人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

第17回読響アンサンブル・シリーズ公演「上岡敏之と読響木管メンバーによる室内楽」を聴く~ベートーヴェン、ヒンデミット、ルーセル、プーランク、ビュッセルの楽しい曲

2018年02月07日 08時11分07秒 | 日記

7日(水)その2。よい子は「その1」から見てね。モコタロはそちらに出演しています

昨日午後7時半から よみうり大手町ホールで「第17回読響アンサンブル・シリーズ公演『上岡敏之と読響木管メンバーによる室内楽』」を聴きました プログラムは①ビュッセル「カンテコール」(ホルン&ピアノ)、②ベートーヴェン「セレナーデ」(フルート&ピアノ)、③ヒンデミット「イングリッシュホルン・ソナタ」(イングリッシュホルン&ピアノ)、④ルーセル「ディヴェルティスマン」(六重奏)、⑤プーランク「ピアノと木管のための六重奏曲」です。演奏は、ピアノ=上岡敏之、ホルン=日橋辰朗(首席)、オーボエ&イングリッシュホルン=北村貴子、フルート=倉田優(首席)、クラリネット=金子平(首席)、ファゴット=井上俊次(首席)です

公演に先立って午後6時50分(通常は7時開始)から上岡敏之氏によるプレトークがありました 上岡氏は この日のプログラムはドイツとフランスがテーマとなる室内楽だが、曲目は出演者と相談しながら決めたことを説明し、”ピアニスト”としてベートーヴェン、ヒンデミット、フォーレ、ドビュッシーなどのピアノ曲を弾きながら、「ドイツ語は語尾を明確に発音するように 音楽も明確だが、一方のフランス語は語尾があいまいであるように 音楽もどことなく不明確なところがある」と解説しました。上岡氏は日本語よりもドイツ語の方が上手なようで、日本語が前のめりになっていましたが、決して指揮はそうではありません

 

     

 

さて本番です。1曲目はフランスの作曲家・指揮者・教師のビュッセル(1872-1973:101年生きた!)の「カンテコール」です この曲は1926年、パリ音楽院の卒業試験のために書いた小品です。演奏はホルン=日橋辰朗、ピアノ=上岡敏之です。わずか6分程度の曲ですが、名ピアニスト上岡氏の伴奏を得て、日橋氏のホルンが冴えわたっていました

2曲目はベートーヴェン(1770-1827)の「セレナーデ ニ長調」です この曲は、もともとフルート、ヴァイオリン、ヴィオラのための作品として作曲されたものですが、クラインハインツが1803年にフルート(またはヴァイオリン)とピアノのための曲として編曲したものです 演奏はフルート=倉田優、ピアノ=上岡敏之です。7つの楽章から成る曲ですが、第1楽章は冒頭のおどけた感じの曲想が印象的です 第2楽章はまるでモーツアルトの曲のように感じました 第6楽章のアダージョから間を置かずに第7楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェに移った後は、フルートの息継ぎが大変そうです 私もン十年前にフルートを1年だけ習った経験がありますが、あの息継ぎはなかなか出来ません 倉田さんは「さすがは首席」の演奏でした

3曲目はドイツの作曲家・ヒンデミット(1895-1963)の「イングリッシュホルン・ソナタ」です この曲はヒンデミットがアメリカに亡命していた1941年に完成しました 演奏はイングリッシュホルン=北村貴子、ピアノ=上岡敏之です。この曲は「遅く」「アレグロ・ペザンテ」「モデラート」「スケルツォ:速く」「モデラート」「アレグロ・ぺザンテ」の6つの楽章から成りますが、切れ目なく演奏されます イングリッシュホルンといえば、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界から」の第2楽章で使われていることで知られていますが、ヒンデミットのこの曲でも、とくに緩徐楽章でその持ち味を発揮し、北村さんは息の長いメロディーを朗々と奏で、聴衆の郷愁を誘っていました


     


プログラム後半の最初の曲は、フランスの作曲家アルベール・ルーセル(1869-1937)の「ディヴェルティスマン作品6」(六重奏)です この曲は1906年に作曲し初演されました。演奏はピアノ=上岡敏之、ホルン=日橋辰朗、オーボエ=北村貴子、フルート=倉田優、クラリネット=金子平、ファゴット=井上俊次です 曲を聴く限り、いかにもフランス音楽といった感じの生き生きとした楽しい曲で、わずか7分程度の曲ながらフランスのエスプリを堪能しました

最後の曲はプーランク(1899-1963)の「ピアノと木管のための六重奏曲」です この作品は1932年に完成後、1939年に改訂されました 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「ディヴェルティスマン:アンダンティーノ」、第3楽章「フィナーレ:プレスティッシモ」の3楽章から成ります

プログラム・ノートに「おもちゃ箱をぶちまけたかのように多彩な楽想が飛び交い」と表現されていましたが、まさにそんな感じの曲想です 6つの楽器がそれぞれを主張しながらも、不思議と調和が取れています その上、ただ煩いというのではなく、エスプリというか フランス風の「粋」を感じさせます そんな 粋 な曲を6人の演奏家は 息 を合わせた見事なアンサンブルで演奏し、楽しい世界を表出しました

