人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

高倉健主演映画「八甲田山」を観る~先達はあらまほしきことなり

2015年11月12日 23時40分26秒 | 日記

12日(木)その2.よい子はその1から見てね

今日午後1時から池袋の新文芸坐で高倉健主演映画「八甲田山」を観ました 1977年制作の171分にわたる超大作です

 

          

 

この映画は、新田次郎の原作「八甲田山死の彷徨」をもとに、日露戦争前夜、対ロシアの訓練のため、大部隊で冬の八甲田山の自然を克服しようとする神田大尉(北大路欣也)率いる部隊と、少数精鋭により案内人を付けて自然に逆らわず八甲田山を踏破しようとする徳島大尉(高倉健)率いる部隊との、生死を分けた自然との闘いを描いた作品です

神田大尉は、少数精鋭により案内を付けて行軍しようと計画するが、上司である山田少佐の命令により磁石と地図だけを頼りに目的地を目指す 山田少佐は行軍の局面で方針を転換し部隊を混乱に貶めるが、神田大尉はそれに逆らえず命令に従うことになる 結果として、多くの部下を凍死させることになり、極寒の中、舌を切って自害する。一方、少数精鋭の徳島隊は全員が無事に帰営する

遺体安置書で神田大尉の遺体を前に、彼の妻(栗原小巻)が「神田は、八甲田山で徳島大尉とお会いできることだけを楽しみにしておりました」と言うと、徳島は思わず泣き崩れます。このシーンは涙無くして見られません

この映画は3年かけて撮影されたとのことで、極寒の中でのロケは厳しく、エキストラが脱走するに至ったといわれています 事実に基づくこの映画を観て思うのは、現代の社会に置き換えてみれば、上司と部下との間に板挟みになって悩む中間管理職(神田大尉)の悲哀が描かれていると同時に、未知の世界への挑戦にはその道のプロ=案内人が必要だということです

ここで思い出すのは、吉田兼好の「徒然草」第52段の「石清水詣で」です。「仁和寺のある法師・・・」で始まる教訓です

「仁和寺のお坊さんが石清水八幡宮を見たことがなかったので、ひとりでお参りに行き、極楽寺や高良社などを拝んで帰ってきた。周りの人に『お参りに来た人がみな山へ登って行ったのだが、私は寺にお参りしたので、そこまではしなかった』と言っていた。こんなことだから案内役(指導者)は必要なことだ」

つまり、石清水八幡宮はお坊さんが登らなかった男山の山頂にあるのですが、彼は山の麓の極楽寺や高良社が石清水八幡宮だと思い込んでいたわけです 兼好法師はこの段を「すこしのことにも先達(せんだつ)はあらまほしきことなり」と結んでいます 八甲田山の雪中行軍でも、徳島隊のように、神田隊に「先達」がいれば生存者はもっと多かったことでしょう

 

          

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高倉健主演「冬の華」を観る~名曲喫茶でチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」が

2015年11月12日 07時24分50秒 | 日記

12日(木)その1.わが家に来てから411日目を迎え、いただきもののゴーフルの缶を強引に口で開けようとするモコタロです

 

          

          缶じゃ 歯が立たないよ 簡単だと思ったら缶違いだった

 

  閑話休題  

 

昨夕、Mさん、Kさん、Yさんの美女3人と新橋の老舗中華料理S亭で会食しました 退職後初めての最下位、もとい、再会を祝して、私は生ビール、女性陣は梅酒で乾杯して、料理をアラカルトで取っていただきました

 

          

 

                           

 

寒かったので、私は途中から紹興酒に変えましたが、これがすごく美味しかったです

 

          

 

焼きそばは新鮮な食材を使っていてボリュームたっぷりで、すごく美味しかったです

 

                           

 

五目チャーハンも最高です

 

                           

 

スープは磯の香のするコクがあるのにキレがある(?)味でした

 

 

          

 

デザートに杏仁豆腐を頼みました。ここの杏仁豆腐は天下一品です

 

          

 

