー!!

 

          

 

という訳で、前の公演が大幅に長引いたため、ホールCは大混乱です。会場から立ち去る人が相次ぐ中、会場の外では次の公演を待つ人たちが入口付近でたむろしています 何を隠そう、私も引き続きホールCで次の公演を聴くのです。幸いスタッフの懸命な努力によって、開場時間こそ15分も後ろにずれましたが、開演時間は5分遅れに留まりました ボランティアのスタッフの皆さんお疲れ様でした

午後5時50分からホールCで公演番号145番の公演を聴きました プログラムは①ファリャ「7つのスペイン民謡」、②ロドリーゴ「アンダルシア協奏曲」です

自席は3階2列1番、会場はほぼ満席です。拍手の中、オーヴェルニュ室内管弦楽団のメンバーが登場します プログラムの解説によると、このオケは1981年創設の21人から成る団体ですが、舞台上を見ると32人います。弦楽器はオリジナル・メンバーらしいのですが、管打楽器は、オーボエとホルン各2名以外は日本人のようです。ラ・フォル・ジュルネ仕様の臨時オケですね

音楽監督・首席指揮者のロベルト・フォレス・ヴェセスが、短めの白いタクトを持って登場します 1曲目のファリャ「7つのスペイン民謡」は1914年に作曲されたスペイン各地の音楽を集めた歌曲集です。スペイン色豊かなメロディーが繰り広げられます。曲によってチェロの独奏がありますが、明るい音色の軽快な演奏でした

2曲目のロドリーゴ「アンダルシア協奏曲」は副題が「4本のギターのための」とある通り、ギター協奏曲です。4人のギタリストが登場、第1ヴァイオリンの手前に横一列に並んでスタンバイします 指揮者に近い方からカニサレス、左に鈴木大介、荘村清志、大萩康司という配置です。カニサレスだけが足を組んでリラックスした姿勢で演奏します 他の3人は真剣勝負です。ギターは音が小さいので、それぞれの足元にマイクが設置されています。曲は第1楽章「テンポ・デ・ボレロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット」から成りますが、とくに、カニサレスから順番にギターのソロが披露される第2楽章「アダージョ」が、オーボエとの掛け合いとも相まってスペイン情緒あふれる素晴らしい演奏でした

前のコンサートが大幅に延長されたことに影響されたのか、この公演も10分以上伸びてしまいました。聴衆は喜んでいましたが

次のコンサートの前に軽く夕食を取ろうと思ったのですが、あまり時間がないので隣のホールAに移りました。午後7時15分から公演番号115番の「ベル・エポック」公演を聴きました プログラムは①フォーレ「組曲:ペレアスとメリザンド」、②ショーソン「詩曲」、③マスネ「タイスの冥想曲」です。当初②と③が逆に発表されていましたが、会場入り口のインフォメーションに演奏順変更のお知らせが掲示されていました

自席は1階11列12番、左ブロック右通路側です。5008人収容のホールAは、会場が広すぎるせいか5~6割程度の入りでしょうか 拍手の中、シンフォニア・ヴァルソヴィアのメンバーの登場です。このオケはラ・フォル・ジュルネの常連です。残念なのは席が前すぎて管楽器がまったく見えないのですオケの配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、後ろにコントラバスという態勢です

指揮のジャン・ジャック・カントロフがタクトを持って登場します。フォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」はフランスの香りあふれる名曲です。第3曲の「シチリア―ノ」は単独で取り上げられる美しい曲です ハープの伴奏にのってフルートがメランコリックなメロディーを奏でます

2曲目のショーソンを演奏するため、ヴァイオリニストのオーギュスタン・デュメイが登場します。背が高くスマートなスタイルです 一見して、彼も年をとったなあ という印象を持ちました。しかし、「詩曲」の演奏に入ると何とも言えない美しい音色で音楽を奏でていき、聴衆を魅了します 音楽に年齢は関係ありません

3曲目のマスネ「タイスの冥想曲」はハープの伴奏をバックに、ヴァイオリンが美しいメロディーを奏でますが、ロマンティックそのものです 弾き終わったデュメイは指揮者とハグ、オケの中に入っていき、第2ヴァイオリン中央辺りにいた女性ハープ奏者を引っ張り出し、会場の拍手を求めました このハーピストがすごくチャーミングなのです。分かります、デュメイの気持ち

会場をあとにして、今回の公演の記念に、ラ・フォル・ジュルネ2013のオフィシャルCD「パリ、至福の時」(1,000円)と「フランスの熱狂」(4枚組で1,000円)を買いました。オフィシャルCDにはラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」、ビゼー「カルメン」前奏曲、サティ「ジムノペディ第1番」などフランス音楽のエッセンスとも言える19曲が収められています

