人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

大林宣彦監督「あした」&「ふたり」を観る ~ ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第3番」、モーツアルト「ピアノ・ソナタK.545」も流れる / のぞみはないが ひかりはある ~ 折々のことば

2020年09月14日 07時21分07秒 | 日記

14日(月)。昨日の朝日新聞朝刊第1面のコラム「折々のことば」(鷲田清一氏)で、「のぞみはありませんが ひかりはあります」という新幹線の駅員さんの言葉が紹介されていました

「千葉・本妙寺の掲示板にあった言葉(江田智昭著「お寺の掲示板」所収)。臨床心理家・河合隼雄が残したジョークから引かれた文言 河合が新幹線の切符を買おうとしたら、駅員にこう言われた。瞬間、この言葉の深い含蓄に感激し、同じ言葉を大声で返すと、駅員は「あっ、『こだま』が帰ってきた」とつぶやいたという 希望をなくしても仏様の光はずっと人を照らしている

説明するまでもなく、「のぞみ」も「ひかり」も「こだま」も東海道・山陽新幹線の列車名です このコラムが卓越しているのは、新幹線の列車名に託して「望みはないが、光はある」の意味を持たせ、その上で、同じ言葉が大声で返されたことから、駅員が「木霊(こだま)が返ってきた」と新幹線「こだま」に掛けたシャレで返答しているからです

さて、今日 自民党総裁選の投開票があり新しい総裁が選ばれます   その結果は「望みも光もある?」「望みはないが 光はある?」「望みも光もない?」   国民からの「こだま」は返る? 目を Max に開いて結果を見ようと思うけれど、「かんしんせん」という政治はもうたくさんですね

ということで、わが家に来てから今日で2174日目を迎え、2016年の米大統領選でもトランプ氏の当選を予測していた映画監督のマイケル・ムーア氏がフェイスブックで、「私は10週間先を見て警告を発している。トランプの支持基盤6000万票には桁外れな熱気が感じられるが、ジョー・バイデンの支持者たちにはそれがない。(民主党支持者の)各人が数百人のバイデン支持者を捕まえろ。今、行動を起こせ!」と呼びかけた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      「トランプじゃないから」という消極的な理由で バイデン支持者が多いのは弱いな

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で「あした」と「ふたり」の2本立てを観ました

「あした」は赤川次郎原作、大林宣彦監督による1995年製作映画(141分)です

小型客船「呼子丸」が嵐のなか尾道沖で遭難し、乗客9名全員の絶望が伝えられてから3か月が経った 残された恋人、夫、妻、家族のもとに、「今夜午前0時、呼子浜で待っている」という不可解なメッセージが次々と届き、それぞれの者が それぞれの思いを抱えたまま呼子浜の待合所に続々と集まってくる 温泉旅行に来ていた女子大生・原田法子(高橋かおり)は、自分の勘違いで最終便の船に間に合わなくなり、友だちの綿貫ルミ(朱門みず穂)とともに、呼子浜の待合所で過ごすことになってしまい、謎のメッセージを受け取って集まってきた人たちと共に不思議な一夜を過ごすことになる 午前0時になると、沈んでいた呼子丸が海面に浮上し、死者たちが生存していた時の姿で現れ、それぞれの相手と再会する

 

     

 

果たせなかった約束を果たすために、死者が残された人々に再会し思いを伝え、また海に帰って行くという物語です 約束とは突然の別れで言えなかった「さようなら」を言うことでした

この映画では、森下美津子役の多岐川裕美が、死んだ夫を偲びながらLPレコードでブラームス「ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 作品108」の第2楽章「アダージョ」を聴くシーンが出てきます  しみじみと良い曲で、このシーンにピッタリです 大林宣彦監督の選曲のセンスは抜群です

多岐川裕美で思い出しましたが、今からン十年前に 多岐川裕美がスリを演じる連続テレビドラマがあり、そのテーマ音楽がブラームス「交響曲第3番ヘ長調作品90」の第3楽章「ポコ・アレグレット」で、ピアノ独奏により演奏されていました 彼女がコートの襟を立てて歩くタイトルロールでバックに流れていましたが、女スリの孤独な心境を表しているようでシックリきました

それにしても、多岐川裕美とブラームスは相性が良いのでしょうか

 

         

 

「ふたり」は赤川次郎原作、大林宣彦監督による1991年製作映画(150分)です

北尾実加(石田ひかり)が中学2年の時、姉の千津子(中嶋朋子)は高校2年だった 千津子は成績優秀でピアノが巧くスポーツも得意、演劇ではヒロインを務め、教師や同級生からも慕われていて、実加はそんな姉に憧れていた しかし、ある日、登校中に事故に巻き込まれ突然この世を去ってしまう ところがその後、死んだはずの姉が目の前に現れ、様々な場面でアドヴァイスをくれ、実加を確実に見守ってくれるようになった 千津子の死により母・治子(富司純子)は精神的に不安定になり、父・雄一(岸部一徳)は北海道に突然単身赴任することになり、さらに親友の父が急死したりと、実加の周りでは様々な事件が起こった そうして中、実加は 姉が得意だったピアノやマラソン、演劇での活躍、恋と友情など、実加にしか見えない姉のアドヴァイスを得ながら 困難を乗り越えて次第に精神的にも成長していく 様々な経験を通じていつか姉の年齢に近づいた時、父の浮気が発覚する 母のノイローゼは悪化し、家庭崩壊を迎えようとしたが、実加はそれを乗り越える それは千津子との別れの時だった

 

     

 

この映画は、尾道を舞台に、亡き姉の幽霊に見守られながら成長していく多感な少女の姿を描いたドラマです いつも優秀な姉と比べられ コンプレックスを抱いているドジでのろまな中学生の実加を石田ひかりが好演しています   また、何でもできる優秀な姉・千津子に中嶋朋子はピッタリです

尾道を舞台にした大林監督の映画には「尾道三部作」と言われる「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」と、「新 尾道三部作」と言われる「ふたり」「あした」「あの、夏の日ーとんでろ  じいちゃん」があります    また、今年公開の最新作「海辺の映画館  キネマの玉手箱」も尾道の映画館を舞台にしています   大林監督にとって、生まれ故郷の広島県尾道市は切っても切れない関係にあるようです

さて、この映画では、ピアノ教室からモーツアルト「ピアノ・ソナタ  ハ長調K.545」が流れてきます また、ピアノ発表会で実加はシューマンを弾きますが、曲名が良く分かりません 実加が一部をとばしてしまい「しまった」と呟くと、幽霊の千津子が「そのまま続けて どうせだれも知らない曲だから、分かりはしないわ」とアドヴァイスするので、あまり有名な曲ではないようです

大林宣彦監督は映画の中でよくクラシック音楽を使います。そういう意味では、「男はつらいよ」シリーズでお馴染みの山田洋次監督に似ています

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