4日(月)。わが家に来てから今日で1341日目を迎え、トランプ米政権が北朝鮮に対し「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」に必要な一括合意は求めず、制裁については「最大の圧力」という言葉は使いたくないとし、北朝鮮に多額の資金支援は日中韓が実施し米国は支援しないと話した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
要するにトランプ政権は 核を背景に口だけ出して 金は出さない方針ということね
昨日、サントリーホール「ブルーローズ」で、午前10時半からサントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン「ENJOY!室内楽アカデミー・フェロー演奏会Ⅰ」を、午後5時から同「アジアンサンブル@TOKYO」を聴きました ここでは「ENJOY!アカデミー・フェロー演奏会Ⅰ」について書きます
プログラムと演奏者は、①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第1番」より第1楽章(レイア・トリオ)、②バルトーク「弦楽四重奏曲第4番」より第4・5楽章(アミクス弦楽四重奏団)、③ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番”大公”」より第1楽章(トリオ・デルアルテ)、④モーツアルト「弦楽四重奏曲第22番変ロ長調K.589”プロイセン王第2番”」より第1楽章(当初発表されたベートーヴェン「弦楽四重奏曲第9番”ラズモフスキー第3番”~第4楽章」から急きょ変更)(北垣彩ほか)、⑤ドビュッシー「弦楽四重奏曲」より第1・2楽章(アルネア・カルテット)、⑥シューベルト「弦楽五重奏曲」より第3楽章(アミクス弦楽四重奏団、日下部杏奈)、⑦ドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番”ドゥムキ―”」より第5・6楽章(白井麻友ほか)、⑧ブラームス「弦楽五重奏曲第2番」より第1楽章(ファイト・ヘルテンシュタイン、北垣彩ほか)です
自席はC3列1番、センターブロック左端です。入場料金1,000円(サイドビュー500円)で全席指定というのは滅多にないケースです たいてい自由席です。サントリーホール主催公演ならではの対応だと思います
1曲目はベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第1番変ホ長調作品1-1」より第1楽章です ベートーヴェン(1770-1827)の自信作であることを物語るように作品番号1-1が付けられている若き日の傑作です
演奏する「レイア・トリオ」は東京藝大出身者により2016年に結成したユニットでヴァイオリン=小川響子(東京フィル・フォアシュピーラー)、チェロ=加藤陽子、ピアノ=稲生亜沙紀の3人から成ります ユニット名はギリシャ神話の女神「レイア」に由来するそうです
トップバッターを務める女性3人は、若き日のベートーヴェンの青春の伊吹を感じさせる爽やかな演奏を展開し、全曲を聴きたいと思うほど素晴らしい演奏で楽しませてくれました
2曲目はバルトーク「弦楽四重奏曲第4番」より第4・5楽章です この作品はベーラ・バルトーク(1881‐1945)が1928年に作曲したもので、全5楽章からなります。第4楽章「アレグロ・ピッツィカート」、第5楽章「アレグロ・モルト」です
演奏する「アミクス弦楽四重奏団」は桐朋学園大学と東京藝大出身者により結成されたクァルテットで、ヴァイオリン=宮川奈々(N響第1ヴァイオリン奏者)、宮本有里、ヴィオラ=山本周、チェロ=松本亜優から成ります。ユニット名は「友」を意味するラテン語だそうです
4人が登場、第4楽章から開始されます 終始ピッツィカートにより演奏されますが、普通のピッツィカートと違い鋭角的な演奏法が採用されています 次いで第5楽章は、荒々しいリズムと不協和とも言える和声が全体を支配し、まるで怒り狂った動物のようです
4人の演奏者は極めて演奏困難な超絶技巧的な作品を、素晴らしいアンサンブルで弾き切りました。特に第5楽章の「アレグロ・モルト」の凄まじいまでの演奏は特筆に値します
サントリーホール小ホールの名前となった ブルーローズ
3曲目はベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調作品97”大公”」より第1楽章です この曲は1811年に作曲されルドルフ大公に献呈されたことから「大公トリオ」と呼ばれています 第1楽章はアレグロ・モデラートです
演奏する「トリオ・デルアルテ」は2016年に結成されたユニットで、ヴァイオリン=内野佑桂子、チェロ=金子遙亮、ピアノ=久保山菜摘から成ります ユニット名はイタリア語で「芸術」を意味するそうです
久保山菜摘さんのピアノから入りますが、堂々たる演奏でまさに「大公」を感じさせます ヴァイオリンの内野佑佳子さんは前回のこの公演で聴いた時に素晴らしい演奏者だと感じた人です。この日も腰の据わったしっかりした演奏を繰り広げていました チェロの金子君を含めて、3人ともよく歌うな,と感心しました
