5日(日・祝)。昨日聴いたラ・フォル・ジュルネ音楽祭・第2日目の5公演のうち後半2公演について書きます
午後5時45分から国際フォーラム・ホールB7で公演番号225番のコンサートを聴きましたプログラムは①ラヴェル「ラ・ヴァルス」、②フランク「ピアノ五重奏曲ヘ短調」です。演奏はモディリアー二弦楽四重奏団、ピアノはジャン=フレデリック・ヌーブルジェです
自席は16列6番、左サイドの右通路側です。会場は満席 最初のラヴェル「ラ・ヴァルス」はヌーブルジェの独奏で演奏されます。彼は1986年生まれで、パリ国立音楽院を卒業し2009年に史上最年少でパリ国立音楽院の伴奏科教授に就任している若きホープです
「ラ・ヴァルス」は「ワルツ」という意味ですが、オーケストラで演奏されることが多い曲で、これをピアノの独奏でやろうと言うのですから、よほど演奏効果を狙った演奏でないと飽きられます 冒頭のうごめくような旋律からフィナーレのフォルティッシモに至るまで、ヌ―ヴルジェのピアノは冴えていましたが、もう少し”前に出る”演奏でも良かったかな、と思いました
次いで、ヌ―ヴルジェがモディリアー二弦楽四重奏団とともに登場します フランクの「ピアノ五重奏曲」は馴染みの薄い曲で、CDも持っていないので予習が出来ませんでした。それが影響したのか、聴いていてもイマイチ曲の良さが理解できません 演奏は素晴らしいに違いないのですが、曲そのものに溶け込めません。ゆったりしたテンポが災いしたのかもしれません この公演は男ばかり5人の演奏家に、譜めくりまで男でした。こういうのも馴染めないなあ この公演も10分超過しました
小腹が空いたし次のコンサートまで時間があるので地上階広場の屋台村に行きました。B級グルメ選手権で2年連続チャンピオンになった富士宮焼きそばの屋台があったので、焼きそばを注文しました
残念ながら、作り立てではなく、作ってから大分時間が経っているようで、しっかり冷めていました が、500円も払ったので、つべこべ言わずに食べてみました やっぱり冷めた焼きそばはB級グルメではなくC級オチメに転落していました やっぱり焼きそばは作り立てを食べなきゃね
気を取り直して7時からホールAで公演番号215番のコンサートを聴きました プログラムは①ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」、②同「ピアノ協奏曲ト長調」、③同「ラ・ヴァルス」で、演奏はフェイサル・カルイ指揮ラムルー管弦楽団。ピアノは小山実稚恵です
自席は1階22列11番、中央通路のすぐ後ろの席です。会場はほぼ満席 指揮者カルイが登場し、1曲目のラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」がホルンの独奏で始まります カルイはタクトを持っていません。この曲でもホルン、フルート、オーボエといった管楽器の音色がやわらかく美しいのが印象に残ります
管楽器が追加され、小山実稚恵が茶系のドレスで登場しピアノに向かいます。カルイの合図で2曲目のラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」第1楽章が始まります。小山は軽快にピアノを操ります この曲の聴きどころは第2楽章「アダージョ アッサイ」です。小山のピアノが静かに美しく流れます。とくに高音部がとてもきれいです 夢見るような曲想です。小山はほとんど自分の指使いを見ないで演奏します
そして、第3楽章「プレスト」に突入します。再び小山の軽快なピアノが会場を満たします 圧倒的なフィナーレに会場一杯の拍手 が演奏者を包みます。小山は何度も舞台に呼び戻されます
ピアノが撤去され、オケが再配置されます。カルイは今度はタクトを持って登場、ラヴェル「ラ・ヴァルス」の開始の合図を出します。混沌とした世界から、だんだんワルツのメロディーが浮かび上がってきますカルイの指揮はまるでバレエを踊っているように身軽です。名前通り”カルイ”です オケは管打楽器と弦楽器のアンサンブルが見事で、大迫力でフィナーレを迎えました
鳴り止まない拍手に、カルイは何度も舞台に出てきますが、アンコールに応える様子がありません??そのうち、舞台上に何と小太鼓が運び込まれました まさか、アンコールにラヴェルの「ボレロ」をやるんじゃないだろうな と思って成り行きを見ていると、舞台袖にラ・フォル・ジュルネ音楽祭のディレクター、ルネ・マルタン氏が通訳とともに登場し、次のように語りました
「ここに居るラムルー管弦楽団を率いているカルイ氏をご紹介します(会場)。ラムルー管弦楽団といえば、日本とも関係が深いオーケストラです。佐渡裕さんが過去に17年間、このオーケストラの常任指揮者を務めていました 佐渡さんとラムルー管弦楽団にはフランスのナントのラ・フォル・ジュルネで演奏してもらったこともあります 私は、この音楽祭のどこかでサプライズを挙行すると言ってきました。今日は、ここに佐渡裕さんをお招きしています」
このアナウンスに会場は騒然 本当にサプライズです 上が白、下が黄色の衣装の佐渡裕が舞台に登場しました 会場は割れんばかりの です。「まさか」が「本当」になり、佐渡裕指揮ラムルー管弦楽団によるラヴェル「ボレロ」が演奏されることになりました 最初はただ立って、ほんの少しだけ手を動かす程度だったのが、ヴァイオリン・セクションがメイン・テーマを演奏するようになるころからアクションが大きくなり、佐渡裕らしい指揮振りに変貌を遂げました。後姿を見ていると、彼の師匠で今は亡きレナード・バーンスタインの指揮姿を思い出しました。やっぱり、弟子は師匠に似てくるのでしょうね 終演後、佐渡は弦楽器の首席と握手、管楽器の方に行ってまた握手。クラリネットのところまで行けないので、佐渡が指をさすと、その女性奏者は感激のあまりメガネをとって涙をぬぐい始めました。その当時、厳しいリハーサルを乗り越えてきたのでしょうね 佐渡はカルイと肩を組んで意気揚揚と舞台袖に引き上げていきました
それにしても、こんなサプライズは初めてです。この日、このコンサートを聴いた人は本当にラッキーでした。普段の心がけが良い人たちに違いありません
今日はラ・フォル・ジュルネ音楽祭の最終日です。今日は7公演聴きます。体力勝負です。3日目は身体がキツイです。でも、これが生きがいです。公演の模様は追ってブログでご紹介します