5日(土)。昨日、新日本フィルから封書が届きました 何だろうと思って開封してみたら「領収書送付のご案内」とありました 8月28日のブログでご紹介した通り、「音楽の友」9月号に「座談会『日本のオーケストラを守れ』」が掲載され、新日本フィルの林豊専務理事が6人の登壇者の一人として出席されていました その席で林氏が「4月からはほとんど演奏会収入がゼロでした。演奏会再開までは全員給与カットして、なんとか存続のために続けているという状況です」と発言されているのを読んで、ブログに「思わず楽団員のあの人、事務局のあの人を思い浮かべました」と書きました それと同時に、「何とかしなければならない 個人の力には限界があるけれど、やれることをやらなければ」と思いました。考えた結果、新日本フィルには賛助会員・維持会員制度があるので、「維持会員(個人会員)」に登録し年会費の形で寄付することにしました 今回の封書の中身は、その領収書でした。送り状の余白にパトロネージュ部の登原さんの自筆で、寄付へのお礼とともに「厳しい状況が続きますが、最善を尽くし活動してまいります」という力強い言葉が書かれていました 登原さんはルビー・シリーズ公演の当日、事前に開催される小室敬幸氏による「レクチャー」で司会進行を務められています 私としては、領収書よりも登原さんの頼もしい言葉が嬉しかったです 登原さんの書かれた通り まだまだ厳しい状況が続きますが、「明けない夜はない」といいます クラシックの灯を消さないためにも頑張ってほしいと思います
ということで、わが家に来てから今日で2166日目を迎え、トランプ米大統領は3日、ツイッターで大統領選の有権者に対し、郵便投票と投票所での投票の計2回の投票を試みるよう呼びかけたが、ツイッター社は、不適切な投稿だとして警告を出した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
無法と無謀を絵に描いたようなトランプが米国の大統領だということに改めて驚く
昨日、夕食に「とんぺい焼き」「生野菜サラダ」「キャベツの中華スープ」を作りました 「とんぺい焼き」は豚バラ肉とモヤシを炒めて生卵をまぶし、チーズをたっぷり載せて焼いて、ソースとマヨネーズで仕上げの味付けしています
昨日、TOHOシネマズ新宿でロン・ハワード監督による2019年製作イギリス・アメリカ合作映画「パバロッティ 太陽のテノール」(115分)を観ました
パバロッティと言えば、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスとともに「世界三大テノール」の一人として、一世を風靡しました この映画は、神の声を持つと言われたイタリアのオペラ歌手ルチアーノ・パバロッティ(1935‐2007)の生涯を、ロン・ハワード監督が追ったドキュメンタリーです
ロン・ハワード監督は、パバロッティの元妻、3人の娘、最後の妻、テノール歌手プラシド・ドミンゴ、ソプラノ歌手アンジェラ・ゲオルギュー、テノール歌手ヴィットリオ・グリゴーロ、U2のボノら23人へのインタビューを通して、テノール歌手としてのパバロッティ、家庭人としてのパバロッティの顔を浮き彫りにしていきます
パバロッティの歌の魅力をひと言で適格に言い表していたのはアンジェラ・ゲオルギューです 彼女は「彼の声はクリアでストレートに心に届きます」と語っています。さらに「男性の声で自然なのはバリトンです。テノールは高音の声を作り出さなければなりません その上、ハイCが出せなければテノール歌手とは言えません パバロッティはそれを完璧にやり遂げました」と語っていました。これは、ドニゼッティの歌劇「連隊の娘」よりトニオの「友よ、今日は楽しい日」のハイC9連発を映像で確認するだけでも よく理解できます まさに「キング・オブ・ハイC」です
他にも観どころ 聴きどころはたくさんありますが、最大のハイライトは1990年7月7日にローマのカラカラ浴場で開かれた、サッカー・ワールドカップ決勝前夜祭で初めて3大テノールが揃った伝説のコンサートでしょう プッチーニの歌劇「トゥーランドット」からカラフのアリア「誰も寝てはならぬ」を誰が歌うか3人で相談するのですが、3人で分担して歌うことになります 最初にカレーラスが歌うと、ドミンゴが自分を指して「次は俺かい?」と二人の顔を伺うと、二人が「そうだ。どうぞ」とジェスチャーで応える。そしてドミンゴが歌い、最後にパバロッティが5キロ先まで届くような声を張り上げて歌い出すと、二人は顔を見合わせ「お、やるね~」という表情を見せ、最後に三重唱で締めるのですが、これが凄い 世界最強の3大テノールの競演で「誰も寝てはいられない」状態です このアリアは、映画の最後にパバロッティがソロで歌いますが、これを聴いて感動しない人は一人もいないでしょう
また、雨のもと、野外ステージで歌うシーンがあり、英国のダイアナ妃(夫妻)も聴衆の一人として聴いているのですが、プッチーニの歌劇「マノン・レスコー」からデ・グリューのアリア「みたこともない美人」を歌うのに、パバロッティが「ご主人様のお許しをいただければ、この曲をダイアナ妃に捧げたいと思います」と言って歌い出します ダイアナ妃は嬉しそうな表情です。コンサート後にパバロッティが打ち上げに誘うと、ダイアナ妃は夫妻で参加することになります。これは極めて異例なことのようです これをきっかけに、彼とダイアナ妃の友情が芽生え、ダイアナ妃のチャリティー活動に賛同し、チャリティーコンサートを開くようになります 「人のために役立つことをする」という新たな目標ができた点で、この公演は彼の人生の大きな転換点になったようです
私生活では、食べるのが大好きで、パスタを自分で作るのも好きだったようです テレビ番組の司会者が彼が作ったパスタの量を見て「これだけ食べたら太りますよね」と尋ねると、パバロッティは「請け負います」と笑顔で答えていました
3人の娘たちの幼い頃の思い出話が面白い 娘の一人は「小学校の作文の宿題で、父親の職業について書くことになりました 父は夜になると出かけていくし、トランクの中を見ると つけ髭がいっぱい入っているので、泥棒に違いない、と書きました」と語り、もう一人の娘は、「プッチーニの『トスカ』を観に行った時、父が銃殺されるシーンがあって、幕が下りると私は『パパ―ッ』と叫んでしまいました」と語っていました。どちらもオペラ歌手の子供らしいエピソードだと思いました
劇中で歌われるのは、「誰も寝てはならぬ」(プッチーニ「トゥーランドット」)、「星は光りぬ」(プッチーニ「トスカ」)、「冷たい手を」(プッチーニ「ラ・ボエーム」)、「見たこともない美人(プッチーニ「マノン・レスコー」)、「あれかこれか」(ヴェルディ「リゴレット」)、「女心の歌」(ヴェルディ「リゴレット」)、「人知れぬ涙」(ドニゼッティ「愛の妙薬」)、「友よ、今日は楽しい日」(ドニゼッティ「連隊の娘」)、「衣装を着けろ」(レオンカヴァッロ「道化師」)、「オ・ソレ・ミオ」(ディ・カプア)などです 歌以外のクラシックもふんだんに流れます オペラ好きにはたまらない映画です