人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ラ・フォル・ジュルネ音楽祭コンサート2日目(5月4日)リポート②

2013年05月05日 08時00分06秒 | 日記

5日(日・祝)。昨日聴いたラ・フォル・ジュルネ音楽祭・第2日目の5公演のうち後半2公演について書きます

午後5時45分から国際フォーラム・ホールB7で公演番号225番のコンサートを聴きましたプログラムは①ラヴェル「ラ・ヴァルス」、②フランク「ピアノ五重奏曲ヘ短調」です。演奏はモディリアー二弦楽四重奏団、ピアノはジャン=フレデリック・ヌーブルジェです

自席は16列6番、左サイドの右通路側です。会場は満席 最初のラヴェル「ラ・ヴァルス」はヌーブルジェの独奏で演奏されます。彼は1986年生まれで、パリ国立音楽院を卒業し2009年に史上最年少でパリ国立音楽院の伴奏科教授に就任している若きホープです

「ラ・ヴァルス」は「ワルツ」という意味ですが、オーケストラで演奏されることが多い曲で、これをピアノの独奏でやろうと言うのですから、よほど演奏効果を狙った演奏でないと飽きられます 冒頭のうごめくような旋律からフィナーレのフォルティッシモに至るまで、ヌ―ヴルジェのピアノは冴えていましたが、もう少し”前に出る”演奏でも良かったかな、と思いました

次いで、ヌ―ヴルジェがモディリアー二弦楽四重奏団とともに登場します フランクの「ピアノ五重奏曲」は馴染みの薄い曲で、CDも持っていないので予習が出来ませんでした。それが影響したのか、聴いていてもイマイチ曲の良さが理解できません 演奏は素晴らしいに違いないのですが、曲そのものに溶け込めません。ゆったりしたテンポが災いしたのかもしれません この公演は男ばかり5人の演奏家に、譜めくりまで男でした。こういうのも馴染めないなあ この公演も10分超過しました

小腹が空いたし次のコンサートまで時間があるので地上階広場の屋台村に行きました。B級グルメ選手権で2年連続チャンピオンになった富士宮焼きそばの屋台があったので、焼きそばを注文しました

 

          

 

残念ながら、作り立てではなく、作ってから大分時間が経っているようで、しっかり冷めていました が、500円も払ったので、つべこべ言わずに食べてみました やっぱり冷めた焼きそばはB級グルメではなくC級オチメに転落していました やっぱり焼きそばは作り立てを食べなきゃね

 

          

    

気を取り直して7時からホールAで公演番号215番のコンサートを聴きました プログラムは①ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」、②同「ピアノ協奏曲ト長調」、③同「ラ・ヴァルス」で、演奏はフェイサル・カルイ指揮ラムルー管弦楽団。ピアノは小山実稚恵です

自席は1階22列11番、中央通路のすぐ後ろの席です。会場はほぼ満席 指揮者カルイが登場し、1曲目のラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」がホルンの独奏で始まります カルイはタクトを持っていません。この曲でもホルン、フルート、オーボエといった管楽器の音色がやわらかく美しいのが印象に残ります

管楽器が追加され、小山実稚恵が茶系のドレスで登場しピアノに向かいます。カルイの合図で2曲目のラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」第1楽章が始まります。小山は軽快にピアノを操ります この曲の聴きどころは第2楽章「アダージョ アッサイ」です。小山のピアノが静かに美しく流れます。とくに高音部がとてもきれいです 夢見るような曲想です。小山はほとんど自分の指使いを見ないで演奏します

そして、第3楽章「プレスト」に突入します。再び小山の軽快なピアノが会場を満たします 圧倒的なフィナーレに会場一杯の拍手 が演奏者を包みます。小山は何度も舞台に呼び戻されます

ピアノが撤去され、オケが再配置されます。カルイは今度はタクトを持って登場、ラヴェル「ラ・ヴァルス」の開始の合図を出します。混沌とした世界から、だんだんワルツのメロディーが浮かび上がってきますカルイの指揮はまるでバレエを踊っているように身軽です。名前通り”カルイ”です オケは管打楽器と弦楽器のアンサンブルが見事で、大迫力でフィナーレを迎えました

鳴り止まない拍手に、カルイは何度も舞台に出てきますが、アンコールに応える様子がありません??そのうち、舞台上に何と小太鼓が運び込まれました まさか、アンコールにラヴェルの「ボレロ」をやるんじゃないだろうな と思って成り行きを見ていると、舞台袖にラ・フォル・ジュルネ音楽祭のディレクター、ルネ・マルタン氏が通訳とともに登場し、次のように語りました

