人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅡ~弦楽四重奏曲第1番、ピアノ五重奏曲」を聴く~ピアニスト福間洸太朗を迎えて~女性客が多いのはなぜ? サントリー チェンバーミュージック

2018年06月15日 07時52分32秒 | 日記

15日(金)その2.よい子はその1から見てね モコタロはそちらに出演しています

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」で「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅡ~弦楽四重奏曲第1番、ピアノ五重奏曲」を聴きました 演奏は弦楽四重奏=キュッヒル・クァルテット、ピアノ=福間洸太朗です

ウィーン・フィルのコンマスを45年間も務めた実績を誇るライナー・キュッヒル率いる「キュッヒル・クァルテット」はOBのキュッヒルを除く全員がウィーン・フィルの現役メンバーです なお、チェロは自己都合で出演できなくなったロベルト・ノーチに代わりウィーン・フィルのエディソン・パシュコが演奏します

 

     

 

自席はC4列12番、センターブロック右通路側です 会場は満席に近いでしょうか

1曲目は「弦楽四重奏曲第1番ハ短調作品51-1」です この作品はヨハネス・ブラームス(1833‐97)が40歳の時=1873年に作曲されました

第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ロマンツェ:ポコ・アダージョ」、第3楽章「アレグレット・モルト・モデラート・エ・コモド」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

調性に注意しましょう。「ハ短調」はブラームスが長い年月をかけて苦難のうえ作曲した「交響曲第1番ハ短調作品68」と同じ調性です

4人が登場し、さっそく第1楽章が開始されます 冒頭から緊張感に満ちた曲想は 第1交響曲のように付け入る隙がない充実した音楽です ひと言でいえば「慟哭の音楽」です 別の言葉で表現すれば「聴いていて息苦しさを感じる音楽」です 多分、ブラームスが嫌いだと言う人は、こういうところが嫌なんでしょうね 第2楽章は一転、穏やかで幸福感に溢れた音楽です 第3楽章を経て第4楽章「アレグロ」に至りますが、第1交響曲のように最後に”勝利の音楽”が待っているわけではありません。悲劇は悲劇のまま終わってしまいます この辺がベートーヴェンと違うところでしょうか


     


休憩時間にイレに行きましたが、先日のカザルス弦楽四重奏団の「ベートーヴェン・サイクル」の時とは打って変わって、女子トイレに長蛇の列ができています 思い返してみれば、この日は女性の聴衆がかなり目立っていました ブラームスと女性が素直に結びつかなかったので よくよく考えて、次に演奏するイケメン ピアニストの福間洸太朗目当てではないか、と推測しました。これって偏見でしょうか

その後 ホワイエでコーヒーを飲みましたが、カウンター後方の壁に設置されたモニター画面に、今 大ホールで演奏されているフランクフルト放送交響楽団の演奏の模様が映し出されていて、ちょうどラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」の最終楽章が演奏されているところでした ピアニストは韓国のチョ・ソンジン、指揮はアンドレス・オロスコ・エストラーダのようです 例の爺さんは幸いにもブルーローズに来なかったので 大ホールで大きな顔をしているのだろうか、と思ったりしました


     

 

休憩後の2曲目は「ピアノ五重奏曲ヘ短調作品34」です 1862年に29歳のブラームスはこの曲を「弦楽五重奏曲」として書きましたが、その後ヨーゼフ・ヨアヒムらのアドヴァイスを受けて「2台のピアノ」用に改作し、さらに敬愛するクララ・シューマンの助言を得て「ピアノ五重奏曲」として2度目の改作を行いました 要するに、ブラームスは最後は密かに愛していたクララの意見を取り入れるのですね でも、そのお陰で歴史的な傑作が生まれたのです

第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ、ウン・ポコ・アダージョ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:ポコ・ソステヌート~アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

イケメン・ピアニスト福間洸太朗がキュッヒル・クァルテットとともに登場し、さっそく第1楽章の演奏に入ります 何なんでしょうか、このパッションは 秘めた情熱が一気に外に向けて噴き出したような曲想です ドラマティックな曲とはこういう作品のことを言うのだろうか 5人はその曲想の通りドラマティックな演奏に徹します 第2楽章はテンパった第1楽章の肩こりをほぐすような、ゆったりした音楽ですが、第1ヴァイオリンのキュッヒル、第2ヴァイオリンのフロシャウアーによる演奏を聴いていて、「ああ、これこそウィーン・フィルの音」と心の中で叫んでいました キラキラ輝いているというか、独特の艶があるというか、とにかくウィーン・フィルならではの音色を持っています

さて、この曲のハイライトは何と言っても第3楽章「スケルツォ:アレグロ」です ブラームスの曲の中で「スケルツォ」が一番印象に残る作品は何ですか?という質問があったら、私は躊躇なく「ピアノ五重奏曲ヘ短調」と答えるでしょう この楽章には力強い推進力があり、喜びがあります 聴いていて「音のカタルシス」を感じます。福間のピアノと弦楽合奏との丁々発止のやり取りが見事で、聴きごたえがあります 特に素晴らしいのは、ピアノと弦楽器のリズムがズレることによって生じるダイナミズムです そして、第4楽章の緊張感に満ちたフィナーレを迎えます 

