27日(日)。昨日、酷暑の中、川崎まで出かけ、ミューザ川崎で東京交響楽団のコンサートを聴きました毎年夏にミューザ川崎が主催している「フェスタ・サマーミューザ2014」のオープニング・コンサートです
プログラムは①ベルリオーズ「ローマの謝肉祭」序曲、②シューマン「チェロ協奏曲」、③サン=サーンス「交響曲第3番」で、指揮はユベール・スダ―ン、②のチェロ独奏はダーヴィド・ゲリンガスです
入場時に配られた総合プログラムには、この日の午前11時にスタートしたサマーフェスタのオープニング・ファンファーレの様子が写真入りで紹介された「ほぼ日刊サマーミューザ朝刊」が挟み込まれていました。なかなかやりますね
自席は1C6列36番、1階右ブロック前から3列目の左から3つ入った席です。会場は9割方埋まっている感じです オケのメンバーが登場しますが、いつもは黒一色なのに全員が上は白で統一しています
サマーフェスティバルなので夏服なのでしょう。コンマスはグレヴ・ニキティンです
スダーンが登場して1曲目のベルリオーズ「序曲”ローマの謝肉祭”」が始まります。いつものようにスダーンはタクトを持ちません。両手で指揮をします 「フェスタ」(つまりフェスティバル)のオープニングを飾る曲として最も相応しい曲でしょう
冒頭、賑やかな謝肉祭の喧騒のあと、コーラングレが美しいメロディーを吹きます。これがほれぼれする良い演奏でした
2曲目はシューマン「チェロ協奏曲イ短調」です。ソリストのゲリンガスがスダーンとともに登場します。ゲリンガスは今月19日にヴィオッティ指揮東響でドヴォルザークの「チェロ協奏曲」を聴いたばかりです この曲はシューマン晩年の作品(1850年)で、全3楽章から成りますが、間を置かず続けて演奏されます
まさにロマン派の協奏曲といった感じの曲を、ロストロポーヴィチに師事したゲリンガスは朗々と演奏します 先日のドヴォ・コンもそうだったのですが、ゲリンガスの演奏は物語を語っているように聞こえます。それが他のチェリストと違う点かも知れません
ゲリンガスはアンコールに、19日の時と同じ曲を演奏しました。最初にココリアーノ「ファンシー・オン・バッハ」とバッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」から第1曲「プレリュード」を続けて演奏し、次にヴァスクスの「”本”より第2曲」を演奏しました。特に最後の曲はチェロの高音部を使った繊細な曲で、ゲリンガスは演奏しながらメロディーを口ずさみ、さながら一編の物語を聴いているような気持ちになりました
休憩後は本日のメーン・ディッシュ、サン=サーンス「交響曲第3番ハ短調”オルガン付き”」です 全2楽章(4部)という構成の曲です。全曲を通じてパイプオルガンが華々しい活躍をします
イメージとしてはスペインにある、アント二オ・ガウディの未完の教会サクラダ・ファミリアのような威厳のある曲です
スダーンは東響から色彩感溢れる響きを引き出し、華々しいフィナーレを飾りました
スダーンは会場一杯の拍手とブラボーに何度もステージに呼び戻されましたが、途中、第2ヴァイオリンの女性奏者の所に行って、手を取り祝福していました 彼女は今月いっぱいで東響を定年退職することになっています。こういうところはスダーンらしい優しさです
10年間の音楽監督の期間の間に、何度かこのようなシーンを見ました。いつまでも止まない拍手は、この日の熱演に対するものであるとともに、こうしたスダーンの人間的な魅力に対して向けられたものでもあると思います