人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

トレヴァー・ピノックの指揮で「英国王立音楽院&東京藝術大学交流演奏会」を聴く~モーツアルト「VnとVaのための協奏交響曲」、ベートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」他~半端ない集中力

2018年06月28日 07時45分05秒 | 日記

28日(木)。わが家に来てから今日で1365日目を迎え、米トランプ政権による鉄鋼・アルミ製品へ高関税措置に対し、欧州連合(EU)が22日、EUに入ってくる米国製品への報復関税を発動したことから、老舗バイクメーカーの米ハーレーダビットソンが欧州向けの生産を米国外に移すと表明した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      トランプは「我慢しろ!」と吠えているけど これは自ら仕掛けた戦争だからね

 

         

 

昨夕、「鶏のトマト煮」を作りました 夕べは私がコンサートで、娘が同僚の送別会で遅くなるというので今日の娘の弁当用に作りました

 

     

 

         

 

昨夕、東京藝大奏楽堂で「英国王立音楽院&東京藝術大学交流演奏会」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」から序曲、②モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調K.364」、③ベートーヴェン「交響曲第3番変ホ長調作品55”英雄”」です ②のヴァイオリン独奏=ユリエ・スヴェツェナー(英国王立音楽院)、ヴィオラ独奏=井上祐吾(東京藝大)、管弦楽=英国王立音楽院&東京藝術大学合同オーケストラ、指揮=トレヴァー・ピノックです

指揮を執るトレヴァー・ピノックは英国を代表する指揮者・ハープシコード奏者・オルガン奏者で、英国王立音楽院で学び、1972年に古楽オーケストラ「イングリッシュ・コンサート」を創立し、古楽演奏の分野で活躍しました


     


席自由です。1階12列12番、左ブロック右通路側を押さえました。会場は7~8割くらい入っているでしょうか

拍手の中、両校の学生が入場し配置に着きます。オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスと言う並びです メンバーは日本側が若干多く、男女比は半々といった感じです。コンマスは英国側の男子学生です

演奏に先立って、東京藝大の澤和樹(さわ かずき)学長が

「1998年に新しい『奏楽堂』が出来た時に、英国王立音楽院を招いてコンサートを開いてから今年で20年が経った。それ以来同音楽院とは交流が続いているが、今回初めて東京藝大との合同演奏会を開くこととなったことはとても嬉しい

と挨拶、英国王立音楽院のジョナサン・フリーマン=アトウッド院長を紹介しました 

「ご覧のようにジョナサン・フリーマン楽長は背が高いので、(背の低い)私と二人並んで立っていると、2週間前の米朝首脳会談を思い出すかもしれませんね

とジョークを飛ばしました。言うまでもなく背の高いアメリカのトランプ大統領と背の低い北朝鮮の金正恩委員長の会談ことを言っています かずき、受ける~

1曲目はベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」から序曲です ベートーヴェンは1800年(30歳)に記念すべき「交響曲第1番」を作曲しましたが、その後に作曲したのがイタリア出身のバレエダンサー、サルヴァトーレ・ヴィガノの委嘱によるこのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」でした この曲は1801年3月21日にウィーンのホーフブルク劇場で初演されましたが、バレエは大ヒットしたそうです

指揮のピノックが登場、さっそく演奏に入ります 冒頭 フォルティッシモの力強い2つの和音から演奏に引き込まれます アダージョの序奏部に続き、アレグロに入ると まるでモーツアルトのオペラの序曲のような軽快な音楽が展開します フルート(英・女性)とオーボエ(日・女性)が素晴らしい オーボエの女性は第2の荒木奏美になれるか 短い曲ですが生き生きとした中身の濃い演奏でした

2曲目はモーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364」です この曲はモーツアルトが1777~1778年の「マンハイム・パリ旅行」からザルツブルクに帰郷した時に作曲されました 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります ソリストを務めるヴァイオリンのユリエ・スヴェツェナーはチェコ出身の俊英、ヴィオラの井上祐吾は昨年の藝大モーニングコンサートでヒンデミットのヴィオラ協奏曲「白鳥を焼く男」を弾いた期待の新星です

ピノックの指揮で第1楽章に入ります かなり長い序奏に続いて独奏ヴァイオリンと独奏ヴィオラが入ってきますが、二人の演奏が素晴らしく息もピッタリです 言うまでもなくピノック指揮 合同オケはピタリとつけます  カデンツァが聴き惚れるほど素晴らしい  第2楽章はハ短調の調性を反映して哀愁に満ちた曲想ですが、二人のソリストを中心に叙情的な演奏を展開しました   第3楽章に入ると長調に戻ったこともあってか、二人のソリストはリラックスした雰囲気で演奏を楽しんでいるように見えました   この曲ではホルンとオーボエ(各2本)が素晴らしいサポートをしていました

演奏後、二人のソリストとピノックはお互いにハグをして健闘を讃え合いました


     


プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第3番変ホ長調作品55”英雄”」です この曲は1803~04年に作曲されましたが、それ以前の交響曲から一段上の段階に上がった革命的な作品と言われています スケールが大きく、第2楽章に葬送行進曲を持ってくるところも独創的です よく知られているように、この曲は当初ナポレオン・ボナパルトを想定して書いたようなのですが、彼が皇帝に即位したことから「あの男も結局は平凡な人間に過ぎなかったのだ」と激怒してスコアに書かれたボナパルトの文字を消去したと言われています しかし「エロイカ」(英雄)というタイトルは外しませんでした。この曲を聴けば、この曲自体が「英雄」であることが分かります

第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「マルチャ・フュネブル(葬送行進曲):アダージョ・アッサイ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

ピノックの指揮で第1楽章が力強い2つの和音から開始され、チェロが悠然たる第1主題を奏でます まさに英雄的です 徐々に速度を上げていきますが、スピード感あふれる畳みかけるような演奏はピノック特有の演奏スタイルでしょうか 泣く子を黙らせる演奏と言うか、寝た子を叩き起こす演奏というか、ピノック半端ない フルート(英・女性)とオーボエ(日・女性)の演奏が突出しています 第2楽章では、固いマレットで叩くティンパニが効果的です。これもピノック流でしょうか この音楽で思い出すのは、昭和64年1月7日の昭和天皇崩御の日にNHKがN響の演奏でこの葬送行進曲を終日流していたことです

第3楽章では、中間部でのホルン三重奏が聴きごたえのある素晴らしい演奏でした 間を置くことなく続けて演奏された第4楽章では、オーボエ、フルート、ファゴットなど木管楽器群が大活躍し、固いマレットによるティンパニも効果的でした

ピノックは、セクションごとに学生たちを立たせて賞賛しましたが、本当に素晴らしい演奏でした 学生オーケストラは指揮者によってはプロの演奏を上回る集中力とパフォーマンスを発揮しますが、今回の合同オケはまさにその典型のような演奏でした 3曲を聴いて感じたことは、オーケストラのメンバー全員が同じ呼吸をして演奏していたということです。そこから半端ない集中力が生まれていました 彼らから最大限の能力を引き出したピノックに大きな拍手を送ります

 

     

コメント (2)
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