人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅢ~弦楽四重奏曲第2番、弦楽六重奏曲第1番」を聴く~豊嶋泰嗣、堤剛も参加~サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン

2018年06月17日 08時10分55秒 | 日記

17日(日)その2.よい子はその1から見てね モコタロはそちらに出演しています

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」で「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅢ」を聴きました   プログラムは①弦楽四重奏曲第2番イ短調作品51-2、②弦楽六重奏曲第1番変ロ長調作品18です 演奏は弦楽四重奏=キュッヒル・クァルテット、ヴィオラ=豊嶋泰嗣(新日本フィル・ソロ コンマス)、チェロ=堤剛です

 

     

 

自席はRb3列12番、右ブロック右から2つ目の席です 会場はかなり埋まっています

1曲目は「弦楽四重奏曲第2番イ短調作品51-2」です ヨハネス・ブラームス(1833‐97)は弦楽四重奏曲を3曲作りましたが、この作品は作品51番として作られた2曲の弦楽四重奏曲の一つです

第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「クアジ・メヌエット、モデラート」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・ノン・アッサイ」の4楽章から成ります

2日前に聴いた第1番の”慟哭”のクァルテットに比べると同じ短調でも かなり聴きやすい曲想です 特に印象深かったのはロベルト・ノーチに代わって来日したエディソン・パシュコによるチェロの演奏で、第2楽章における慰めるような優しい演奏が心に沁みました


     


プログラム後半は、「弦楽六重奏曲第1番変ロ長調作品18」です この作品はブラームスが27歳の時、1860年に作曲されました

第1楽章「アレグロ、マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト」、第4楽章「ロンド:ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ」の4楽章から成ります

キュッヒル・クァルテットの4人にヴィオラの豊嶋泰嗣(新日本フィル・ソロ コンマス)、チェロの堤剛が加わり、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが各2挺の編成となります

この曲はブラームスの室内楽の中では「ピアノ三重奏曲第1番」とともに大好きな作品です

6人の演奏者が登場しスタンバイします 第1楽章が低弦から入り、ヴァイオリンが受け継ぎます。この冒頭の幸福感に満ちた音楽がたまらなく好きです この作品の魅力をひと言でいえば「厚みのある響き」でしょうか なぜブラームスは弦楽四重奏にヴィオラとチェロを加えて弦楽だけの六重奏曲を作ったのかと言えば、この「厚みのある響き」を求めたからだと思います この楽章では、またしてもチェロのエディソン・パシュコの演奏が冴えわたりました

第2楽章はどちらかと言えば感傷的な曲想です。主題と6つの変奏曲から成りますが、ピアノ・ソロのために「主題と変奏  ニ短調」として編曲され、密かに愛していたクララ・シューマンに献呈されました この変奏曲は聴きごたえがありました

第3楽章は一転、陽気な雰囲気のスケルツォで、キュッヒルはじめ演奏者が楽しんで演奏している様子が窺えました そして 第4楽章に入りますが、第1楽章の幸福感に満ちた音楽に通じる明るく希望に満ちた音楽が奏でられます ここでもチェロのパシュコの演奏が光ります。「代打パシュコ」は大成功だったのではないでしょうか

鳴り止まない拍手に6人は今演奏したばかりの「弦楽六重奏曲第1番」の第3楽章「スケルツォ」をアンコールに演奏し、会場いっぱいの拍手を浴びました

 

     

 

「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン2018」は本日(17日)の「フィナーレ2018」公演をもって終了しますが、私はミューザ川崎での東響「モーツアルト・マチネ」を聴きにいくため、昨夕の公演が最後となりました 毎日のようにサントリーホール「ブルーローズ」に通った2週間強でしたが、過ぎてしまえばあっという間でした 楽しいことは時間が経つのが速く感じるものです

来年は6月1日(土)から同16日(日)まで2週間強にわたりサントリーホール「ブルーローズ」で開かれます この間は出来るだけ多くのチェンバーミュージックを聴くため、会員になっているオーケストラの定期公演以外は予定を入れないつもりです

 

     

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「ENJOY!室内アカデミー・フェロー演奏会Ⅱ」を聴く~サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン~”卒業”して旅立つ若者たちに望むこと

2018年06月17日 07時27分18秒 | 日記

17日(日)その1.わが家に来てから今日で1354日目を迎え、サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の第2日のポルトガル対スペインの試合で、ポルトガルのロナルドが、自身W杯初のハットトリック(1試合3得点)を達成した  というニュースを見てお友だちと会話をするモコタロです

 

     

      モコ:帽子から鳩を出す手品なら出来るよ 友だち:それは鳩トリックでしょ!

