人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

エリック・ロメール監督「レネットとミラベル 4つの冒険」を観る ~「青い時間」「カフェのボーイ」「物乞い、窃盗常習犯、女詐欺師」「絵の売買」 / アルビン・トフラー「未来の衝撃」の思い出

2020年09月03日 07時20分11秒 | 日記

3日(木)。昨日朝、地元のAクリニックで「胃がん検診」を受診しました 「胃カメラ」での検診は初めてです。胃カメラには何となく恐怖心があったので、7月に豊島区の健康診査センターに申し込んだ時には、従来通り「バリウム」の検診を受診しようと思ったのですが、担当者が「胃カメラは2年に1度しかチャンスがないので受診した方が良いですよ」と言うので、「後は野となれ山となれ」で、初めてチャレンジすることにしたのです 予め受け取った「胃がん内視鏡検診受診票兼申込書」「胃がん検診(胃内視鏡検査)問診票」に必要事項を記入し、検査に当たっての「同意書」と「生検の同意書」にサインし、さらに「新型コロナウイルスに関する問診票」に必要事項を記入し、保険証と共にクリニックに提出しました

朝8時45分に来院するように言われていましたが、受診室に呼ばれたのは9時過ぎで、そこで看護師さんから検査の概要について説明がありました 最初に血圧を測ったのですが、通常より高かったようで、「緊張されているようですね」と言われ、3回も測り直ししました 説明によると、胃カメラには 管が太い「経口カメラ」と管が細い「経鼻カメラ」の2種類があり、同クリニックでは口からでも鼻からでも細い「経鼻カメラ」を使うとのことでした。太いのは同軸ケーブルほどの直径があり「こりゃだめだ!」と思っていたので、「助かった」と思いました その上、「口からだと吐き気をもよおす可能性があるので鼻からが良い」と言ってくれ、これもこちらの希望通りで良かったと思いました その後、鼻と喉に液体麻酔薬の注入があり、身体を横向きにして検査を受けることになりました。N先生が入室してきて、「ゆっくりやりましょうね」と言って検査に入りました 管を鼻の右の穴からゆっくりと入れていきますが、麻酔が効いているのでそれほど違和感を感じません 身体を横向けにしているので、カメラからの映像が患者用のモニター画面を通して見えます 今は鼻の中、今は喉、今は胃の中と先生が説明しながらゆっくりと管を入れていきます。麻酔が効いているものの、やはりカメラの位置は感じます 胃の中の様子を映し出したカメラ映像を見ながら、N先生が「この状態であれば、ピロリ菌の検査は必要ないと思います」と言ってくれました。自分で見ても胃の壁面がかなり綺麗です ゆっくりと管が抜かれ、「はい、終わりました」と言われ、ほっと一息つきました この間約10分弱です。終わってみればあっという間の検査でした 恐怖心を抱いていた自分が嘘のようです 「検診後の注意事項」を受け取り、部屋を出る時、先生に「お陰さまで 胃カメラへの恐怖心がすっかり消えました。ありがとうございました」とお礼を言うと、「それは良かったですね」と返事をくださいました コロナ禍のもと、クリニックでは感染拡大を防ぐよう患者・来訪者に気を使いながらの対応を図っていますが、どこの病院でも医師や看護師の方々のご苦労には大変なものがあると思います 我々は常に医療従事者へのリスペクトを忘れてはならないと、あらためて思った検診でした

ということで、わが家に来てから今日で2164日目を迎え、トランプ米大統領は1日、黒人男性が警察官から銃撃されて重傷を負った事件をきっかけに人種差別への抗議デモが続いているウィスコンシン州ケノーシャを訪問し、地方自治体に「(暴徒に)断固とした姿勢で対処すべきだ」と治安強化を要求し、警官による暴力を強く非難しなかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「無法と無秩序」の代名詞のような大統領に言われてもピンとこないと思うけどね

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラこんにゃく」「生野菜サラダ」「ジャガイモと玉ねぎの味噌汁」を作りました あとはぬか床に漬けたキュウリです。「豚バラ~」は久しぶりに作りましたが、美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨日の日経朝刊「マーケット総合面」のコラム「大機小機」にペンネーム  一礫 氏が「『住』の時代とトフラーの予言」というテーマでエッセイを書いています 冒頭部分は次のように書かれています

「ちょうど50年前、未来学者アルビン・トフラーは、将来、人々は一気に拡大した情報に苦しむことになるだろと警告した(『未来の衝撃』)。キーワードは、情報過剰荷。いま、私たちは、氾濫し矛盾する情報に振り回されている 10年後の1980年、今度は『産業化という第二の波で人々は工場やオフィスに集中したけれど、第三の波の情報化の時代には、通勤の代用としての通信の役割が増大、コンピューターの操作テーブル、テレビ会議用の設備を配備したエレクトロニクス住宅が仕事の場になる』(『第三の波』)と書いた キーワードは、エレクトロニクス住宅。工場、オフィスだけでなく学校の秩序に至るまで家庭中心になり、経済、都市、生活環境、政治でさえ一変する それは実現可能であり、望ましいことだ、と付言していた。新しい生活様式としてテレワークやオンライン学習が注目されている。インターネットなど存在しなかった40年前のトフラーの予言は今日、現実のものとなっている

