24日(木)。22日の日経夕刊に「中国、倹約へ海外演奏制限~著名ホールは禁止、まずウィーン」という記事が載っていました 記事を超約すると
「中国文化省は中国の芸術団体が公金を使って海外の著名な音楽ホールで公演することを原則禁止した。さっそくウィーン楽友協会『黄金のホール』(ウィーン・フィルの本拠地)で7月29日に予定されていた『中国の生徒・合唱団によるコンサート』が中止となった 『黄金のホール』は1回につき2万~3万ユーロ(約275万円~410万円)で借りることが出来、人民日報によると昨年だけでも130を超える中国の団体がステージで演奏した 料金さえ払えば芸術レベルは問われず、中国メディアは『黄金のカラオケホールと化した』と批判していた。中国では地方政府が芸術分野の実績づくりのため、管内の芸術団体が海外の著名ホールで公演することを奨励し、資金を出すこともある 文化省の副局長は『200万~300万元(3300万~5000万円)の大金をかけて文化交流の”成果”を得ようとするのでは納税者に対し筋が立たない。中国の芸術的尊厳も損なう』と批判した」
この記事を読んで心の底から驚いたのは、「昨年だけでも130以上の中国の団体が、ウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサートの会場としても有名なウィーン楽友協会の黄金のホールで演奏した」という事実です 年間130回と言えば1年の3分の1強ですよ、奥さんもう一つ驚いたのは文化庁の副局長の「中国の芸術的尊厳も損なう」という発言です。芸術的尊厳って、どこにあるんでしょうか
中国と言えば、中国食肉加工会社「上海福喜食品」が、使用期限を半月過ぎた鶏肉やカビが生えた牛肉を使っていたというニュースが茶の間の話題をさらっています 日本マクドナルドやファミリーマートはこの会社から食材を調達していたことから、チキンナゲット等の販売を中止をせざるを得なくなりました テレビで、同社の従業員が床に落ちたひき肉を拾って元に戻すシーンや、従業員の「これを食べたって死にはしないよ」という発言を放映していましたが、あんな不衛生な処理を日常的にやっているかと思うと、”中国”というだけで食べる気がしなくなります 中国では「あれは一部の特定の業者がやっているに過ぎない」と言うかもしれませんが、人々はそうは見ません。「一事が万事」です この問題に対する中国人へのインタビューの答えが印象的です
「中国で食品の使用期限が切れているとか、うるさく言ったら、中国では食べる物が何もなくなってしまうよ」
それならそれで、そういう不衛生な食品はすべて中国の国内で消費して、他国へ輸出しないで欲しいと思います かつて日本が遣唐使や遣隋使を派遣して師と仰ぎ、文化を輸入してきた”文化大国”中国はいったいどこへ行くのでしょうか
閑話休題
歌野晶午著「そして名探偵は生まれた」(祥伝社ミステリー)を読み終わりました 歌野晶午は1961年、千葉県生まれ。東京農大卒。2003年「葉桜の季節に君を想うということ」が「このミステリがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」の第1位になり、日本推理作家協会賞を受賞しました この作品に”してやられた”ため、「春から夏、やがて冬」を読み、そして「そして名探偵は生まれた」を読むに至ったわけです
この本には表題作のほか、「生存者、1名」「館という名の楽園で」「夏の雪、冬のサンバ」の全4作品が収録されています
「そして名探偵は生まれた」は、「雪の降る夜、外には足跡一つなく、現場は密室」という典型的な”密室殺人事件”の解明に当たる探偵・影浦と、弟子の武邑の活躍が描かれていますが、金にならない事件は引き受けない影浦に代わり武邑が事件の真相に迫り、名探偵が生まれる、という話です
「生存者、1名」は、無人島の中で起こる”孤島ミステリー”です。新興宗教団体の信者6名がクルーザーで鹿児島の沖合いの無人島に上陸する。彼らは都内で爆弾テロを起こした実行犯4人と幹部2人だった 事件のほとぼりが冷める頃、海外へ逃亡するというシナリオだったが、結果として裏切られ、島から脱出できなくなってしまう 残り少なくなっていく食糧を巡り、一人一人が殺されていく。いったい誰が犯人か? 全員が死んだはず、と思っていると生存者が1人だけいた。それは誰か。意外な結果に唖然とする
「館という名の楽園で」は、探偵小説好きが嵩じて「探偵小説に出てくるような館(やかた)に住みたい」という夢を実現させた男が、大学時代の探偵小説研究会の仲間4人を招いて、その館を舞台に推理ゲームを展開するというものです 犯人役、被害者役、探偵役に分かれてゲームが始まります。読者としては、ゲームと言いながら本当に殺人が起きるのではないか、などと推理するのですが、ゲームはゲームで何も起こりません が、最後にどんでん返しが待っていて、意外な人物が死ぬことになります。また、この小説では館の中の各部屋の名前のイニシャルがトリックの材料にされていますが、アルファベットだからこそ可能だったことは否定できません
「夏の雪、冬のサンバ」は”密室殺人事件”です。この作品でも巧妙なトリックが施されていますが、ちょっとムリがあるのではないか、と率直に思います
「葉桜の季節に君を想うということ」を超えるのは相当難しいようですね