 

         

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」で、午前10時半から「ENJOY!室内楽アカデミー・フェロー演奏会Ⅱ」を、午後7時から「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅢ」を聴きました ここでは「ENJOY!室内楽アカデミー・フェロー演奏会Ⅱ」について書きます。これはサントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデンの一環として開かれたコンサートです

プログラムと演奏者は①メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第6番」より第1・2楽章(アミクス弦楽四重奏団)、②ラヴェル「弦楽四重奏曲」より第1・2楽章(北垣彩ほか)、③ブラームス「ピアノ三重奏曲第2番」より第1・4楽章(トリオ・デルアルテ)、④シューベルト「弦楽五重奏曲」より第4楽章(アルネア・カルテット)、⑤シューベルト「ピアノ三重奏曲第1番」より第1楽章(白井麻友ほか)、⑥ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第8番”ラズモフスキー第2番”」より第3・4楽章(アルネア・カルテット)、⑦ブラームス「ピアノ三重奏曲第3番」より第2・3・4楽章(レイア・トリオ)です

 

     

 

1曲目はメンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第6番ヘ短調作品80」より第1・2楽章です この曲はメンデルスゾーン(1809‐47)が晩年の1847年7月に作曲に取り掛かり9月に完成した作品です 作品40の3曲の弦楽四重奏曲を作曲して以来9年ぶりの作品です。作曲の2か月前の5月14日に4歳年長の最愛の姉ファニーが他界したことから、この曲はメンデルスゾーンにしては悲劇的な内容となっています 彼はその半年後の11月4日に姉の後を追うように天に召されました。初演は彼の死の1年後の1848年11月4日にヨーゼフ・ヨアヒムらにより行われました

第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ」、第2楽章「アレグロ・アッサイ」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

演奏する「アミクス弦楽四重奏団」は、ヴァイオリン=宮川奈々(N響第1ヴァイオリン奏者)、宮本有里(藝大フィルハーモニア)、ヴィオラ=山本周、チェロ=松本亜優から成ります

このクァルテットは前回のフェロー・コンサートで「バルトークの第4番」を弾き、素晴らしい演奏を展開したので期待が高まります

4人が登場し早速第1楽章に入ります 冒頭から不穏な雰囲気の音楽が展開します。言葉で表せば「慟哭」の音楽です 第2楽章も悲しみが疾走します。4人の真摯な演奏からメンデルスゾーンの深い悲しみが伝わってきます。緊張感に満ちた素晴らしい演奏でした

2曲目はラヴェル「弦楽四重奏曲ヘ長調」より第1・2楽章です この作品はモーリス・ラヴェル(1875‐1937)が1902年12月から03年4月にかけて作曲し、敬愛する師ガブリエル・フォーレに献呈されました

第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「十分に活き活きと。きわめてリズミカルに」、第3楽章「きわめて緩やかに」、第4楽章「活き活きと、激しく」の4楽章から成ります

演奏は、ヴァイオリン=石倉搖子、竹本百合子、ヴィオラ=井上祐吾、チェロ=北垣彩です このユニットは前回のフェロー・コンサートで「ラズモフスキー第3番」の第4楽章を弾き、チェロの北垣彩さんの演奏が印象に残っています

4人の演奏者が登場しさっそく第1楽章に入ります ラヴェル特有の宙に浮いたような浮遊感が会場を包み込みます ヴァイオリンが、ヴィオラが、チェロがよく歌い、色彩感溢れる演奏を展開しました


     


3曲目はブラームス「ピアノ三重奏曲第2番ハ長調作品87」より第1・4楽章です この曲はヨハネス・ブラームス(1833‐1897)が1880年から82年にかけて作曲した作品で、1882年12月29日にフランクフルトで、フーゴ―・へールマンのヴァイオリン、ミュラーのチェロ、ブラームスのピアノにより初演されました

第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「スケルツォ:プレスト」、第4楽章「アレグロ・ジョコーソ」の4楽章から成ります

演奏する「トリオ・デルアルテ」は、ヴァイオリン=内野佑佳子、ヴィオラ=金子遙亮、ピアノ=久保山菜摘から成りますが、前回のフェロー・コンサートでは「大公トリオ」を演奏し、とくにヴァイオリンの内野佑佳子さんの演奏が強く印象に残りました

3人が登場し第1楽章に入ります。渋い曲ですが、その渋さがよく出た演奏で、ブラームス好きにはたまらない演奏です。第2楽章はブラームスの円熟した境地に達した音楽ですが、今回も内野佑佳子さんのヴァイオリンが冴え、また、今回はピアノの久保山菜摘さんの演奏がとても印象に残りました  個人的な希望を言えば、どうせピアノ三重奏曲を演奏するなら大好きな第1番を選んでほしかったと思います

プログラム前半の最後は、シューベルト「弦楽五重奏曲ハ長調D.956」より第4楽章です この作品はフランツ・シューベルト(1797‐1828)が最晩年の1828年夏に作曲された遺作です。初演は彼の死後の1850年でした

第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「スケルツォ(プレスト)~トリオ(アンダンテ・ソステヌート)」、第4楽章「アレグレット」の4楽章から成ります

楽器編成はヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ2という低音域の充実を図ったものになっています