「ここに居るラムルー管弦楽団を率いているカルイ氏をご紹介します(会場)。ラムルー管弦楽団といえば、日本とも関係が深いオーケストラです。佐渡裕さんが過去に17年間、このオーケストラの常任指揮者を務めていました 佐渡さんとラムルー管弦楽団にはフランスのナントのラ・フォル・ジュルネで演奏してもらったこともあります 私は、この音楽祭のどこかでサプライズを挙行すると言ってきました。今日は、ここに佐渡裕さんをお招きしています

このアナウンスに会場は騒然      本当にサプライズです 上が白、下が黄色の衣装の佐渡裕が舞台に登場しました 会場は割れんばかりの です。「まさか」が「本当」になり、佐渡裕指揮ラムルー管弦楽団によるラヴェル「ボレロ」が演奏されることになりました 最初はただ立って、ほんの少しだけ手を動かす程度だったのが、ヴァイオリン・セクションがメイン・テーマを演奏するようになるころからアクションが大きくなり、佐渡裕らしい指揮振りに変貌を遂げました。後姿を見ていると、彼の師匠で今は亡きレナード・バーンスタインの指揮姿を思い出しました。やっぱり、弟子は師匠に似てくるのでしょうね 終演後、佐渡は弦楽器の首席と握手、管楽器の方に行ってまた握手。クラリネットのところまで行けないので、佐渡が指をさすと、その女性奏者は感激のあまりメガネをとって涙をぬぐい始めました。その当時、厳しいリハーサルを乗り越えてきたのでしょうね 佐渡はカルイと肩を組んで意気揚揚と舞台袖に引き上げていきました

それにしても、こんなサプライズは初めてです。この日、このコンサートを聴いた人は本当にラッキーでした。普段の心がけが良い人たちに違いありません

今日はラ・フォル・ジュルネ音楽祭の最終日です。今日は7公演聴きます。体力勝負です。3日目は身体がキツイです。でも、これが生きがいです。公演の模様は追ってブログでご紹介します

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭コンサート2日目(5月4日)リポート①

2013年05月05日 07時00分02秒 | 日記

5日(日)。昨日、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭の2日目の公演を5つ聴きました ここでは最初の3公演について書きます

 

          

 

最初は、午後12時15分からホールAで開かれる公演番号212番のコンサートです。プログラムは①サティ(ドビュッシー編)「ジムノべディ第1番、第3番」、②ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、③サン=サーンス「ピアノ協奏曲第2番ト短調」、④ヒメネス「ルイス・アロンソの結婚式より”間奏曲”」の4曲。③のピアノ独奏はアンヌ・ケフェレック、④のカスタネットはルセロ・テナ、オケはフェイサル・カルイ指揮ラムルー管弦楽団です

自席は1階18列11番、左ブロックの右通路側。1階席を見ると会場はかなり埋まっている感じです

ラ・フォル・ジュルネでラムルー管弦楽団が演奏するのは今年が初めてです オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、後ろにコントラバスという編成です。あとから登場したコンマスの合図で全員が立ち上がり、コンマスが一礼します そしてチューニングに入るのですが、オーボエ奏者が立ち上がり、最初に仲間の管楽器の方に向けて、次に低弦の方に向けて、最後にヴァイオリン・セクションに向けて、音出しをしてチューニングします。これ程ていねいなチューニングは初めて見ます

2011年からこのオケの常任指揮者を担っているカルイが登場します。あごひげの顔立ちは、ピアニストのエル・バシャにチョッピリ似ています

1曲目のサティ「ジムノペディ第1番、第3番」が続けて演奏されます。オーボエとフルートが柔らかな良い音で美しいメロディーを奏でます 上質なフランス・ワインを味わっているような気分です。これがフランスのラムルー管弦楽団だという演奏です

2曲目のドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」は、冒頭のホルンのソロをはじめフルート、オーボエといった管楽器が心地よい音を出しています 柔らかな弦楽器とのハーモニーは歴史のあるブレンド・ウィスキーの味わいです 今まで何度かこの曲を生で聴いてきましたが、これほど素晴らしい演奏を聴いたことがありません

さて、3曲目はお待ちかねのサン=サーンス「ピアノ協奏曲第2番ト短調」です。ピアニストのアンヌ・ケフェレックが上が赤、下が黒の鮮やかな衣装で登場します ピアノの独奏で始まる第1楽章の冒頭を聴いただけで、この曲の魅力に引き込まれます ケフェレックは何の迷いもなくサン=サーンスの世界を突き進みます 舞台の左右に設置された大型スクリーンに時々映し出されるケフェレックの顔を見ると、「ずいぶん、おばあちゃんになったなあ」と思うのですが、間近に彼女を見ると年齢に似合わず可愛らしくチャーミングなのです まさに演奏に年齢は関係ありません

第1楽章から第3楽章までを通して、ドラマチックな曲想が展開します こんなに素晴らしい曲が、どうしてもっとオーケストラの定期公演で取り上げられないのだろうと不思議でなりません ケフェレックが呼べないのなら、萩原麻未をソリストにして演奏してほしいと思います。サン=サーンスは彼女にピッタリです この日、初めてこの曲を聴いた人も少なくないと思いますが、サン=サーンス再評価につながれば素晴らしいと思います