一方、「フランスの熱狂」の方は、日本語の解説シートが付いているので、ざっと見ると、ビゼー「アルルの女」前奏曲、マスネ「タイスの冥想曲」、サティ「グノシェンヌ第1番」、サン=サーンス「動物の謝肉祭」より「白鳥」ほか、などが収録されており、演奏者もヤルヴィ指揮パリ管、アンヌ・ケフェレックなど、しっかりしたアーティストを揃えています。これはお買い得かもしれません 今なら国際フォーラムのあちこちの会場で山積みになっています。別に私はタワーレコードの営業マンではありませんが、どうぞ

 

          

                      (オフィシャルCD)

 

          

                    (「フランスの熱狂」CD)

 

こうして私の第1日目の公演は終わりました。2日目の今日は12時15分から7時45分までの間に5つの公演を聴きます。この模様も明日の朝7時には第1弾をアップします

 

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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭始まる~第1日目①

2013年05月04日 07時00分18秒 | 日記

4日(土)。昨日3日、いよいよ5月連休恒例のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(「熱狂の日」音楽祭2013)が開幕しました 毎年、有楽町駅近くの東京国際フォーラム、よみうりホールを中心に開かれていますが、今年のテーマは「パリ、至福の時」です。日本では2005年(ベートーヴェン)から始まりましたが、私は翌2006年(モーツアルト)から毎年、3日間で10数公演聴いています 今年は18公演を聴きます。ここでは第1日目に聴いた6公演のうち前半の3公演について書くことにします

東京国際フォーラム地上階入口には大きな看板が掲げられています

 

             

 

この日、最初に聴いたのは東京国際フォーラムのホールB7で午前10時15分から開かれる公演番号121のコンサートです 「オフィシャル・ガイド」にあるプログラムには①メシアン「イエスの永遠性への賛歌」(世の終わりのための四重奏より)、②サン=サーンス「アレグロ・アパッショナート」、フォーレ「エレジー」、③同「夢のあとに」、④プーランク「チェロ・ソナタ」とあり、演奏はチェロ=趙静(チョウ・チン)、ピアノ=酒井茜となっています

ところが、会場入り口で配布されたプログラムには④がプーランクではなく、フランク「チェロ・ソナタ」となっています。単なるミスプリかどうか不明ですが、プーランクとフランク・・・・・・語感が似てますね

822席の会場ホールB7はほぼ満席です。自席は9列31番、右ブロックの左通路側席です。趙が黒の上下、酒井が濃いピンクの衣装で登場し、1曲目の演奏が始まります ところが、流れてきたのはフォーレの「夢のあとに」でした。4番目のフォーレと1番目のメシアンの順番を入れ替えたようです あとで係りの人に訊いて判ったのですが、曲順を入れ替えただけでなく「演奏者の判断で」フォーレの”エレジー”をカットしたとのことです。演奏前に事前にアナウンスしてくれてもいいのに、と思いました

1曲目のフォーレ「夢のあとに」は、趙のチェロがまるですすり泣いているようでした 3曲目のメシアンの曲は、静寂の中を趙のチェロが静かに流れていきます。残念だったのは、いい気持ちで聴いているときに、右サイド前方の席で幼児の叫び声が聞こえたことです。大きな声で「ここに居ます」と叫んでいました。止んだと思って安心していると、再び叫びました。これは親の責任です この音楽祭のコンサートは0歳児からOK,3歳未満は×、6歳未満は×(夜間のため)の3種類ありますが、このNo.121の公演は3歳未満は×です。叫んだ幼児は3歳以上だったのかも知れませんが、お金を払って聴きに来ている聴衆にとっては迷惑千万です

最後のフランク「チェロ・ソナタ」は有名な「ヴァイオリン・ソナタ」のチェロ版です。趙のチェロは朗々と歌い、この曲はもともとチェロのための曲ではないかと勘違いするほど、チェロの音域にピッタリだと感じます それ程、趙のチェロが素晴らしいということでしょう。全体的に”抑制された美しさ”を感じます ひとつ残念だったのは、酒井茜のピアノがいま一つだったことです

演奏が終わり、外に出て地下階の当日券売り場を覗いてみると「SOLD OUT」で埋まったスケジュール表が掲示されていました

 

          

 