演奏するのは「アルネア・カルテット」(ヴァイオリン=山懸郁音、今高友香、ヴィオラ=川上拓人、チェロ=清水唯史)とチェロの日下部杏奈です

5人が登場し、さっそく第4楽章の演奏に入ります シューベルトらしい愉悦間に満ちた舞曲風の音楽です。5人は歌心に満ちた演奏を展開しました

このコンサートでは、演奏が終わったグループの代表がマイクを持って演奏を振り返り、次の曲を紹介するのですが、チェロの清水君がマイクを持って次のように話しました

「今 演奏したシューベルトの弦楽五重奏曲は全4楽章を演奏すると50分はかかります   私は今まで2回ほどこの曲を演奏した経験がありますが、この第4楽章だけでも疲れるのに、全楽章を弾くと最後には手が攣りそうになります  それほど演奏が難しい作品です。今日は4楽章だけでしたが、一生懸命弾きました。この後20分間の休憩があり、その後 後半に移ります

その直後「ただいまから15分間の休憩に入ります」と場内アナウンスが流れたので、場内がわっと沸きました   清水君、5分の差をどう埋め合わせしてくれるのよ


     


休憩後の1曲目はシューベルト「ピアノ三重奏曲第1番変ロ長調D.898」より第1楽章です シューベルトはピアノ三重奏曲を4曲作っていますが、最初の曲(D28)は15歳の時の作品で、残る3曲は1827から28年にかけて作曲されました この作品はシューベルトの晩年の1827年に作曲しその年の12月26日に公開初演されました

第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・ウン・ポコ・モッソ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ~プレスト」の4楽章から成ります

演奏はヴァイオリン=白井麻友、チェロ=秋津瑞貴、ピアノ=高橋里奈です

3人が登場、さっそく第1楽章の演奏に入ります   とても1年後にこの世から消えて居なくなるとは思えないシューベルトが作った明るい曲です 3人は歌心と愉悦間に満ちた演奏を展開しました

演奏後、チェロの秋津君がマイクを持って次のような話をしました

「今回のアカデミーでトリオ・ヴァンダラーの指導を受けるチャンスがあったのですが、『シューベルトは言いたいことをすべて作品に盛り込んでいる したがって、演奏者は作品から自分が感じたものを表現するのではなく、シューベルトが何を感じて作曲したのかを考えて演奏すべきだ』と教えらえた時はハッとしました

特に若い演奏家は多くの人たちと接して幅広い知識を獲得していくことが大切だと思います

後半2曲目はベートーヴェン「弦楽四重奏曲第8番ホ短調作品59-2”ラズモフスキー第2番”」より第3・4楽章です この曲はベートーヴェン(1770‐1827)がウィーン駐在ロシア大使アンドレイ・ラズモフスキー伯爵の依頼により1805年から06年にかけて作曲した3曲の弦楽四重奏曲の内の2番目の作品です

第1楽章「アレグロ」、第2楽章「モルト・アダージョ」、第3楽章「アレグレット」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります

アルネア・カルテット」(前出)の4人が再登場し、第3楽章に入ります この曲は3曲のラズモフスキー中でも短調ながら明るさのある曲で、とくに第3楽章の実質的なスケルツォは聴いていて心地良いメロディーが次々と現われ、思わず口ずさんでしまいます 第4楽章の冒頭の弾むような音楽は行進曲調で喜びに満ちています 4人はメリハリを付けて颯爽と弾き切りました

プログラムの最後はブラームス「ピアノ三重奏曲第3番ハ短調作品101」より第2・3・4楽章です この曲はブラームスが1886年夏に避暑先だったスイスのトゥーン湖で作曲されました 1886年12月20日にブタペストでブラームスのピアノ、イェネー・フバイのヴァイオリン、ダーヴィト・ポッパーのチェロにより初演されました

第1楽章「アレグロ・エネルジコ」、第2楽章「プレスト・ノン・アッサイ」、第3楽章「アンダンテ・グラツィオーソ」、第4楽章「アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

演奏する「レイア・トリオ」は、ヴァイオリン=小川響子(東京フィル・フォアシュピーラー)、ヴィオラ=加藤陽子、ピアノ=稲生亜沙紀から成ります

3人が登場、第2楽章から演奏に入ります この曲もブラームスらしい渋い曲です 第3楽章の室内楽的な響きと第4楽章のシンフォニックな響きとが対照的です やっぱり、小川響子さんのヴァイオリンは素晴らしいと思います そして3人のアンサンブルは見事です 

個人的な希望を言えば、どうせピアノ三重奏曲を演奏するなら大好きな第1番を選んでほしかったと思います あっ、これはさっきも書いたか

全7曲の演奏が終わったところで演奏者全員がステージに再度登場し、カーテンコールに応えました 女性陣は色とりどりの衣装が鮮やかです これをもってアカデミー第4期(2年間)が終了ということになります アカデミーの先輩としては現在東京フィルのコンマスを務めている依田真宣君がいます 彼に次いで小川響子さんが同フィルのフォアシュピーラーに就任しています さて次は誰がプロ・オケのコンマスやフォアシュピーラーとして独り立ちしていくのでしょうか? とても楽しみです 

ここで言っておきたいのは、あなた達は恵まれているということです 誰のお陰で好きな音楽が出来るのでしょうか? 感謝の気持ちを忘れないでほしいと思います それぞれの若者たちの今後の活躍を期待しています

 

     

 

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