人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでプッチーニ「トスカ」を観る~ヨンチェヴァ+グリゴーロ+ルチッチの熱唱とリアリティに徹した舞台・演出を満喫

2018年02月20日 08時12分42秒 | 日記

20日(火)。わが家に来てから今日で1238日目を迎え、18日に行われた平昌冬季五輪の女子500メートルで 小平奈緒が五輪新を出して金メダルを獲得したが、「主将を任されたときに周りから金メダルを取れないなどジンクスがあると言われたが、強い気持ちがあった」と話した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

        小平選手は殊勝な考えだからジンクスを破れた 国会答弁を撤回した首相は?

 

                 

 

昨日、夕食に「ハッシュドビーフ」と「生野菜とツナのサラダ」を作りました 寒い日は「カレーライス」「ハッシュドビーフ」「クリームシチュー」が食べたくなります

 

     

 

                 

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、プッチーニ「トスカ」を観ました これは今年1月27日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された公演のライブ録画映像です 出演はトスカ=ソニア・ヨンチェヴァ、カヴァラドッシ=ヴィット―リオ・グリゴーロ、スカルピア男爵=ジェリコ・ルチッチ(ブリン・ターフェルの代演)ほか、管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団、指揮=エマニュエル・ヴィヨーム(ジェイムズ・レヴァインの代演)です

 

     

 

プッチーニの歌劇「トスカ」の原作はフランスの劇作家V.サルドゥが名女優サラ・ベルナールのために書いた全5幕の戯曲「ラ・トスカ」(1887年)です  プッチーニはこの戯曲を観て感激し 上演権を獲得して、L.イリッカとG.ジャコーザの共同台本による全3幕のオペラとして作曲したのでした

劇的な音楽とともに幕が開くと、教会内部の豪華な造りに目を奪われます 幕間のインタビューでMET美術・衣装デザイン担当のJ.マクファーレンが語ったところによると、「トスカ」第1幕の舞台となるこの聖アンドレア・デラ・ヴァッレ教会の内部や、第3幕で登場するサンタンジェロ城の屋上などは 実物の模型を造り、それに基づいて舞台装置を緻密で美しく再現したといいます それがこのオペラをリアルにせしめています また、トスカ、カヴァラドッシ、スカルピアをはじめとする登場人物の衣装も舞台設定の1800年当時のものを再現しており、さらに驚くのはスカルピアの机上に置かれている書類にまで気を使っているとのことで、観衆からは見えない細部に至るまでリアルを追究する演出家の意図が映像を通して伝わってきます

ヒロインの歌姫フローリア・トスカを歌ったソニア・ヨンチェヴァはブルガリア出身のソプラノですが、今やMETを代表する花形歌手の一人に躍り出た感があります ライブビューイングでは、これまで「リゴレット」「オテロ」「椿姫」などに出演していますが、今シーズンでは「トスカ」以外に「ラ・ボエーム」「ルイザ・ミラー」にも出演が決まっています ヨンチェヴァのトスカは意志の強い凛とした女性です。カヴァラドッシとの二重唱はもちろんのこと、彼女はトスカに成り切ってドラマティックに歌い演じています 第2幕で揺れる胸の内を歌う「歌に生き愛に生き」は感情移入が半端なく、観ている方も感情移入してしまいます しばらく拍手が鳴りやみませんでした ヨンチェヴァがトスカを歌うのは初めてとのことですが、とても信じられないくらい素晴らしいパフォーマンスでした

画家で反体制派のマリオ・カヴァラドッシを歌ったヴィット―リオ・グリゴーロはイタリア出身のスター・テノールです ライブビューイングでは「ロメオとジュリエット」が記憶に新しいところですが、ヨンチェヴァ同様、役に成り切ってドラマティックに歌い上げ 聴衆の心を鷲づかみします  特に 第3幕で歌われるアリア「星は光りぬ」は心の叫びとでも言うべき熱唱で、歌い終わると しばし拍手が鳴り止みませんでした 第3幕といえば冒頭で牧童の歌声が彼方から聴こえてきますが、グリゴーロは10代半ばの時にこの牧童を歌い、その時にカヴァラドッシを歌ったルチアーノ・パヴァロッティに褒められたそうです 相当 自信になったことでしょう グリゴーロがカヴァラドッシを歌うのは初めてとのことですが、ヨンチェヴァのトスカ同様とても信じられません

恋人同士のトスカとカヴァラドッシを相手に悪役を引き受けるのが警視総監で王党派のスカルピア男爵ですが、ジェリコ・ルチッチは不敵な面構えが適役です ドスの効いたバスバリトンは好色で狡猾なスカルピアにピッタリです スカルピアのアリアということで言えば、いつも感動するのは第1幕終盤でスカルピアが「行け、トスカよ!嫉妬という鷲の翼を解き放ち~」と歌うなか、合唱が力強く「テ・デウム」を歌い上げて幕が下りる場面です このシーンはいつも背筋が寒くなるほど感動します

大健闘だったのは、過去のセクハラ問題で降板したMET名誉音楽監督ジェイムズ・レヴァインの代演としてタクトを振ったエマニュエル・ヴィヨームと、彼の情熱的な指揮のもと このオペラをドラマティックに盛り立てたメトロポリタン歌劇場管弦楽団と合唱団です

それにしても、主役級の3人がすべて死んでしまうオペラというのも珍しいかもしれません   まずスカルピアがトスカに刺殺され、次にカヴァラドッシが兵士たちに銃殺され、最後にトスカがサンタンジェロ城の屋上の城壁を乗り越えて飛び降り自殺するのです

このうちカヴァラドッシの処刑については、スカルピアはトスカの目の前で家来のスポレッタに「処刑は偽だ。パルミエリ伯爵の時のように」実行するよう命令するのですが、これまで観てきた「トスカ」のどの演出も「パルミエリ伯爵の時」がどのような処刑だったのかが明らかにされていませんでした それが 今回の演出では、カヴァラドッシの処刑の前に一人の男が銃殺される場面があり、男は銃で撃たれた後、剣でとどめを刺されるのです その後、カヴァラドッシが(スカルピアの言う「見せかけで」)銃殺されるのですが、兵士が剣でとどめを刺そうとすると、スポレッタがそれを引き止めます つまり普通の処刑は最後にとどめを刺すが、「パルミエリ伯爵の時」の処刑は「銃殺することに変わりはないが、剣でとどめを刺さない」という解釈をとっているのです どういう解釈であれ、トスカは「パルミエリ伯爵の時のように」というものがどのようなものか、スカルピアに問い質すべきだったのです。しかし、そうすると「トスカ」が「トスカ」でなくなってしまいますね

今回の「トスカ」公演は、主役級3人の熱唱とともに、リアルに徹した舞台・衣装が強く印象に残るプロダクションでした

 

     

 

 

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