人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでマスネ「サンドリヨン」(シンデレラ)を観る ~ ジョイス・ディドナート、アリス・クート、キャスリーン・キムら 適材適所の歌手陣 & ロラン・ペリーによる最高に楽しい演出!

2018年06月06日 07時22分39秒 | 日記

6日(水)。わが家に来てから1343日目を迎え、トランプ米大統領が 同氏周辺とロシアとの不透明な関係を巡る捜査を妨害した疑惑が出ている中で、ツィッターで自分自身に恩赦を与える「絶対的な権限がある」との見解を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       トランプはどこまで自分ファーストな人間なんだ!?  御社はどう思われますか?

 

         

 

昨日、夕食に「チキントマトカレー」と「生野菜とサーモンのサラダ」を作りました 「トマトチキンカレー」は、料理本のページを繰っていた時に たまたま娘が目にしたページに載っていたレシピで、「あっ、これ食べたい」と言ったことから急きょ作ることにしたものです。初挑戦でしたが、美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、マスネ「サンドリヨン(シンデレラ)」(MET初演)を観ました   これは今年4月28日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストは、サンドリヨン=ジョイス・ディドナート、シャルマン王子=アリス・クート、妖精=キャスリーン・キム、ド・ラ・アルティエール夫人=ステファニー・プライズ、パンドルフ=ロラン・ナウリ、管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=ベルトラン・ド・ビリー、演出・衣装=ロラン・ペリーです

 

     

 

シャルル・ペロー原作、アンリ・カーン台本による全4幕/フランス語上演の「サンドリヨン」のあらすじは以下の通りです

ド・ラ・アルティエール夫人と二人の娘たちはお城の舞踏会に出かけるが、サンドリヨン(灰かぶり姫)と呼ばれるリュセットは先妻の娘なので冷遇され留守番を言い付けられる すると、彼女の名付け親である妖精が現われ 馬車やドレスを用意して、真夜中の12時を過ぎないよう警告してお城に送り出す お城では華やかなダンスが繰り広げられ、夫人と二人の姉たちも登場する。そこに見知らぬ美しい娘(サンドリヨン)が現われ、王子は魅了される   二人はダンスを踊り恋に落ちるが、12時の鐘が鳴り、サンドリヨンは急いで走り去る 家に帰り着いたサンドリヨンはお城に片方の靴を忘れたことに気づく 継母や姉たちからの酷い仕打ちに我慢ができなくなったサンドリヨンは家出することを決心する。森の中では妖精たちが踊っている。妖精の計らいで王子とサンドリヨンが別々に現われ、お互いの姿が見えないまま愛を確かめ合い、二人は深い眠りに落ちる 家で目覚めたサンドリヨンに城からの伝令が届き、ガラスの靴のことが告げられる お城にサンドリヨンが現われ靴を履くとぴたりと合い、祝福のなか幕が降りる

ディズニー・アニメでお馴染みの「シンデレラ」は英語、ロッシーニの「チェネレントラ」はイタリア語、このオペラ「サンドリヨン」はフランス語で、すべて同一人物です

マスネ(1842-1912)というと「ウェルテル」「マノン」そして「タイスの瞑想曲」で有名な「タイス」ぐらいしか知らず、このMETライブで初めてオペラ「サンドリヨン」を知りました 結論から先に書くと「マスネはこんなに楽しいオペラを書いていたのか」という驚きと「これほど適材適所の歌手陣を揃え、楽しさに溢れた公演も少ないのではないか」ということです。それを可能にしたのは、ロラン・ペリーによる伝統的でありながらファンタジックな舞台・演出にあります。舞台は、白い壁一面に黒色でフランス語の文章(多分「サンドリヨン」の物語)が書かれており、いくつかあるドアを開けると裏が赤く塗られているという極めてシンプルなものです これについてペリーは幕間のインタビューで、

「シャルル・ペローの赤い表紙の『シンデレラ』の本をベースに舞台造りをしました。白は本の紙の色、黒は文字の色、赤はドアの裏側の色です。それ以外の色は使っていません

と答えています

 

     

 

サンドリヨン(リュセット)を歌ったジョイス・ディドナートは今やMETを代表する看板メゾ・ソプラノですが、完璧な歌唱力と心を掴んで離さない表現力でヒロインの悲しみと喜びを歌い上げます 彼女は22年前の1996年からこのタイトルロールを歌っているとのことで、彼女にピッタリの 彼女のためのオペラのようなものでしょう シャルマン王子を歌ったアリス・クートはズボン役がよく似合うメゾ・ソプラノですが、伸びやかな歌唱力と卓越した演技力で、王子の悩みと喜びを歌い上げます 妖精を歌った韓国系アメリカ人のキャスリーン・キムは小柄な身体が妖精にピッタリですが、小さな身体のどこからあの超高音が出てくるのかと思うほど完璧なコロラトゥーラ・ソプラノで会場を圧倒します

ド・ラ・アルティエール夫人を歌ったステファニー・プライズは恵まれた体格を生かした豊潤で深みのあるメゾ・ソプラノですが、ドスの効いた歌声が意地悪な役柄にピッタリで、聴衆の笑いを誘っていました パンドルフを歌ったロラン・ナウリはフランス生まれのバスバリトンですが、深みのある歌声とともに演技力に優れ、娘リュセットを思いやる優しい父親と、強権的な妻に頭が上がらない弱い夫を見事に演じ分けていました

歌手の名前は分からないのですが、ド・ラ・アルティエール夫人の娘を歌い演じた二人の女性歌手は、今回の公演の陰の主役と言っても良いくらい素晴らしい演技力でした 演出とともに衣装も担当したロラン・ペリーによるコケティッシュな衣装を身にまとった二人は、顔の表情と身体の動作が「ちょっと おばかさん」の役柄にピッタリで、笑っちゃう以上に感心してしまいました 是非 名前を知りたいです 

このように、すべての登場人物がその役柄にピッタリで、これ以上の配役はあるだろうか、と思うほど 適材適所の人選になっています

幕間のインタビューで 指揮者のベルトラン・ド・ビリーは、マスネの「マノン」「ウェルテル」と比べて「サンドリヨン」はどんなオペラかと聞かれ、

「『マノン』『ウェルテル』の後で喜劇的なオペラ『サンドリヨン』を作曲したことが興味深いものがあります   ヴェルディは悲劇的な「オテロ」の後に喜劇的な「ファルスタッフ」を最後に作曲しましたが、悲劇よりも喜劇の方が作曲するのが難しいのです

と答えていました たしかに、喜劇的なオペラでモーツアルト(「フィガロの結婚」「コジ・ファン・トゥッテ」等)やロッシーニ(「セビリャの理髪師」等)を凌駕する作品はほとんどありません

2017‐2018シーズン最後のMETライブビューイング「サンドリヨン」は2回の休憩、歌手・指揮者へのインタビュー等を含め3時間4分の上映です

妖精役のキャスリーン・キムばかりでなく、適材適所の歌手陣と演出のロラン・ペリーに魔法をかけられ、あっという間に過ぎ去った3時間4分でした

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする