人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジョン・チェスター監督「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」を観る ~ 自然との共生を目指し動物たちと暮らす理想の生活 / 政治家と嘘 ~ 自己欺瞞からスタート

2020年09月17日 07時16分14秒 | 日記

17日(木)。昨日の朝日夕刊のコラム「時事小言」に国際政治学者の藤原帰一氏が「政治家と嘘 民主主義下でも日常に」というタイトルでエッセイを寄せていました 藤原氏は、新たに菅自民党総裁が誕生したことを述べる前に気になることがあるとして、「政治における嘘」について概要次のように書いています

「トランプ米大統領は嘘をつく。既に当たり前になったこのことを、ボブ・ウッドワードの近著『Rage(怒り)』は改めて思い知らせてくれる 新著刊行に先立ってトランプの肉声を公表したこともあってウッドワードの暴露は広く報道された。新型コロナウイルスを『軽く見せた』間に20万人に近いアメリカ国民が生命を失ったのだから当然の反応だが、トランプの嘘はコロナウイルスに限ったことではない 大統領選に立候補した2015年以来、明らかな虚偽を繰り返し述べ、その虚偽を指摘されると嘘の報道・フェイクニュースだと言い返すのがトランプの日常だった 日本では、安倍政権下で、森友学園への国有地払い下げ、加計学園の岡山理科大学獣医学部新設、あるいは桜を見る会への招待者などに関連して、公式の説明との違いが疑われるたびに公文書の紛失などが繰り返された これらは総理や官邸の説明に合わせて官庁が公文書を書き換え、廃棄しているという疑いで共通している トランプ政権と安倍政権に見られるのは、権力を握った政治家は虚偽を指摘されてもそれを認めなければ虚偽を『事実』に変えることが出来るという確信である 嘘だという方が嘘をついていると言い張り 嘘をつき通せば、嘘は嘘でなくなるわけだ    半世紀近く前の1971年、ベトナム戦争に関する政策決定過程の政府文書、いわゆるペンタゴンペーパーズがニューヨークタイムズによって暴露された    後に書籍として刊行されたペンタゴンペーパーズについて、政治哲学者ハナ・アーレントが『政治における虚偽』という文章を発表している この文章においてアーレントは『虚偽と自己欺瞞の連結作用』を指摘し、『嘘をつくのが上手で、大勢の人を信じさせることに成功すればするほど、ついには自分の嘘を信じるようになるものだ』と述べた上で、実情はさらに厳しく、『嘘つきたちは自己欺瞞からスタートしている』と指摘し、『大衆の心を捉える戦いに全般的な信頼と勝利を予期しただけだった』と喝破している。政治権力や党派性が『事実』を覆い隠す時、政治権力から自立した言論と報道なしには政治的自由が失われる。嘘を阻むには『ありのままの事実』を伝えることで立ち向かうほかはない

ハナ・アーレントの指摘する『嘘をつくのが上手で、大勢の人を信じさせることに成功すればするほど、ついには自分の嘘を信じるようになるものだ』『嘘つきたちは自己欺瞞からスタートしている』というのは、そっくりそのままトランプ米大統領と日本のゴルフ友だちに当てはまる言葉だと思いませんか

政府のつく嘘を見破り 真実の報道をするのが新聞をはじめとする報道機関の義務です 記者会見で質問する記者の後ろには多くの国民がいることを、質問する側も答える側も意識しなければなりません

ということで、わが家に来てから今日で2177日目を迎え、昨年7月の参院選をめぐり、公職選挙法違反(買収)の罪に問われた前法相で衆院議員の河井克行被告と妻で参院議員の安里被告の公判で、克行被告が弁護人全員を解任したことを受けて、東京地裁は16日午前、夫妻の公判を分離して進めることを決めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これで克行被告の裁判は遅れ  それだけ長く国民の税金から同氏の給料が払われる

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキのソテー」「生野菜とサーモンのサラダ」を作り、買ってきた「真鯛の刺身」と、娘が漬けたオクラとキュウリの「ぬか漬け」ともに食べました メカジキは醤油、味醂、日本酒に1時間以上漬けてから弱火で焼いたので、味が沁み込んで美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールでジョン・チェスター監督による2018年アメリカ映画「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」(91分)を観ました

