人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「カルテットが紡ぐ極上の響き」を聴く~ハイドン「弦楽四重奏曲”日の出”」、シューベルト「同・”ロザムンデ”」、ドビュッシー「同・ト短調」 / コパチンスカヤのベートーヴェンをCDで聴く

2018年02月22日 07時50分49秒 | 日記

22日(木)。わが家に来てから今日で1240日目を迎え、動物の進化をユニークな視点で紹介する児童書「ざんねんないきもの事典」の発行部数が100万部を突破したことが21日までに分かった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      「残念な生き物」だったら 国会に行けば何人か生息しているのが発見できるよ

 

        

 

昨日、夕食に「鶏のみぞれ煮」と「生野菜とワカメのサラダ」を作りました 「鶏の~」の1人前320グラムは多かったかな

 

     

 

        

 

先日購入した4枚のCDのうちパトリシア・コパチンスカヤ(モルドヴァ生まれ)がヴァイオリンを弾くベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61」他のCD(2008年10月録音)を聴いてみました このCDには作品61の協奏曲のほか「ロマンス第1番」「ロマンス第2番」「ヴァイオリン協奏曲断章ハ長調Wo05」が収録されています バックを務めるのはフィリップ・ヘルヴェッへ指揮シャンゼリゼ管弦楽団です

 

     

 

そもそもコパチンスカヤのCDを聴こうと思ったのは、いつだったかFM放送で彼女の演奏するベートーヴェンの協奏曲を聴いて、今までにない超個性的な演奏に惹かれたからです 今回あらためてCDで聴いてみたら、なぜその時に私が彼女の演奏に惹かれたかが分かりました。それは第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の終盤でコパチンスカヤによって演奏される「カデンツァ」が、今まで聴いたことのない音楽で、あまりにも鋭い演奏だったからでした

これについてコパチンスカヤは「プログラム・ノート」の中で次のように述べています

「ベートーヴェンはこのヴァイオリン協奏曲のためのカデンツァを書いていません。それでベートーヴェンのオリジナルであるピアノ協奏曲版のカデンツァを使うことにしました ただピアノ版は当然のことながら両手を使ったカデンツァで 音も多いので、オーケストラのコンサートマスターに手伝ってもらうことにして、私がヴァイオリン用に編曲したんです もちろん、ティンパニを使って。多くのヴァイオリニストがクライスラーなどのカデンツァを使っているし、クレーメルはご存知のようにシュ二トケの作曲したものを使って録音していますよね。いろんなアイディアがあって良いと思いますが、今回はあえてベートーヴェンのアイディアを重要視しました

つまり、コパチンスカヤはベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」をベートーヴェン自身がピアノ用に編曲した作品のカデンツァを、手を加えてヴァイオリン協奏曲のカデンツァとして採用した、ということになります ここに彼女のベートーヴェンのオリジナル作品への敬意が感じ取れます

コパチンスカヤが共演の相手に選んだのは、ピリオド奏法(古楽器奏法)を採用するヘレヴェッヘ指揮によるシャンゼリゼ管弦楽団でした そのため、彼女は普段使っていないガット弦(羊の腸)を使用して演奏することに挑んでいます ここにも作曲者のオリジナル作品に一歩でも近づこうとする積極的な姿勢が見て取れます

演奏は、思ったほどオリジナル楽器による演奏を意識させないもので、むしろ「ロマンス第1番・第2番」のヴァイオリン独奏の方がガット弦の響きが感じ取れるくらいです いずれにしても、コパチンスカヤの演奏は切れ味鋭い名刀のようです

なお最後に収録されている「ヴァイオリン協奏曲断章ハ長調Wo05」は1790~92年(ベートーヴェンのボン時代の最後)に作曲されたヴァイオリン協奏曲の試みで、完全な協奏曲の一部だったのかどうかは解っていないそうです コパチンスカヤはウィーン楽友協会にある楽譜を研究しこのCDに収録することを決めたとのことですが、歴史的な意味があると思います

 

     

 

        

 

