人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

メンデルスゾーン「ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲」他を聴く~サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン「アジアンサンブル@TOKYO」 / 天才の育て方~朝日GLOBE+から

2018年06月05日 07時26分22秒 | 日記

5日(火)。朝日新聞の別刷り「GLOBE+」(6月号)が「『天才』の育て方」を特集していました その中で、日本開発銀行を経て オーディオメーカー・ケンウッド代表取締役、ケンウッドUSA会長を歴任した中野雄氏のインタビュー記事が載っていました。超約すると

「クラシック音楽の世界では、モーツアルト以外にも『神童・天才伝説』は結構存在する モーツアルトより後の時代の作曲家・メンデルスゾーンやビゼーが17歳の時に書いた作品は、同時期のモーツアルトの作品の水準を上回っている 天賦の才では上だったかもしれない彼らよりも、モーツアルトがはるかに抜きんでているのはなぜか? 私は、モーツアルトを『父親レオポルドが心血を注いだ作品』と考えている レオポルドは息子の中に尋常ではない音楽の才能を見い出し、その才能に磨きをかけ、宮廷社会に売り出すために、5歳の頃から欧州中を旅させた 大抵は『親バカ』で終わるが、レオポルドの目は正しかった 幼いころから公衆の前で演奏して場数を踏んだことと、旅先で受けた一流の音楽家たちの教えが、モーツアルトの才能を開花させる上で決定的な役割を果たした レオポルド自身、バイオリンの有名な教則本を執筆するなど、教師として優れていたことも見逃せない 才能の5~6割は遺伝的資質で決まるかも知れないが、『環境』と『運』という要素を抜きに天才を語るのは不可能だ。政治思想史学者で、クラシック音楽への造詣が深かった丸山眞男は、モーツアルトの最大の資質を、卓越した『自習の能力』と見抜いていた 人から直接教わるのでなく、『この人から何を学ぶべきか』を自ら直感し、それを会得できる『自習能力』こそが、『一流』と『二流以下』を分ける差である。人との出会いを自ら生かせるかどうかも『天才に育つ』条件の一つだろう

たしかに『環境』と『運』を抜きにして天才を語ることは出来ないと思いますが、天才は『運』を生かして『環境』を変えていく力を持っているとも言えるのではないか、その力こそ『自習能力』ではないか と思います

ということで、わが家に来てから今日で1342日目を迎え、財務省が4日「森友学園」への国有地売却をめぐる決裁文書の改ざん問題の調査報告書を公表し、文書の改ざんや破棄は当時 理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が「方向性を決定づけた」と認定したことに伴い、麻生太郎財務相は決裁文書改ざんの責任をとるため、1年分の閣僚給与を自主返納する というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       財務相という役職は自主返納しないのね もっとも1年後も安倍政権があるかどうか

 

         

 

昨日、夕食に「麻婆豆腐」「生野菜とアボカドのサラダ」「マグロの山掛け」「卵スープ」を作りました 風邪気味の娘が「麻婆豆腐が食べたい。たまには自分で作ろうか?」と言ったのですが、ウィークデーの夕食作りは私の日課であり、若者に仕事を奪われたくないので丁重にお断りし、意外にも初挑戦で作りました 豆板醤の割合が絶妙だったようで とても美味しく出来ました 卵スープは風邪対策に良いと思って作ったのですが、娘は ふわふわで美味しいと言っていました

 

     

 

         

 

3日(日)午後5時からサントリーホール「ブルーローズ」でサントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン「アジアンサンブル@TOKYO」公演を聴きました プログラムは①モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番ト長調K.423」、②ラヴェル「弦楽四重奏曲ヘ長調」、③メンデルスゾーン「ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲ニ短調」です 演奏は、ヴァイオリン・指揮=原田幸一郎、ヴァイオリン=イ・スビン、小川響子、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=チョン・ウチャン、ピアノ=イム・ジュヒ、弦楽合奏=チェンバーミュージック・ガーデン・アンサンブルです

 

     

 

自席はC4列1番、センターブロック左端です

1曲目はモーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番ト長調K.423」です この作品はモーツアルト(1756‐1791)が27歳の時の1783年に作曲されました 当時、ザルツブルクの宮廷や教会で要職を務めていたミヒャエル・ハイドン(1737‐1806)が急病のため、本来なら彼が作曲すべきだった二重奏曲(2曲)を、モーツアルトがゴーストライターになって、ミヒャエル・ハイドンの作風に似せて作曲したというエピソードが残されています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

演奏するのはヴァイオリン=小川響子(東京フィル・フォアシュピーラー)、ヴィオラ=磯村和英(元・東京クヮルテット)です 二人がステージに登場しスタンバイしますが、ビジュアル的には、じっちゃんと孫娘という感じです