次の公演まで時間があるので、新東京ビル地下の飲食店街で昼食を採ってから、次のコンサート会場のよみうりホールに向かいました この日2番目のコンサートは午後1時25分から読売ホールで開かれる公演番号172のコンサートです プログラムは①サン=サーンス「ハバネラ」、②同「死の舞踏」、③フランク「ヴァイオリン・ソナタ」です。ヴァイオリンは竹澤恭子、ピアノは萩原麻未です

会場は満席、自席は2階G列20番、センターブロック左通路側席です。このホールはかなり古く、座席が狭く窮屈です。東京文化会館といい勝負でしょうか。舞台後方には横長の反響板が設置されています

萩原麻未が黒のラメ入りドレス、竹澤恭子が黒をベースにした深緑入りのドレスで登場します 1曲目のサン=サーンス「ハバネラ」の「ハバネラ」とはキューバの首都「ハバナ風に」の意味です。2人は息を合わせリズミカルに演奏します 2曲目のサン=サーンス「死の舞踏」は不気味な曲です。竹澤が身体を捻ってヴァイオリンを奏でると、萩原がそれに呼応して椅子から腰を浮かせて演奏します 本来はオーケストラで演奏されることが多い曲ですが、短い曲ながら二人の名演奏・名人芸を見ているような気がしました

最後のフランク「ヴァイオリン・ソナタ」の冒頭が、萩原のピアノで始まったとき、はっきりと分かりました。午前に聴いた「チェロ・ソナタ」と同じパートを弾いているはずなのに、ピアノから出てくる音が全然違うのです 酒井の演奏はピアノが鳴っているのですが、それ以上ではないのに対し、萩原のピアノはフランスの憂鬱というかアンニュイな雰囲気を醸し出している香り高い演奏なのです

第2楽章「アレグロ」が終わると、一部で拍手が起こりました。やっぱり出ましたか 午前のチェロ・ソナタの時にはその気配はあったものの拍手がなかっただけに「あー、やっちまったー」という感じです。竹澤のヴァイオリンと萩原のピアノは丁々発止のやり取りが続き、時にバトルの様相を呈します

最終楽章の圧倒的なフィナーレが終わり、一瞬、空気がふわっと浮き上がり、温度が上昇したように感じました。会場一杯の拍手とブラボーが舞台上に押し寄せます。迫力あふれる熱演でした

次の公演がすぐ後に控えているので、拍手もそこそこに席をあとにして、エレベーター前に列を作っている人々を横目で見ながら、7階から階段を駆け下りました

会場のホールB7に行く途中、地上広場を通りましたが、帝国ホテルの屋台が出ていました。長いラ・フォル・ジュルネの歴史の中で初めてではないかと思います。帝国ホテルと屋台とはなかなか結び付きませんよね

 

          

 

3日の3番目のコンサートは午後2時半からホールB7で開かれる公演番号123番の「フォーレとその弟子」公演です プログラムは①ラドミロー「チェロ・ソナタ」、②フォーレ「チェロ・ソナタ第1番ニ短調」、③同「夢のあとに」です。チェロはフランソワ・サルク、ピアノはユーリ・ファヴォリンです。サルクは「イザイ弦楽四重奏団」のメンバーとして5年間活動した実績があります

自席は9列14番、左の島の右通路側席。会場はほぼ満席です。1曲目のラドミローはフォーレの弟子で、ラ・フォル・ジュルネの本拠地ナント生まれの人です。「チェロ・ソナタ」は3つの楽章から成りますが、第1楽章の冒頭から”いきなり本題”という感じで直球勝負で来ます。全体的に分かりやすい曲想です

2曲目のフォーレ「チェロ・ソナタ」は初めて聴く曲です。チェロが朗々と奏でられ、ピアノがピッタリと付けていきます 最後のフォーレ「夢のあとに」は、午前の趙静の演奏と比較すると、趙のが”すすり泣くような”演奏だったのに比べ、サルクのは”憧れに満ちた”ロマンあふれる演奏です。別の言葉で言えば”男のロマン”を感じる演奏です。同じ曲でもこうも違うか、と驚きます

 

          

 

次いで午後4時からCホールで開かれる公演番号144のコンサート(サン=サーンス「動物の謝肉祭」)、次いで午後5時45分からCホールで開かれる公演番号145のコンサート(①ファリャ「7つのスペイン民謡」、②ロドリーゴ「アンダルシア協奏曲(4本のギターのための)」)、そして3日最後は午後7時15分からAホールで開かれる公演番号115のコンサート(①フォーレ「ペレアスとメリザンド」、②マスネ「タイスの冥想曲」、③ショーソン「詩曲」)を相次いで聴きました。この3公演の模様は次のブログで紹介します

 

          

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