人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京藝大「日独名手の饗演」を聴く~ベルリン・フィルのフックス、シェレンベルガー登場

2014年07月12日 07時05分06秒 | 日記

12日(土)。昨日は台風一過の真夏の青空でしたね いつかブログで書きましたが、私は小学生の時、”タイフウ・イッカ”を、何かあると台風のように町内を巻き込んで混乱に貶める”台風一家”だと思い込んでいました 恐ろしい家族がいるものだ、捕まったら捜査一課のお世話になるのかと 

 

  閑話休題  

 

昨夕、上野の東京藝大奏楽堂で「奏楽堂シリーズ 東京藝大管・打楽器シリーズ 日独名手の饗演」を聴きました プログラムは①アルブレヒツベルガ―「アルト・トロンボーン協奏曲」、②クロンマー「2本のクラリネットのための協奏曲」、③フンメル「序奏、主題と変奏」、④R.シュトラウス「クラリネットとファゴットのための二重小協奏曲」です いずれも馴染みのない曲なので所有CDを探してみたら、R.シュトラウスの曲だけありました

 

          

 

全自由席なので早めに会場に向かいました。雨の中、傘をさして長蛇の列に並んで待っていると開場時間を5分ほど前倒しして入れてくれました という訳で1階12列13番、センターブロック左通路側を押さえました。会場の入りは7割位でしょうか。もったいないです

オケがスタンバイし、コンミスの石田紗樹さんの合図でチューニングが始まります オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという態勢をとりますが、総勢20人という小編成で、うち男子学生は5人しかいません

元ベルリン・フィル首席オーボエ奏者の指揮者シェレンベルガ―とソリスト古賀慎治が登場し、1曲目のアルブレヒツベルガ―「アルト・トロンボーン協奏曲」が始まります アルト・トロンボーンは通常のトロンボーンより小さめです。楽器が小さいほど高音が出るのかと思っていたら、そうでもないようです。これは意外でした アルブレヒツベルガ―という人は、ほぼモーツアルトと同時代を生きた作曲家・オルガ二ストで、モーツアルトも彼を買っていたようです

第1楽章はアレグロ・モデラート、第2楽章はアンダンテ、第3楽章はアレグロ・モデラートとなっています。実際に曲を聴くと、速い「アレグロ」ではなく、ちょっと速めの「アレグロ・モデラート」になっているのがミソで、モーツアルトやハイドンの協奏曲の曲想を思い出させます 都響の首席を務めた経験のある古賀慎治は、モーツアルトと同じ”古き良き”時代の雰囲気を醸し出します

オケが拡大し35人程度になります。2曲目のクロンマー「2本のクラリネットのための協奏曲」は、ベルリン・フィル首席奏者フックスと藝大教授・山本正治の独奏で演奏されます クロンマーは現在のチェコで生まれた作曲家ですが、生涯に300曲以上の作品を残したと言われており、その当時はベートーヴェンと人気を二分したほどだそうです

シェレンベルガ―のタクトで第1楽章が始まりますが、まるでモーツアルトのオペラの序曲のような明るく溌剌とした曲想です 聴いていて、おそらく当時はクラリネットの名手が少なくとも2人はいただろうな、と思いました 見ていると2人のソリストの演奏スタイルはまったく正反対です。フックスが”動”だとすれば山本は”静”です。フックスは常に身体全体を使って演奏します。ベルリン・フィルの体質でしょうか

第2楽章は悲劇的な様相を呈しています。2本のクラリネットはしみじみとハ短調を奏でます 第3楽章は再び明るさを取り戻し、喜びに満ちたフィナーレを迎えます。この曲は凄く気に行ったのでCDで欲しくなりました

聴いていて途中で気が付いたのですが、隣席のサラリーマン風の中年男性が時々プログラムにメモを取っているのです 10中8,9ブログをやっていますね、ご同輩 ただ、面白いのはメモをとるタイミングが私とはまったく違うのです。人それぞれです

休憩後の最初はフンメル「序奏、主題と変奏」です。フンメルはウィーンでモーツアルトの家に2年間住み込んでピアノを学んだというラッキーな人です 実力もあったと見えて、ハイドンの後任としてエステルハージ家の宮廷楽長を務めました。オーボエ・ソロをシェレンベルガ―が務める関係で、山本正治が指揮をとります

曲はアダージョの序奏に続いて明るいテーマが出てきます。続いてオーボエによる相当テクニックを要するパッセージの変奏が繰り広げられます これはシェレンベルガ―の独壇場です。もう凄いとしか言いようがありません。「元」が付いても天下のベルリン・フィル奏者です

4曲目のR.シュトラウス「クラリネットとファゴットのための二重協奏曲」はクラリネット=フックス、ファゴット=都響主席・岡本正之のソロによって演奏されます この曲はルドルフ・ケンぺ指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の演奏によるCDで予習しておきました

 

          

 

リヒャルト・シュトラウスは、隠遁生活を送っていた1947年、スイス・ルガーノ放送からの依頼でこの曲を作曲しました 全体は3つの楽章から成りますが、切れ目なく演奏されます。聴いていて思うのは、この曲はまるでオペラの中の会話ではないのか、ということです クラリネットとファゴットの会話に、時々第1ヴァイオリンが加わって盛り上がる、という感じです これはもうご機嫌な曲でした。都響首席の岡本はベルリン・フィルのフックスに負けていませんでした。実に楽しいコラボでした

何度かステージに呼び戻され、最後はフックスとシェレンベルガ―だけが出てきて、フックスがたどたどしい日本語で、

「もう少し、アンコールを・・・・・・」(以下は聴こえない)

と言ってアンコールを演奏しました あとでロビーの掲示で確かめたら、マンガ―二の「パジナ・ダルバム」(?)という曲でした。映画音楽のような音楽で、静かでいい曲でした これだけのコンサートが2,000円で聴けるのですから、藝大はありがたいですね

 

          

コメント
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