人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラで細川俊夫のオペラ「松風」を観る~冴えるサシャ・ヴァルツの演出・振付 / ゴダール「ヴァイオリン協奏曲第2番」のCDを聴く~ロマンあふれる曲想

2018年02月19日 07時49分01秒 | 日記

19日(月)。わが家に来てから今日で1237日目を迎え、平昌冬季五輪の女子カーリングでLS北見がロシアからの五輪選手(OAR)に快勝し4勝目を挙げた というニュースを見て LS北見の藤沢五月選手と架空の会話をするモコタロです

 

     

        モコタロ:これカーリングのストーンじゃないよね? 藤沢五月選手:そだね~

 

        

 

先日 渋谷のタワーレコードで買った4枚のCDのうちバンジャマン・ゴダール「ヴァイオリン協奏曲第2番」他のCD(NAXOS)を聴きましたフランスの作曲家バンジャマン・ゴダール(1849-1895)はパリ音楽院でビュータンに師事しています。一番有名なのは歌劇「ジョスラン」の子守歌です

CD収録曲は①ヴァイオリン協奏曲第2番、②ヴァイオリンとオーケストラのためのロマンティックな協奏曲、③オーケストラのための「詩的な情景」です ヴァイオリン独奏は1987年イギリス生まれのクロエ・ハンスリップ、バックを務めるのはカーク・トレヴァー指揮スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団です

 

     

 

最初に収録されている「ヴァイオリン協奏曲第2番作品131」は、第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ・クアジ・アンダンテ」、第3楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の3つの楽章から成ります

第1楽章冒頭から衝撃的です 独奏ヴァイオリンとオケとの激しい対話から入りますが、曲想から言えばヴェルディの「レクイエム」の「怒りの日」を想起させます クロエの集中力が凄い 次いでロマンティックな曲想に移りますが かなり技巧的な曲です。第2楽章はゆったりしたメロディーを奏でるクロエのヴァイオリンがとても美しい 第3楽章は喜びに満ちた楽章で、クロエのヴァイオリンが飛び跳ねます 演奏時間にして25分の曲ですが、1度聴いてすっかり好きになりました

次の「ヴァイオリンとオーケストラのためのロマンティックな協奏曲」も同様に、第1楽章の冒頭から衝撃的な曲想で、全体的にタイトル通りロマンあふれる曲想です

いつも聴いているお馴染みの曲を楽しむのも良いですが、まったく聴いたことのない作曲家の知られざる曲を聴くのも良いものです 自分が数多くのクラシック音楽を聴いているようで、その ほんの一部しか聴いていないことを自覚させてくれるからです   これまで聴いてきた曲よりも、まだ聴いていない曲の方がはるかに多いという事実を気づかせてくれます

一番の悩みは、ただでさえ置き場所に困っている4000枚(本当はもっとあるけれど、面倒くさいので数えていない)のCDに 新たなCDが加わって ますます置き場所に困ることです


     

 

        

 

昨日、初台の新国立劇場「オペラパレス」で、細川俊夫のオペラ「松風」を観ました 本来は16日夜のプルミエ公演を聴く予定だったのですが、 N響と読響との三つ巴で重なったため、この日に振り替えたのです

この作品は能「松風」を基にドイツ語でオペラ化されたもので、世界有数の振付家サシャ・ヴァルツによるコレオグラフィック・オペラとして2011年にベルリンのモネ劇場で世界初演され、その後世界各国で上演されています

出演は松風=イルゼ・エーレンス、村雨=シャルロッテ・ヘッレカント、旅の僧=グリゴリー・シュカルパ、須磨の浦人=萩原潤、ヴォーカル・サンサンブル=新国立劇場合唱団、管弦楽=東京交響楽団、ダンス=サシャ・ヴァルツ&ゲスツ、演出・振付=サシャ・ヴァルツ、指揮=デヴィッド・ロバート・コールマンです

 

     

 

秋の夕暮れ、旅の僧が須磨の浦を訪れ、浜辺にある一本の松に目を留める。その松は、数百年前に在原行平を愛した松風・村雨という名の姉妹の墓標だった 僧は二人の霊を弔う。やがて僧の前に二人の汐汲み女が現れる。二人は松風・村雨の霊であると明かし、行平への思慕の念を語る。松風は行平の形見の狩衣と烏帽子を身につけて踊り、松の木を行平と見違え、半狂乱となる 姉妹の叫びが風雨と共に響く。僧が目を覚ますと、姉妹の姿はなく、ただ松を渡る風だけが残る

 

     

 

振り替えで指定された席は1階21列21番、まさかの通路からほど遠いド真ん中の席です。こういう席は苦手です 会場はほぼ満席です

オーケストラ・ピットにオケがスタンバイし、指揮者コールマンが指揮台に上がります 会場の照明が落とされ 真っ暗になります。海の波の音が聴こえ、ほのかな明かりの中、ダンサーが登場し静かに舞います。この場面(海)ではダンスが中心で歌は歌われません。やがて姉妹が上空から降りてきます。この二人は腰にワイアーを付けて宙づり状態です。蜘蛛の巣のような網を伝って行平への想いを歌いながら右へ左へと動きます(潮)。これはピナ・ヴァウシュ亡き後、ドイツのダンスを牽引するサシャ・ヴァルツによる演出です これを見て、1999年9月に開かれた「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」でのベルリオーズの歌劇「ファウストの劫罰」におけるロベール・ルパージュの宙づり演出を思い出しました 松風を歌うイルゼ・エーレンスと村雨を歌うシャルロッテ・ヘッレカントの二人は身体の中心を背面から吊り上げられているので、腹部に相当圧力がかかっていると思われます そうした苦しい条件の中で歌わなければならないにも関わらず、二人とも歌は完璧です 二人とも「松風」はすでに他のプロダクションで歌っているので問題ないのでしょう とくに村雨は細川氏がシャルロッテのために書いたということなのでなおさらでしょう

この「海」「潮」のシーンから「夜」「舞」「曙」のシーンへと連続して物語が進行しますが、二人は他のダンサーに混じってダンスを踊ることも求められます しかし、これも自然な演技が見事です

旅の僧を歌ったロシア出身のグリゴリー・シュカルパは、深みのあるバスで存在感が抜群でした 須磨の浦人を歌った萩原潤は魅力のあるバリトンを披露しました

さて、このオペラで不可欠なキャストは「サシャ・ヴァルツ&ゲスツ」の14人のダンサーたちです 彼らの身体能力の高さには驚くべきものがあります

新国立劇場合唱団のメンバーによるヴォーカル・サンサンブルと東京交響楽団のメンバーのよる演奏も大健闘でした

休憩なしの1時間半の「松風」を振り返って思うのは、このオペラはサシャ・ヴァルツの演出・振付なくしてあり得ないパフォーマンスだということです もちろん、細川氏はこのオペラ作曲するにあたって彼女に声をかけて、「ともにオペラを作り上げてきた」からだと思いますが、日本人の作曲家によるオペラでこれほど普遍的な「総合芸術」を感じさせる作品も珍しいのではないかと思います

海外公演が先で、日本公演が後というのが、日本人としては残念に思うところですが、世界に通用する 聴き応え 観応えのある インパクトの強いオペラだと思います

 

     

コメント (2)
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