人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

外科医が書いた音楽の本~久徳茂雄著「独断的クラシック音楽のすすめ」を読む

2013年05月10日 07時00分13秒 | 日記

10日(金)。どうも風邪をひいたらしく微熱があるので、終業後地下のNクリニックで診てもらいましたやはり風邪で、37度ありました。連休のコンサート疲れが残っていて、身体が十分に休まっていないことが影響しているのかも知れません 週末は無理をしないで大人しく過ごそうと思います 皆さまのご協力が必要です。お願い、誘わないでね

 

  閑話休題  

 

4月に当ビル地下1階にオープンしたHクリニックのH院長先生から久徳茂雄さんが書かれた「独断的クラシック音楽のすすめ」(せせらぎ出版。2011年11月刊)をお借りしました 先日、先生が消防署に書類を届けるのに付き添って日比谷に行った折に、私がコンサート通いしていると話したことが先生の頭に残っていたようで、その翌日、この本を事務所に届けてくださったのです

 

          

 

久徳茂雄さんはH先生の甥ということです。神戸市に生まれ、大阪医科大学を卒業、現在は勤務医(外科)をされているとのことです

この本は「岸和田医師会報」等に掲載されたエッセイに、書き下ろし原稿を加えたエッセイ集です 数ある作曲家の中で最初からショスタコーヴィチを取り上げるなど「ショスタコ、命」の方のようです

主に往年の名演奏家のLPやCDに対する感想を中心に書かれていますが、一言でいえば「カラヤン嫌い、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、クレンペラー大好き」という嗜好の持ち主のようです この辺は私と同じです 私が唯一カラヤンで良いと思うのはリヒャルト・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」、それも1960年7月のザルツブルク祝祭劇場でのライブ録画です マルシャリン=シュワルツコップ、オクタヴィアン=ユリナッチ、オックス男爵=エーデルマン、ゾフィー=ローテンベルガ―他、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団という最強の布陣による不滅の演奏です 若き日に銀座のヤマハホールに何度も観に行きました。なかでもユーゴスラヴィア(当時)生まれのセーナ・ユリナッチに熱をあげて彼女の歌っているオペラのLPやCDを買い漁りました。件の「ばらの騎士」はレーザーディスクで持っていましたが、機械が壊れたので涙をのんで手放しました DVDでも出ているようですが、買いません。記録でなく記憶に残っているので(どこかで聞いたようなセリフですね

 

          

          エーリッヒ・クライバー指揮ウィーン・フィルによるR.シュトラウス

          「ばらの騎士」でのオクタヴィアン役のセーナ・ユリナッチ

 

ハンス・クナッパーツブッシュの演奏では、ウィーン・フィルを振った「ウィーンの休日」のCD(1957年10月録音)が堪らない魅力です シュトラウスの「ラデツキー行進曲」「アンネン・ポルカ」「ウィーンの森の物語」などの有名な曲が収録されています。「クナッパーツブッシュといえばワーグナー」というのがクラシック界の常識のように言われていますが、私はむしろ、こういう”軽め”の曲に魅力を感じます。中でも、これぞクナと思うのはコムザーク作曲「バーデン娘」です 特に後半の盛り上がりについて、音楽評論家・宇野功芳氏が「クナの遊びには命がかかっている」と書いていますが、まったくその通りの凄い演奏です こんな演奏を是非、生で聴きたかったと思います 

 

          

             クナッパーツブッシュ「ウィーンの休日」のCD

 

久徳さんは指揮者の中ではスヴェトラーノフも高く評価されていますが、私も大好きです 彼の演奏で忘れられないコンサートが2つあります。2つともNHK交響楽団を振った演奏会です。ひとつは10年位前にNHKホールで振ったマーラーの交響曲第5番です。第4楽章に入った時、客席の方から白い蝶が飛んできてヴィオラ、チェロの上空から管楽器の上を舞い、アダージェットが終わるころには第1ヴァイオリンの上空を舞って、客席の方に戻り、どこともなく消えていきました。あれはいったい何だったのか オケの連中は誰もが気づいていて、演奏中上空を見上げていましたが、大指揮者スヴェトラーノフが気づいていたかどうかは分かりません。その時の名演は白い蝶とともに忘れられません

もう一つの思い出は、やはり10年程前の真夏、渋谷のオーチャードホールで演奏したチャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲です 私の席は前から3列目くらいの席で指揮者の動向がよく見えるのですが、スヴェトラーノフは巨体を駆使し、あごの肉をブルブル震わせながらチャイコフスキーのかわいい音楽に対峙していました 彼は楽章(?)が終わるごとに指揮台の前に置かれた専用の椅子に座って、指揮台の下のポールにぶら下げた大きなタオルで顔の汗を拭っていました。愛すべきスヴェトラーノフ

 

          

        スヴェトラーノフ作曲「ヴァイオリンとオーケストラのためのポエム」のCD

 

ショスタコーヴィチと言えば、久徳さんは本の中で「衛星放送で来日したヒラリー・ハーンの同じ曲(ショスタコのヴァイオリン協奏曲)を聴いたが、2、4楽章は聴けても肝心の3楽章は表面的な演奏でがっかりした」と書かれています。このエッセイを書かれたのが2002年12月とあります。横浜のみなとみらいホールでヒラリー・ハーンがベルリン・フィルとともに演奏したショスタコのヴァイオリン協奏曲のコンサートを聴いたのがその頃だったかどうか、記憶が定かではありません この時、私は生まれて初めてこの曲を聴いたのですが、彼女の集中力の高さと素晴らしい表現力にすっかり参ってしまい、それ以来彼女が来日すると聴きに出かけるようになりました この頃から徐々に、私はCD中心主義から生演奏中心主義に転換してきたように思います

 

                

         ヒラリー・ハーンによるショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲」のCD

 

かつてLPレコード2,000枚、CD4,000枚を所有して毎日のように指揮者の聴き比べをして楽しんでいましたが、LPはプリメイン・アンプと引き換えに500枚を手放しました CDは置き場所がなくなり、一時知人に譲ったりしましたが、最近また、主にコンサートの予習・復習の手段として買うようになったので、現在の保有枚数は定かでありません。数えるのめんどくさいし

それにつけても、医師という職業を持った方には音楽が好きな向きが多いのでしょうか。コンサートに行くと、入口で配られるチラシの束に、時々医師だけによるオーケストラの公演案内が入っていたりします。オペをやるようにオケを楽しんでおられるのでしょうか

この本に関心のある方は「せせらぎ出版」(電話:06-6357-6916)までお問い合わせください

 

コメント (6)
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