1時間半近くS亭で過ごし、その後、新橋駅近くのカラオケBに行き、4人でそれぞれの持ち歌を歌いまくりました 女性3人は、それぞれの個性が歌に現れていて興味深く聴かせていただきました 「それぞれの個性」とは具体的にどういうことを意味しているのか、といった個人に立ち入った事実関係については個人情報保護法及び国家機密保護法の精神に則り明らかに出来ません 一方、女性陣の過半数は私の歌をスルーして、次の歌の選曲にいそしんでいました。この行為は違法性を問われません。いいじゃないの、幸せならば

会社を卒業しても、美女3人に囲まれて食事をしたり歌を歌ったり出来ることは幸せなことです 12月には4人で焼き肉を食べに行こうと約束をして10時近くに解散しましたが、また次があるというのも幸せなことです Mさん、Kさん、Yさん、楽しい時間をありがとうございました

 

  も一度、閑話休題  

 

「2016都民芸術フェスティバル」のチケットを買い増ししました 先日、オーケストラ・シリーズを4枚と室内楽シリーズを2枚手配したのですが、今回は3月23日(水)午後7時からの東京シティ・フィルのコンサートを手配しました 当初、別のコンサートに行く予定でしたが、プログラムを比べてこちらの方がコスト・パフォーマンスが高いと判断し、予定を変更しました プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」、②ブルックナー「交響曲第4番変ホ長調”ロマンティック”」で、①のピアノ独奏は山元香那子、指揮は高関健です

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

一昨日、池袋の新文芸坐で高倉健主演映画「鉄道員」と「冬の華」の2本立てを観ました 昨日、「鉄道員」について書いたので、今日は「冬の華」について書きます

「関東の東竜会幹部の加納秀次は、会長の坂田良吉を裏切って関西の暴力団に寝返った松岡を殺害し、旭川刑務所に服役した 松岡には3歳になる洋子という娘がいた。服役中、加納はブラジルにいる伯父と偽り、洋子と文通を続けた。ある日、洋子がいつも加納あてに手紙を書いているという名曲喫茶「コンチェルト」で洋子と出会うが、自分の身分を明かすことをせずに別れる ある日、会長の坂田が関西連合の一味に殺され、坂田の息子・道郎は復讐を誓う。加納は堅気の道郎を抗争に巻き込まないように、復讐に出ようとする道郎を引き留め、関西連合に寝返りを打った山辺を殺害する その直前、加納は洋子に電話をして「当分、日本へは帰れない」と伝える。結局、加納は、組を裏切った男を殺害するという15年前と同じ状況に追い込まれることになる

 

          

 

この映画でも、高倉健の”物静かな不気味さ”のような魅力が感じられます この映画は1978年当時の横浜が舞台になっているので、マリンタワーがシンボルマークのように映し出されます 小学校の修学旅行で行ったことを懐かしく思い出しました

この映画で意外なことを発見しました。それは高倉健主演の映画でチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」が使われていたことです 加納(高倉健)が、洋子がよく通っている名曲喫茶「コンチェルト」に行って、リクエストをするシーンです。店内には洋子が好きだというチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」の第1楽章が流れています 係りの女性が加納に「何かリクエストはありますか?」と訊きます。すると、加納はリクエスト・ボードに書かれた「チャイコフスキー『ピアノ協奏曲第1番』」を指して「あれをお願いします」と言います。すると、係りの女性は「いま流れている曲がそうですが・・・・」と言って去ります。後にはバツが悪そうな顔をした加納の姿が残されます

加納が車の中から洋子(池上季実子)を盗み見るシーンがありますが、その時の洋子はヴァイオリン・ケースを抱えていました ヴァイオリンを習う女子高校生がヴァイオリン・コンチェルトではなくてピアノ・コンチェルトが好きだという、そこにちょっと引っかかりを感じました しかし、クラシック好きならヴァイオリン曲もピアノ曲も好きだというのは不思議でも何でもありません

この選曲の理由は、むしろ、チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」第1楽章の冒頭部分が、加納に課せられた運命を象徴するかのように宿命的に響くからでないかと思います

 

          

 

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