ジョンとモリ―の夫婦は、殺処分寸前で保護した愛犬トッドの鳴き声が原因でカリフォルニア州の大都会ロサンゼルスのアパートを追い出されてしまう 料理研究家の妻モリーは、本当に身体によい食べ物を育てるため、夫婦で愛犬トッドを連れて郊外の荒れ果てた農地へ移住することを決心する しかし、そこに広がっていたのは200エーカー(東京ドーム17個分!)もの荒れ果てた農地だった。都会から郊外へと生活がガラリと変わった2人は、大自然の厳しさに直面しながらも、命の誕生と終わりのサイクルを身をもって学び、志を同じくする若い仲間たちの力を借りて美しいオーガニック農場を創り上げていく

 

     

 

この映画は、自然を愛する夫婦が「自然との共生」により究極のオーガニック農場を作り上げるまでの8年間を追ったドキュメンタリーです   映画製作者で、テレビ番組の監督として25年のキャリアを持つジョン・チェスターが、自身と妻、愛犬トッド、仲間たち、動物たち、植物たちの姿をカメラに収めています

何しろ東京ドーム17個分の荒れ果てた農地を開墾して実り多き農場に変貌させるというスケールの大きさに驚きます しかも、彼らはそれを8年がかりでやってのけます

彼らは土地を開墾し植物を育てるだけでなく、豚、鶏、山羊、ガチョウ、牛など様々な動物たちを連れてきて農地で飼います それは科学的な根拠に基づいています 動物たちは農地の草を食べます。すると大量の糞が出ますが、それは土地を肥やす肥料になります。それによって植物が育ち、収穫が得られることになります 動植物による生命のサイクルです また、植物にアブラムシが付くと葉が食い荒らされてしまいますが、テントウムシがやってきてアブラムシを食べます 同じように、葉を食い荒らすカタツムリが大量に発生して困っていると、ガチョウが片っ端から食べていくのです 植物の根を食う野鼠に困っていると、野生のフクロウや蛇がやってきて駆除してくれます 土の中に蛆虫が湧けば、鶏がつついて食べてしまいます つまり、この農場ではあらゆる動物が何かの役に立っているのです ただし、鶏を狙い食い殺す野生のコヨーテにはほとほと手を焼いています ジョンは、コヨーテだって何かの役に立つはずだと考え、最初は銃で撃つことを控えて鶏小屋に網を張りますが、網が食い破られ多くの鶏が殺されるに至って、銃に頼らざるを得なくなります ジョンは「これで(生き物は殺さないという)理想のやり方を放棄することになった」と嘆きますが、すべてを自然の摂理に任せるのは困難でしょう

彼らが育てた鶏から得た卵は飛ぶように売れ、収穫したリンゴなどの果物は市場に出荷されていきます こうして、やっと彼らも理想のサイクルに乗せることができるようになりました 現在では、観光農場として見学コースになっているようです

ところで、この映画の冒頭と終盤では、山火事が強風に煽られて農場に向かって広がってくるシーンがあり、彼らが避難する様子が映し出されますが、この場面を観ていて、現実にアメリカ各地で起きている深刻な山火事のことを思い浮かべました

昨日の朝日朝刊は「トランプ氏、熱波『次第に涼しくなる』山火事続くカリフォルニア州で発言」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、

「トランプ米大統領は14日、大規模な山火事が続くカリフォルニア州を訪れ、州知事らと会談した。カリフォルニア州自然資源局長は 記録的な高温が観測されたことを挙げて、『気候変動と それが森林に与える影響を理解し、科学に沿って協力することを望みます』と求めたが、トランプ氏は『山火事は森林管理の問題だ。次第に涼しくなる。見ていろ』と反論し、温暖化に否定的な姿勢を崩さなかった 一方、民主党のバイデン前副大統領はトランプ氏を『気候放火犯だ』と激しく批判。温暖化対策は、11月の大統領選の争点になる 大統領選では、規制緩和と化石燃料産業保護を進めるトランプ氏と、4年間で2兆ドル(約211兆円)を再生可能エネルギーなどに投資することで、脱炭素化と経済成長を狙うと主張するバイデン氏がぶつかる

まさに、この映画の舞台となっている農場があるのがカリフォルニア州です あの美しい農場は大丈夫だろうか、と心配になってしまいました

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