前半最後の曲はベートーヴェン「弦楽四重奏曲第9番ハ長調作品59-3”ラズモフスキー第3番”」より第4楽章だとばかり思っていたら、急きょモーツアルト「弦楽四重奏曲第22番変ロ長調K.589”プロイセン王第2番”」~第1楽章に変わりました どうやら、ロビーに小さな字で「曲目変更のお知らせ」が出ていたようなのですが、私は気がつきませんでした もっと目立つように表示してもらえるとありがたいと思いました
この作品はモーツアルト(1756‐1791)が1789年の4月から6月にかけてベルリンへの演奏旅行を行った際、プロイセン王、フリードリヒ・ヴィルヘルム2世から弦楽四重奏曲6曲を作曲するよう依頼されて作った作品の一つです ただし、モーツアルトは3曲しか作曲していません。王はチェロの名手として知られていた人物だったことから、モーツアルトは通常の弦楽四重奏曲のバランスをはるかに超えた役割をチェロに負わせています そこがこの曲の一つの聴きどころになっています。演奏する第1楽章は「アレグロ」です
演奏はヴァイオリン=石倉瑤子、竹本百合子、ヴィオラ=井上祐吾、チェロ=北垣彩の4人による臨時編成ユニットです
4人の演奏はモーツアルトらしい愉悦間に満ちた爽やかな演奏でした 注目していたチェロの北垣彩さんの演奏は期待通り素晴らしいものがありました
プログラム後半の第1曲目はドビュッシー「弦楽四重奏曲ト短調作品10」より第1・2楽章です この作品はクロード・ドビュッシー(1862‐1918)が1893年に作曲した唯一の弦楽四重奏曲です 同年12月29日にパリの国民音楽家教会でイザイ四重奏団により初演されましたが、評価は賛否両論だったそうです 全4楽章から成りますが、第1楽章は「活き活きと、極めて決然として」、第2楽章は「かなり急速に、とてもリズミカルに」となっています
演奏する「アルネア・カルテット」は桐朋学園大学出身者によるユニットで、ヴァイオリン=今高友香、山縣郁音、ヴィオラ=川上拓人、チェロ=清水唯史から成ります。ユニット名は「輝くもの」を意味するとのことです
4人の演奏はフランスの香が漂うばかりのニュアンスに満ちた演奏で、ドビュッシー独特の浮遊感がよく表れていました
後半2曲目はシューベルト「弦楽五重奏曲ハ長調D.956」より第3楽章です この作品はフランツ・シューベルト(1797 -1828 )が晩年の1828年夏に作曲しましたが、死を2カ月後に控えて完成された遺作となりました この作品の大きな特徴は、それまでの弦楽五重奏曲がモーツアルトの先例に倣って弦楽四重奏にヴィオラを加えた形を採っていたのを、ヴィオラの代わりにチェロを2挺としたことです 全4楽章から成りますが、演奏される第3楽章は「スケルツォ:プレスト~トリオ:アンダンテ・ソステヌート」となっています 演奏は先にバルトークを演奏したアミクス弦楽四重奏団にチェロの日下部杏奈が加わります
5人の演奏は「スケルツォ」部分の活気のある音楽と、「アンダンテ」部分の穏やかな音楽との弾き分けが見事でした 女性陣4人に挟まれて真ん中で一人気を吐いたヴィオラの山本周君はヴァイオリン・セクションの方を見たり、チェロ・セクションの方を見たりしながら演奏して忙しそうでした こんなチャンス滅多にないんだから、良かったね
3曲目はドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番ホ短調作品90”ドゥムキ―”」より第5・6楽章です この曲は前日、同じ会場で聴いているので曲目については昨日のブログをご参照ください 演奏はヴァイオリン=白井麻友、チェロ=秋津瑞貴、ピアノ=高橋里奈です
前日聴いたばかりなので どうしても比較してしまいますが、今回の方がアッサリ系という感じがしました が、ヴァイオリンとチェロは良く歌い、ピアノは迫力がありました
この日最後のプログラムはブラームス「弦楽五重奏曲第2番ト長調作品111」より第1楽章です この作品はヨハネス・ブラームス(1833‐1897)が1890年夏ごろにオーストリアの保養地バート・イシュルで作曲しました この曲はモーツアルトの弦楽五重奏曲の先例に倣って弦楽四重奏曲にヴィオラを加えた5人により演奏されます。全4楽章から成りますが、演奏される第1楽章は「アレグロ・ノン・トロッポ、マ・コン・ブリオ」となっています
演奏は、先にモーツアルトを演奏した4人(ヴァイオリン=石倉瑤子、竹本百合子、井上祐吾、チェロ=北垣彩)にジュネーヴ高等音楽院で今井信子に師事したヴィオラのファイト・ヘルテンシュタインが加わった5人です
冒頭のヴァイオリンとヴィオラに導かれて登場するチェロの北垣彩さんの演奏が素晴らしい その後は、ヴァイオリンとヴィオラの対話、チェロを加えたアンサンブルが見事で、とくにブラームスの音楽の中低音の魅力を存分に楽しむことができました こういう充実した演奏で聴くと、ブラームスって本当にいいな、と思います
この日は20分の休憩を含めた2時間の中で8つの作品の抜粋を、若手演奏家による演奏で聴いたわけですが、いずれも甲乙つけがたい演奏でした 強いて言えば、最後に演奏されたブラームス「弦楽五重奏曲第2番」の演奏が最も印象に残りました 次いで、2番目に演奏されたバルトーク「弦楽四重奏曲第4番」の鋭角的な演奏が強く印象に残りました この日の公演を聴いて、個人で一番印象に残ったのはモーツアルトの「プロイセン王第2番」とブラームス「弦楽五重奏曲」でチェロを弾いた北垣彩さんです 第69回全日本学生音楽コンクールチェロ部門大学の部第3位に入賞し、サイトウ・キネン・フェスティバルをはじめとする各音楽祭にも参加しているようです 現在東京藝大大学院修士課程2年在学中ですが、将来の活躍が楽しみです