会場いっぱいの拍手とブラボーに、5人は今演奏したばかりの「ピアノ五重奏曲」の第3楽章「スケルツォ」を演奏し 再度 大きな拍手喝さいを浴びました


     

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第5回東京藝大モーニングコンサートで小野拓真「渦紋~管弦楽のための」、メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」(Vn:髙木凛々子)を聴く / 透明なコカ・コーラを飲んでみる

2018年06月15日 00時07分39秒 | 日記

15日(金)その1.わが家に来てから今日で1352日目を迎え、山陽新幹線博多発東京行 のぞみ176号 が14日午後2時前後に博多―小倉間で人をはねた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                  新幹線で人身事故なんて滅多に聞かないな  よい子は線路で遊ぶのは止めようね

 

         

 

昨日、夕食に「肉豆腐」「生野菜とアボカドのサラダ」「男前豆腐シラス乗せ」を作りました 豆腐料理がダブっているって? そういう細かいこと言うと嫌われますよ

 

     

 

         

 

コカ・コーラシステムが11日に「コカ・コーラ クリア」(500ミリリットルで税抜き140円)を発売しました コカ・コーラブランドとして初の透明飲料だそうです。黒いカラメルは使わず、様々な香料や果汁を加えコーラの風味を実現したとのことで、カロリーはゼロとしています 私は普段 コーラ類や缶コーヒーの類を飲む習慣はありませんが、近くのコンビニで売っていたので さっそく手に入れて飲んでみました   クリアにコカ・コーラの味がしました

 

     

 

         

 

昨日、午前11時から東京藝大奏楽堂で藝大モーニングコンサートを、午後7時からサントリーホール「ブルーローズ」で「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅡ~弦楽四重奏曲第1番、ピアノ五重奏曲」を聴きました ここでは第5回東京藝大モーニングコンサートの模様について書きます

プログラムは①小野拓真(藝大4年)「渦紋~管弦楽のための」、②メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64」(ヴァイオリン独奏=髙木凛々子)です 管弦楽は藝大フィルハーモニア管弦楽団、指揮はラースロ・ティハ二です

 

     

 

全自由席です。1階13列12番、左ブロック右通路側を押さえました。会場はかなりの入りです

オケはいつもの並びで、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成です 第1ヴァイオリン席に、前日「竹澤恭子の室内楽」でベートーヴェン「大フーガ」を演奏したアミクス弦楽四重奏団の宮本有里さんの姿が見えます 舞台の左サイドにはピアノとハープがスタンバイしています。コンマスはソロ・コンマスの植村太郎です

1曲目は藝大4年在学中の小野拓真君作曲による「渦紋~管弦楽のための」です 小野君のプロフィールを見ると、私立自由の森学園高校卒業後 大東文化大学文学部教育学科を経て 東京藝大音楽学部に入学し 現在4年次在学中という変わり種です よほど作曲の勉強がしたかったのでしょうね

演奏に先立って、本人がマイクを持って登場し「渦紋」について小さなメモを見ながら簡単に説明しました 「カッチカチやで」という感じで 上がりまくっている話ぶりでしたが、真摯な態度に好感が持てました 要するにこの曲は一種の変奏曲で、12の音列が登場し、リズムなどの変化を伴いながら進行していくという作品のようです

リスト音楽院教授で東京藝大音楽学部卓越教授のラースロー・ティハ二の指揮で演奏が開始されます 室内楽的な部分もあり、ストラヴィンスキーの「春の祭典」ばりの部分もあり、まさに変化に富んだ作品でした

大学を2つ出たからといって、「世の中に出遅れた」と焦る必要はありません。人生はこれからです。頑張ってほしいと思います


     


2曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64」です ヴァイオリン独奏は藝大4年在学中の髙木凛々子さんです

皆さまよくご存じの「メンコン」と呼ばれるヴァイオリン・コンチェルトです この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐47)がライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の常任指揮者を務めていた時の1838年に、そのコンマスだったフェルディナント・ダーヴィトとのために書いたものですが、演奏者のダーヴィトと相談しながら書き上げたため完成は6年後の1844年になりました

第1楽章「アレグロ・モルト・アパッショナート」、第2楽章「アンダンテ~アレグレット・ノン・トロッポ」、第3楽章「アンダンテ~アレグレット・ノン・トロッポ」の3楽章から成りますが、続けて演奏されます

濃いピンクの衣装を身に着けた髙木凛々子さんが指揮者とともに登場します 冒頭、弦楽の序奏に導かれて独奏ヴァイオリンが入り第1主題を奏でます この楽章を聴いて感じたのは、彼女は相当 場慣れしているというか、演奏慣れしているというか、自信に溢れているというか、最初から自分のペースで演奏していました プロフィールを見ると、小学生の頃から内外のヴァイオリン・コンクールで入賞しているので、そういうことが影響しているのかも知れません カデンツァは本当に見事で華麗そのものでした 第2楽章以降も自信にあふれた演奏を展開していましたが、彼女の一番良い点は演奏することが楽しくて仕方がないということを顔の表情や動作で表現しているところです それによって、ヴァイオリンから出てくる音が表情豊かに聴こえます 日本人にしては珍しいタイプだと思います。そういう意味で、新鮮さを感じました。有望な新人と言っておきます

 

     

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