この日のコンサートは、読響の木管奏者たちと指揮者・上岡氏のピアニストとしての実力が発揮された楽しい公演でした

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「第12回芸劇ブランチコンサート」でモーツアルト&シューマン「ピアノ四重奏曲」を聴く~清水和音(P)+藤江扶紀(Vn)+佐々木亮(Va)+伊東裕(Vc)

2018年02月07日 07時22分55秒 | 日記

7日(水)その1。わが家に来てから今日で1225日目を迎え、仮想通貨取引所「コインチェック」から580億円相当の仮想通貨NEMが不正アクセスで流出した問題で、韓国の国家情報院が5日、北朝鮮のサイバー攻撃による可能性があるとの見方を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      北朝鮮に出来ることが どうして日本には出来ないの? サイバー攻撃で取り戻せ!

 

        

 

昨日は夕食に「鶏のトマト煮」と「生野菜とタコのサラダ」を作りました 「鶏~」は作り終わってから、もう少し大きくカットした方が良かったかな、と反省しました

 

     

 

        

 

昨日、午前11時から池袋の東京芸術劇場コンサートホールで「芸劇ブランチコンサート」を、午後7時半からよみうり大手町ホールで「読響アンサンブル・シリーズ公演」を聴きました

ここでは「第12回芸劇ブランチコンサート『ピアノ四重奏曲は美しい!』」について書きますプログラムは①シューマン「ピアノ四重奏曲変ホ長調」、②モーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478」です 演奏は、ヴァイオリン=今年1月からトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団コンマスの藤江扶紀、ヴィオラ=N響首席の佐々木亮、チェロ=第77回日本音楽コンクール優勝の伊東裕、ピアノ=1981年 ロン・ティボー国際コンクール・ピアノ部門優勝の清水和音です

 

     

 

会場はいつも通り1,2階はほぼ満席です このシリーズは‘2,200円という低料金が魅力でお客がよく入ります

4人の演奏者がステージに登場します。藤江扶紀さんはブルーの華やかなドレスで登場 隣の佐々木亮氏はネクタイがブルーです。キミたち裏で示し合わせましたね

1曲目はシューマン「ピアノ四重奏曲変ホ長調」です この曲は1842年に作曲されましたが、同年にはこの曲のほか、弦楽四重奏曲(3曲)、ピアノ五重奏曲も作曲されており、「室内楽の年」と言われています 第1楽章「ソステヌート・アッサイ  ー  アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」、第4楽章「ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

第1楽章はゆったりしたテンポによる序奏から入りますが、軽快なアレグロに転化し シューマンらしいロマンティックな曲想が展開します  第2楽章はメンデルスゾーン的なスケルツォで、弦楽奏者とピアノとの掛け合いが楽しく聴けました 第3楽章はこの曲最大の聴かせどころです。「幸せ」という言葉を音楽にしたらこの楽章のようになるのだろうか、と思うほどロマンティックそのものです チェロの豊かな音色のあと、ヴァイオリンとヴィオラが絡み合って美しい音楽を紡いでいきます 第4楽章の冒頭の弾むようなメロディーを聴いて、モーツアルトの「ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488」の第3楽章「アレグロ・アッサイ」の冒頭に似ているなと思いました

ここで、「和音・今月の1曲」の演奏に入ります。清水和音氏がブラームス「間奏曲ホ長調 作品116-4」を、夜想曲のようにしみじみと弾きました

次にナビゲーターの作曲家・加羽沢美濃さんが登場、清水和音氏とのやり取りになりました

加羽沢:ピアノ四重奏曲という形態についてどうお考えですか?

清 水:個人的なことを言えば、演奏者が多いほど気持ちが楽です。(質問の答えになっていないですね

加羽沢:このシリーズに登場する演奏者はどのように選ばれているのですか?(この日は若い伊東裕君が初登場だった

清 水:この業界は狭いのです。若くて優秀な演奏家は数多くいるのですが、その中から協調性のある人を選んでいます いくら優秀でも我が強い人はアンサンブルに向かないですね

 

     

 

休憩なしのプロブラム後半はモーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478」です この曲は1785年(モーツアルト29歳)に作曲されました。出版者ホフマイスターから3曲のピアノ四重奏曲を依頼されたのですが、第2番は別の出版者から出され、第3番は作曲されませんでした ホフマイスターが「第1番」について「難しすぎて聴衆には理解できず、楽譜を買おうとしないだろう」と言ったからだと言われていますが、真偽のほどは判りません 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ロンド:アレグロ・モデラート」の3つの楽章から成ります

4人が再度 登場し演奏に入ります。第1楽章冒頭は短調特有のデモーニッシュな世界が展開します  とは言え、深刻というのではありません。4人によるアンサンブルはあくまでも美しく響きます   第2楽章は瞑想的な雰囲気をまといます。そして、第3楽章では軽やかなピアノに導かれて軽快なアンサンブルが展開します  4人の演奏は誰が突出するということはなく、お互いを尊重しながら演奏している印象を受けました 

4人がリハーサルで顔を合わせて演奏する時間はごく限られていると思われますが、よくぞここまで揃えるものだと感心します 本番を聴き終わって思うのは「ああ、やっぱりモーツアルトはいいな」ということでした

 

     

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