小川響子のヴァイオリンから入りますが、明るく伸び伸びと弾いていて、聴いている方も心地よくなってきます 最初はちょっぴり ぎこちなさそうに見えた二人ですが、演奏が進むにしたがって息がピタリと合い、ミヒャエル・ハイドン風と言うより、まさにモーツアルトそのものといった魅力的な音楽が展開しました   ビジュアル的にどう見えようと 音楽に年齢差は関係ありません   


     


2曲目はラヴェル「弦楽四重奏曲ヘ長調」です この作品はモーリス・ラヴェル(1809-47)が1902年12月から翌03年4月にかけて作曲し、1904年3月5日にパリでエマン四重奏団により初演されましたが、その後、改稿され現在の形になっています この曲はガブリエル・フォーレに献呈されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「十分に活き活きと。きわめてリズミカルに」、第3楽章「きわめて緩やかに」、第4楽章「活き活きと、激しく」の4楽章から成ります

演奏するのは第1ヴァイオリン=原田幸一郎(元・東京クヮルテット)、第2ヴァイオリン=小川響子、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=チョン・ウチャン(韓国)というメンバーです

4人が登場し さっそく演奏に入りますが、第1楽章冒頭から「ラヴェルの音」になっていますラヴェル独特のふわっと浮いた感じ=浮遊感が漂っています 第2楽章はピッツィカートが多用される楽曲ですが、驚くべきは第1ヴァイオリンの原田幸一郎の多用な音色の表出とその変化です これが長い間、世界の室内楽シーンにその名を轟かせた東京クヮルテットの第1ヴァイオリン奏者の為せるワザか、と感動さえ覚えました すごい人です 第3楽章では磯村和英のヴィオラとチョン・ウチャンのチェロがよく歌っていました そして最後の第4楽章では、切羽詰まったような激しい音楽が表現力豊かに表出されました


     


休憩後のプログラム後半はメンデルスゾーン「ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲ニ短調」です 私は、この曲を聴くためにこの公演のチケットを買ったようなものです この作品はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐47)が14歳の時!の1823年5月に作曲されました ベルリンの自宅で行われていたサロン・コンサートで演奏するために作曲されたと推測されています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モルト」の3楽章から成ります

演奏は、ヴァイオリン独奏=イ・スビン(韓国・17歳)、ピアノ独奏=イム・ジュヒ(韓国)、指揮=原田幸一郎、管弦楽=チェンバーミュージック・ガーデン・アンサンブル(昨日のブログでご紹介した「ENJOY!室内楽アカデミー・フェロー演奏会」に出演した若者たち)です コンミスは「トリオ・デルアルテ」の内野佑佳子さんです。「ENJOY!~」ではカラフルな衣装で楽しませてくれた女性陣は全員が黒の衣装で統一しています。もちろん二人のソリストを立てるという配慮です

原田幸一郎の指揮により第1楽章の長い序奏が開始されます なかなか独奏楽器(ここではヴァイオリンとピアノ)が出てこないところはモーツアルトの「ピアノ協奏曲」のスタイルそのものです 序奏に次いで、ピアノが決然と打ち下ろされ、ヴァイオリンが続きますが、切羽詰まったような音楽はメロディーこそ異なるものの、モーツアルト「交響曲第25番」の冒頭のように衝撃的です 終盤のカデンツァはヴァイオリンとピアノの丁々発止のやり取りが刺激的で感動的でした 第2楽章も長い序奏に続いてヴァイオリンとピアノがおもむろに出てきますが、二つの楽器の静かなやり取りが長く続きます。そして第3楽章に入ると冒頭から独奏ヴァイオリンとピアノにより力強く躍動感あふれる音楽が展開し、圧巻のフィナーレを迎えます

ソリストを務めたヴァイオリンのイ・スビンとピアノのイム・ジュヒは確かな技術に裏づけられた技巧的な演奏を展開し、メンデルスゾーンの短調の魅力を存分に表出していました 原田幸一郎指揮チェンバーミュージック・ガーデン・アンサンブルの演奏も小編成ながら素晴らしい演奏を展開していました

この日初めてメンデルスゾーン「ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲ニ短調」を聴いた方も少なくなかったのではないかと推測しますが、弱冠14歳の少年が作った曲だとはとても信じられない名曲だと思ったに違いありません メンデルスゾーンの作品には、いわゆる”メンコン”と呼ばれる「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」や「交響曲第4番”イタリア”」や「夏の夜の夢」などの”通俗名曲”だけでなく、「ピアノ協奏曲第1番、第2番」「ピアノ四重奏曲第2番、第3番」、「ピアノ三重奏曲第1番、第2番」、「弦楽四重奏曲」など、特に室内楽に数多くの名曲があります こういう作品群がコンサートで演奏される機会が増えると嬉しいと思います

 

     

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