私がこのコラムに注目したのは「アルビン・トフラー」の名前が懐かしかったからです 70年代の初めごろ、新聞学科のSゼミでは夏に那須塩原にある大学寮で合宿をすることになっていて、マスメディア等に関わる論文を英文和訳する勉強などを中心に取り組んでいました その年は指導教授のS先生から「Dialogue」という雑誌に掲載されていたトフラーの「未来の衝撃」の抜粋をテキストに、英文和訳するという課題が課せられました 40年近く前のことなので内容はまったく覚えていませんが、今あらためてネットで『未来の衝撃』を調べてみると、「核家族の崩壊、遺伝子革命、使い捨て社会、教育の最重要性、社会やビジネスにおける知識の重要性の拡大が進む。この一時性の連続によって、すべての分野において”使い捨て”傾向が加速する 急速に変化する情報化社会ではモノに対してのみならず人間関係においても、そうした傾向が増大するのが未来社会の特徴である」という主張であることが分かります 新聞を隅々まで読んでいると、時に 40年前の自分に引き戻されることがあります

 

         

 

一昨日、池袋の新文芸坐でエリック・ロメール監督による1986年フランス映画「レネットとミラベル 4つの冒険」(99分)を観ました

この映画は、対照的な二人の少女レネットとミラベルが体験する不思議な出来事を、4つのエピソードで描いた作品です

 

     

 

第1話「青い時間」

自転車のパンクをきっかけにミラベル(ジェシカ・フォルド)は、ある田舎道で、この町の納屋のような家に一人で住み、絵を描いて暮らしているレネット(ジョエル・ミケル)と出会う 彼女はミラベルに、夜明け前に1分間だけ音のない世界になる”青の時間”を体験させようと家に泊まるよう誘う しかし、せっかくのチャンスが車の音で失敗に終わる 落胆するレネットに、ミラベルはもう1晩泊まることを告げ、二人はその昼間に田舎の生活と自然を満喫する そして2泊目の夜明け、二人は”青い時間”を味わい 感動する

⇒  この物語はロメール監督の「緑の光線」に似ています 「緑の光線」は、孤独なヒロインがバカンスの最後の日に知り合った若者と一緒に、日没前に一瞬だけ見えるという太陽の「緑の光線」を見に行くという話です

 

第2話「カフェのボーイ」

秋になり、パリのミラベルのアパートで同居し、美術学校に通うレネットは、ある日ミラベルと待ち合わせしたモンパルナスのカフェで、奇妙なボーイ(フィリップ・ローデンバック)と出会う  小銭を持っていないミラベルがコーヒー代に200フラン札を出すと、ボーイは「どうせ友だちなんか来ないんだろう。飲み逃げしようとしてもそうはいかない。おつりが出せないから小銭で払え」と無理難題を言う そこにミラベルがやってきて、彼女は500フラン札を出してボーイと押し問答が続くが、ボーイが席を離れた隙に二人はお金を払わず逃げてしまう しかし、レネットは翌朝、代金を払いにカフェに行く

⇒  第1話では二人とも少女という雰囲気をまとっていましたが、この第2話では大人の女性を感じさせます 最初に可笑しいのは、レネットがモンパルナスのカフェに行く道を、行きずりの男性に尋ねると、親切に教えてくれるのですが、首を傾げていると、別の男性がやってきてまったく逆の方向を教えるので、レネットはますます混乱して 口論する二人を置いて自分で探しに行くシーンです 次に可笑しいのはボーイです。とにかく人の言うことを信用しないのです。小銭がないから200フラン札で払おうとしても受け取らず、とにかくおつりが出せないから小銭で払えと言うばかりなのです そのくせ、老夫婦が支払う時はちゃんとおつりを渡しているのです どうも若い女性を信用していないようです。翌日、レネットがカフェにお金を返しに行った時、「昨日のボーイさんは?」と訊くと、「彼は一日だけ雇ったボーイだから、もういないよ」と言われます 毎日あんなボーイが接客していたらカフェが潰れるのは時間の問題だと思います

第3話「物乞い、窃盗常習犯、女詐欺師」

物乞いに小銭をやるレネットに影響を受けたミラベルは、ある日、スーパーで万引きする女を見つけ、彼女を助ける行為をするが、成り行きから女が万引きした商品はミラベルの手に残ってしまう 帰宅後、二人は彼女の行為について議論する    ある日 レネットは、駅で小銭をせびる女(マリー・リヴィエール))に会い、彼女に小銭を与えたため電車に乗り遅れてしまう    電話をしようとするが小銭がないので、彼女も通行人に小銭をせびるが うまくいかない    すると、先ほどの女がまた通行人から小銭をせびっているのを発見し、彼女に金を返すように詰め寄るが、彼女が泣き出してしまい 諦める

⇒  レネットから「なぜ万引き女を助けるようなことをしたのか?」と訊かれたミラベルは、「彼女が捕まって裁判にかけられて懲役を食らったら可哀そうだから」と答えますが、これは通用しないでしょう ミラベルのやった行為は犯罪ホウジョであり、共犯と言えるかも知れません 話は変わりますが、女詐欺師を演じたのはロメール監督の「飛行士の妻」「緑の光線」でそれぞれ主役を演じたマリー・リビエールです。どうやら彼女はロメール映画の常連のようで、何でもそつなくこなす女優さんですが、どの作品でも泣くシーンがあります 泣きのマリーと名付けようかと思います

第4話「絵の売買」

レネットは、今月家賃を払う番だったが、お金がなかった    二人は相談してレネットが描いた絵を画廊に売ることにした    レネットは言葉が話せないふりをして画廊の主人(ファブリス・ルキー二)と交渉するが、うまくいかない     しかし、他の客が画廊に入って来たことから、ミラベルが機転を発揮し二人は大金を手にする

⇒  画廊の主人は、ロメール監督「満月の夜」でオクターブを演じたファブリス・キー二です。彼もロメール映画の常連のようです

これでエリック・ロメール監督による「喜劇と格言」シリーズ6作と「パリのランデブー」「レネットとミラベル 4つの冒険」の計8作品を集中的に観てきたわけですが、全作品に共通するのは、どこにでもある男女の恋愛模様を中心に取り上げ、ユーモアを交えて軽快なタッチで描いているところです

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