ピアノが舞台袖に片付けられ、オケが再配置されます。4曲目のヒメネス「ルイス・アロンソの結婚式~間奏曲」を演奏するためカスタネット奏者ルセロ・テナが銀ピカの衣装で登場します この曲は実に楽しい曲です。テナは演奏中、右を向いたり左を見たり、とサービス精神旺盛な女性です。カスタネットをただ打つのではなく、ちゃんと音楽になっているところがすごいと思います。彼女はエンタテイナーです

熱演が続いたため、午後1時に終了予定だった公演が15分オーバーし、演奏時間がちょうど1時間になってしまいました。こういうオーバーは大歓迎です 

 

          

         (地上階広場の一角でNHKーFMの生中継をやっていました)

 

次は午後2時半からホールAで開かれる公演番号213番のコンサートです プログラムは①デュカス「交響詩:魔法使いの弟子」、②サン=サーンス「交響曲第3番ハ短調」。川瀬賢太郎指揮読売日本交響楽団です

自席は1階28列15番、左ブロック右通路側です。1階席はかなり埋まっている感じです コンマスは小森谷巧、オケの編成は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、後ろにコントラバスという配置です

1曲目のデュカス「魔法使いの弟子」を聴くとディズニーのアニメ映画「ファンタジア」の1シーンを思い浮かべます ミッキーが箒に魔法をかけて水汲みの仕事を押し付けるのですが、居眠りしている間に水を汲みすぎて周囲が水びだしになってしまう、というお話のバックに流れるのがこの曲です。聴きながら映画のシーンを思い浮かべていました

2曲目はサン=サーンスの「ピアノ協奏曲第3番ハ短調”オルガン付”」です。通常はパイプオルガンを使用するのですが、この会場には備えつけていないので、どうするのかと思っていたら、普通サイズのオルガンがチェロの後方にスタンバイしていました。そして舞台の左右には拡声器らしき物体が設置されていました。これで音を拡大して流すのですね かつてカラヤンがベルリン・フィルと来日して中野の普門館でR.シュトラウスの「ツァラトストラはかく語りき」を演奏した時、テク二クスの電子オルガンを使用して音を拡大していたのを思い出しました

活きのいい若き指揮者のもと、コンマス・小森谷のリードにより厚みのある演奏が展開します 若いの、なかなかやるじゃねえか、といった感じです この公演も熱演のためか予定の時間を15分オーバーし、終了が3時半になってしまいました

私は3時40分からよみうりホールでの公演を聴きに行くので、拍手もそこそこにホールAのエスカレーターを駆け下り、階段を駆け下り、よみうりホールの入っているビックカメラ有楽町店のエスカレーターを駆け上がって7階のホールにたどり着きました 努力の甲斐があって開演5分前に着席しました。ここで聴いたのは公演番号273番の2人のピアニストによるコンサートです

一番バッターは仲道郁代です。くすんだグリーンのドレスで登場します 演奏するのは①ドビュッシー「子どもの領分」より「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」、「人形のセレナーデ」、「ゴリヴォーグのケークウォーク」、次いでドビュッシー「前奏曲集第1巻よりアナカプリの丘」、ドビュッシー「喜びの島」です とくに「喜びの島」の演奏が力強く、見事でした

次いでケフェレックが、上がシルバー、下が黒のシックな衣装で登場します お色直ししましたね ラヴェル「鏡」から「蛾」、「悲しげな鳥たち」、「海原の小舟」を詩情豊かに演奏しました

次に2人が登場しデュオを演奏します。曲目はラヴェル「マ・メール・ロワ」から「眠れる森の美女のパヴァーヌ」、「美女と野獣の対話」、「妖精の園」です。ケフェレックが手前、仲道が奥の位置です。時に二人の手が微妙に交差します この二人は親子ほどの年齢差がありますが、まるで姉妹が並んでいるようです。二人の演奏は物語を聴いているようでした

演奏が終わって拍手を受ける中、仲道はケフェレックに拍手 をし、ケフェレックはピアノを指でさして拍手 をしていました。ピアノこそコンサートの主役だ、と言いたいのでしょう。こういうところがケフェレックらしいところです

          

          

                 (地下の展示ホールでの公演)

 

この後、午後5時45分からB7で開かれる公演番号225番のコンサート(①ラヴェル「ラ・ヴァルス」、②フランク「ピアノ五重奏曲ヘ短調」)と7時からAホールで開かれる公演番号215番のコンサート(①ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」、②同「ピアノ協奏曲ト長調」、③同「ラ・ヴァルス」)を聴きましたが、この2公演の模様は次のブログで書きます

 

 

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