昨夕、上野の東京文化会館小ホールで「カルテットが紡ぐ極上の響き」公演を聴きました これは「2018都民芸術フェスティバル」参加公演です。プログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第63番変ロ長調”日の出”」、②シューベルト「同・第13番イ短調”ロザムンデ”」、③ドビュッシー「同・ト短調」です 演奏は、ヴァイオリン=漆原啓子、漆原朝子、ヴィオラ=大島亮(神奈川フィル首席)、チェロ=辻本玲(日本フィル ソロ・首席)です

 

     

 

自席はJ列19番センター左ブロック右通路側です。会場は満席です

漆原啓子さんはグリーン系の、妹の漆原朝子さんは上が黒、下が金の鮮やかな衣装で、大島亮、辻本玲両氏とともに登場します

1曲目はハイドン(1732-1809)の「弦楽四重奏曲第63番変ロ長調」です この作品は1797年(ハイドン65歳)に 音楽愛好家ヨーゼフ・エルデーディ伯爵の注文により作曲された6曲の弦楽四重奏曲のうちの一つです この曲は「日の出」というニックネームが付いていますが、ハイドンが付けたものではなく、第1楽章冒頭が雲の中から現れる太陽のように聴こえることから付けられたものです ハイドンが作曲した弦楽四重奏曲は60曲を超えるので、ニックネームでも付けなければ区別がつかないというのが後世の人たちの本音でしょう 第1楽章「アレグロ・コン・スピリト」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「メヌエット:アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

ベテランの姉妹と中堅の男性奏者二人の組み合わせにより、地に脚の着いたガッチリした演奏を聴くと、つくづくハイドンはいいなあ、と思います 「交響曲の父」であるとともに「弦楽四重奏曲の父」でもあるハイドンの円熟期のこの曲は、後のベートーヴェンの傑作への道を開いたということが分かるような気がます

2曲目はシューベルト(1797-1828)の「弦楽四重奏曲第13番イ短調D804」です この曲は1824年(シューベルト27歳)の2月から3月にかけて作曲されました。それまでの彼の弦楽四重奏曲は、家庭内での演奏のために書かれていましたが、この曲とニ短調D810「死と乙女」とト長調D887の3曲は公開の演奏を前提に書かれており、充実した内容になっています この作品は「ロザムンデ」という愛称が付けられていますが、第2楽章の主題が劇音楽「ロザムンデ」の旋律を使っていることから付けられたものです 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット:アレグレット」、第4楽章「アレグロ・モデラート」の4楽章から成ります

第1楽章の演奏が始まります 演奏に耳を傾けていると、シューベルトの独白を聴いているような気がします 第2楽章のロザムンデのメロディーを聴いていると、「なぜシューベルトはこんなに悲しい音楽を書くのだろうか?」と思ってしまいます これは全楽章を通じて言えることです

 

     

 

休憩後はドビュッシー(1862-1918)の「弦楽四重奏曲ト短調」です この曲は1892年から93年(31歳)にかけて作曲された4楽章から成る作品です

第1楽章冒頭のヴァイオリンが奏でるメロディーが循環主題になり全曲を統一します この冒頭を聴いていたら、混沌としていて4つの楽器のバランスが取れていないように感じました 「あれっ、この曲の出だしはこういう音楽だったかな?」と思ったのが正直な感想です 予習していればそんなことはなかったのかも知れません。しかし、それも第1楽章の中盤までで、それ以降は何の不自然さもなく耳にすんなり入ってきました 第3楽章は、それぞれの楽器の独奏が聴かれますが、漆原朝子さんのヴァイオリン、大島亮さんのヴィオラが美しく響きました 第1ヴァイオリンの漆原啓子さん、チェロの辻本玲さんの演奏はこの楽章に限らず安定感があり素晴らしかったことは言うまでもありません 全体を通して感じたのは、ドビュッシーのこの曲はもっと浮遊感のある作品だと思い込んでいたのが、そうではなく、どっしりと地に根を下ろした作品であると思いました

4人はアンコールにラヴェルの「弦楽四重奏曲」の第2楽章を鮮やかに演奏、大きな拍手を浴びました 浮遊感と言えば、むしろ、ラヴェルの曲の方がそれを感じるな、と思いました

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